初めてのお仕事㉝
音に驚いて後ろを見ると、さっきの男だ、俺の頭をまともに狙って、二連発の猟銃を構えている、野郎、猟師だったのか。しかし無関係な人間が側に居るのに、散弾なんか撃ち込むか?
ヒイィィィーッ!!
もちろん、結界に守られた俺は平気だが、裸の二人は酷い有り様だった。胸に開いた、無数の小さな穴から血を吹き出して、聞く人の胸を抉る、全身を焼かれるような切ない叫びを上げると、母親に叩かれてる途中で逃げ出した、そんな哀れさを誘う白い尻を揺さぶりながら、狙撃手の元へと駈けて行った。対する男には、全身を血に染めて向って来る二人が、きっと自分を食い殺しに来た、地獄の鬼にでも見えたのだろう、
ダーンッ!
今度は確信的に、警官だけを狙って発砲した、至近距離で散弾を浴びた若い警官は、頭が無いままで暫く走ると、すぐに死んでる事を思い出したように、アッと云ってバッタリ倒れた。慌てて弾を込めようとする男から、銃を奪い取ったもう一人の警官は、
「加藤、何でお前は、いつも面倒事ばかり持ち込むんだ!?」押し倒してから、足で胸を押さえつけると、銃口を掴んで大きく振りかぶる、「何で俺を呼んだ、何でこんな事に、俺を巻き込んだ? 何でこんなバケモノを、お前は連れて来たんだ! なあ、なあ! なあっ!? おい、答えろよ!」そう泣き叫びながら、男の頭が潰れるまで銃の台座で殴り続ける、やはりコイツらは、知り合いだったのか・・・
男の頭が同僚のそれと同じになったのを確認すると、ようやく満足した警官は、安心したように銃を放り出すと、バタンと倒れて息を引き取った。
俺はただ、家に帰りたかっただけなのに、出会う人間はなぜ、こんなにもしつこく俺の邪魔をしてくるのだろう? たった1日の異世界暮らしが、俺の上に消えない印でも付けたというのか? それとも、ここは元の日本に似ているだけで、その実、全く違う時間軸の、新たな異世界だとでもいうのだろうか? それとも・・・これは考えたくもない事だが、まさか俺は、本当の意味で魔物になってしまったのではあるまいか? 向こうで三人、そして奇しくもこちらに帰った途端に、例え間接的とは云え、やはり三人を殺してしまうなんて・・・それでいて大して心が痛むでもない自分が恐ろしい、俺はこの先、いったいどうなってしまうのか・・・
バイクに跨がり、スロットルを回そうとして、初めて自分の右手が無い事に気がついた。いや、ある、あるのに見えないだけだ、スキルを使った訳でもないのに、俺の身体が透明になり始めていた。そうか、この永遠のエレベーターに乗るような嫌な感じ、間違いない、また引き戻されるんだ! チクショー、せっかく戻って来たってゆうのに、ヤバいヤバいヤバい、消えてしまうぞ、何か、何か俺が三郷村に戻って来たという、確かな証拠を残さなくては・・・俺は慌てて、
【サーチ!】よし、東京見つけた! 【テレポーテーション!】も一つ、【テレポーテーションッ!】
うん、これなら甥っ子の将太あたりが、俺の仕業だって気付いてくれるだろう・・・何しろ実家の畑に東京都庁、そして田んぼにはスカイツリーを置いてやったんだから!




