初めてのお仕事⑱
さて、あと30分で笛が鳴るというのに、未だに採れた薬草はと云えば、ショウちゃんが見つけた1本きりである。
地道に続けていれば必ず何とかなると、盲滅法な努力を続けていたタカハシにも限界が来た。
【ウルトラサーチッ!】
桜林で妖精たちから貰ったポーション草をイメージして、それらしい呪文を唱えると、たちまち隠れていた薬草たちが姿を表した。それは白いキャンパスに点々と墨を落としたような、実に分かり易いナビ画面であった。
しかし現場へと向かうと問題発生、薬草たちは鋭い棘を持つ茨の群れに守られていたのだ。もしやと他の場所も当たってみると、やはり同じように小癪な城壁で守られているではないか、なるほどな、真珠欲しけりゃ、深い底まで潜らにゃならない、という事か・・・
「なんでわざわざ、こんな厄介なとこを探さなくちゃなんねえだい?」
ここが怪しいと、タカハシが皆を呼ぶと、さっそくトミちゃんが文句を云ってきた。指で茨をツンツンしながら、ヒッと云って、慌てて指を引っ込める、大げさな。
「厄介だからこそ、だよ!」と俺、「俺たちはもう結構なエリアを探したろ? なのに収穫はショウちゃんの1本だけだ、だけど、1本だけ生えてるってのも、何か不自然だと思わないかい?」
「まあ、近くに同じように生えてると思うのが自然かな」と分かってらっしゃるクリちゃんさん。
「そう! そこでだ、ショウちゃんが見つけた場所を中心にして、俺はこんなカンジの怪しい場所を、何と4つも発見したんだ!」
そう云うとタカハシは、ビシッビシッと目星を付けた場所を順々に指差してゆく。そこには同じような形をした、茨に覆われたドームが。
「誰か、今指した場所を探した人は居るかい?」
「・・・」すると全員が黙り込んでしまった、まあ無理も無い、出来れば誰だって、そんな厄介な所は避けて通りたいだろう。タカハシの感知能力を使うまでもなく、皆が薄々気付いていた事ではなかったか?と、ここで、
「わたしは行かないわよ、」まるで先手を打つように、「云ったでしょ、わたしには仕事なんて、帰りの時間までの無駄な時間だって。だからわたしの事は気にせずに、どうか4人で進めてちょうだい」
すると、堪忍袋の緒が切れたトミちゃんが、
「おい、とっつぁん、やっぱコイツ、ぎゃふんと締め上げてくれよ、こんな跳ねっ返り、おりゃ見た事もねえだ、こんなナマイキなあまっこにゃあ、一度痛い目見せてやった方が良いんだべ!」
しかしシノちゃんはフフンと鼻で笑うと、
「怖いからそんな事云ってるんでしょ? そんな意気地なしの底辺の人間に何を云われたって、気にもならないわ、怖いなら止めれば良いでしょ、そして年下のリーダーに殴られて、泣きながら帰れば良いんだわ!」
俺とクリちゃんが説得するよりも、シノちゃんの挑発は恐らく100倍の効果があった。
「こ、こ、こ・・・この、あまっこがーっ! たまたま良い職業が当たったからって、あんま無職を、ナメんじゃねえぞーッ!」




