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追放④

 騒ぎが収まると、途端にタカハシを恐怖が襲った。

 アイツ、何の躊躇いもなく、人を殺しやがった・・・まるでゲームかなんかのように、嘲笑って・・・楽しそうに!

 世界が変わったからって、そもそもそんな簡単に、人って変われるものなのか?

 それとも、もし俺が勇者として召喚されてたなら、やはりあんな、鬼畜野郎みたいな事になってたんだろうか?

 《神の祝福》・・・それは元の世界の《運命》みたいなモノか?

 だとすれば、それに自分の意志で、逆らう事は可能なのか?・・・と、タカハシがこの異世界の神様の真意について思い悩んでいると、

「ところで父上、そちらのお方は?」まるで女神か天使を思わせる、耳にも身体にも心地良い、だからこそこの場に不似合いな声が飛び込んで来た。

「そうじゃ、召喚は確か、3人の筈じゃったが?」とは王様、胡散臭いとばかりにタカハシを一瞥。

「はい、それが、何かの手違いで、召喚の魔法陣に巻き込まれた者らしく・・・」相変わらず俺の事となると、気まずそうな表情になる大賢者なのである。

「まあ、それはとんだ災難でしたわね」

 え!? 待ってよ、俺今、気遣われた!? すると俄に、俺の中で張り詰めていたモノが一気に溢れて、ブワッと零れる涙を止められなくなってしまった。うぅ、こんなカワイコちゃんが、俺なんかの心配をしてくれている、社交辞令だと分かってたって、とても無下になんかは出来ません。

「い、いえいえいえ、ぜ〜んぜん気にしてませんよ!」

 ああ、コッチに来て、初めて掛けられた優しい言葉! いや、嘘は止めよう、元の世界でだって・・・

「でも、あちらでの暮らしは、その〜・・・良かったのですか?」

「いや〜、お金も嫁さんも、仕事すら無かったし、何の未練も無いですよ、却って、ただで旅行(?)出来て、ラッキー!つうか。あ、ただ・・・」

「ただ?」

「いえ、その〜、家出丸出し、無一文でこの先、どうやってココで生きてったらいいかな〜って考えると、さすがにちょっと、不安でして・・・」

「では、」と王女は従者を招き、「少ないですけど、当座の足しにして下さいね」

「い、いけませんいけません、そんな、俺は何の能力も無い男ですよ、もったいないもったいない!」

「ふふふ、いいのです、弱い・・・いえ、失礼、優しい異世界人さんなんて、初めて見させて頂いたから、そのお礼ですわ」

 な、なんて良い人なんだ! タカハシは100パーセント、額に絨毯の跡が付く全力の土下座で感謝を伝えると、その金を有り難く受け取った。そして、

「もし・・・」

「え?」

「もしもですよ、俺がこの先、何らかの力に目覚めるような事があったりしてですね、その時は王女様の為に、何かお役に立てたらな〜なんて・・・いえ、すみません、調子に乗りました、冗談です!」

「ウフフ、ハイ、期待してますね!」

「あ、ありがとうございます!!」

「もう良いだろ、金も貰ったんだから、さっさと出て行け!」と、冷たい王様の声で現実に引き戻される。

 ウン、王様の頼みごとだけは全力で拒否しよう・・・てか、この2人本当に親子なの!?


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