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城下町①

 まるで市場に売られる仔牛、ドナドナド〜ナと衛兵に逐われるようにして城を後にしたタカハシは、ようやく解放されたという安堵感から、無性に煙草が吸いたくなってきた。それはもう、せっかくの異世界の光景も目に入らないほどに!

 ポケットに手を入れて、ココに来る前の事も思い出す、ワンカップを飲みながら・・・アレ、しまった、俺、ハーレムの野郎に胸ぐら掴まれた時、煙草とスマホはベンチに置いたままだった! ガッデーム!! まだ半分も吸ってないってゆうのに、てか、スマホだよ、スマホ! だって、アレだよ、アレ、じきに失踪人とかで、警察なんかが俺の遺留品を調べるだろ? そしたらさ、アプリの9割がアダルト動画サイトってのがバレて、その頃には既に捜査というよりも興味本位で俺の予測変換なんか勝手に調べたりして、《男の娘》やら《女装》《ハッテン》と、俺の癖を暴いてはヤツら、バカ笑いしてるんだろうなあと思うと、悔しいやら恥ずかしいやらで頭がおかしくなりそうだ、しかし、この一点だけ取っても俺が元の世界に戻れない理由としては充分だな、と思い直す、そう、どっちみち俺はこの世界で生きてゆくしかないのだ! 生まれ変わったようなこの新しい世界で、今度こそはノーマルな暮らし(?)を目指さなくては!

 そんな訳で一服出来ないと分かると、更に吸いたくなってしまうというのが喫煙者の悲しい性なのであって、煙草など金輪際入れた事のない尻のポケットまでも確かめて、あさましくニコチンを求めてしまう有り様だった。

 コッチに煙草、売ってんのかな? そんなバカな事を考えて、何の気なしにポケットに手を突っ込むと、ズルルーッ!

「ヒィヤッ!?」タカハシは驚いて、少女のような悲鳴を上げてしまった。何と、ポケットに入れたタカハシの手が、そのまま肘まで入ってしまったのである!

 何だ、何が起きてる? まるで大ケガを負った腕を確認するように、タカハシはちょっとずつ腕をポケットから引っ張り(?)上げると、反らしていた目をこわごわと開けてゆく・・・! ホッ、大丈夫、腕は元通りだ、でも、だったらさっきのは、いったい何なのだ? 再び恐る恐る、右手を指先からポケットへと潜り込ませてゆく、お〜お〜、入るわ入るわ、肘まで入った所で、指をパッパと広げてみる、何も当たらない、ただちょっとヒンヤリとした空間があるだけ、といったトコロか・・・ん、待てよ、《空間》って!?

 あ〜、何だったっけな〜、映画の主人公の名前が、ギリギリで出て来ない気持ち悪さ、う〜んと、物を仕舞う《空間》・・・あ、そうだ!

《アイテムボーーックスッ!》

 そうと分かると恐怖は消え去り、次々と他のポケットも試してゆく、コレも普通の、コレも違う・・・と、どうやら《不思議ポケット》は、右のポケット一つだけらしい。

 しかし、何はともあれ、これで俺の異世界ライフにも一筋の光が見えてきた、異世界に於いても《アイテムボックス》というのは、非常にレアなアイテムなのだ、使い方によっては殆どチートとも云える能力だから、この先大いにタカハシの役に立ってくれるに違い無い!

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