スラムの夜は更けて⑦
く、臭い!!
なんだ、この目に染みいるような、酸っぱい異臭は?
「アッハッハッハ!」遠くで飲んでいたグループの男が、タカハシを指差して笑ってる、「アイツ、便所で飲む気だぜ!」
しまった! だからこんな良いスポットなのに、人が居なかったのか、しかし、この上戻るのも恥ずかしい、俺は再び林に向かうと、しょうがない、初めてのガチ魔法を試してみる事にした。
「コンシェルジュさ〜ん、起きてる?」
《いつでも》
「ありがとう、じゃあ、ちょっと聞きたいんだけどさ、俺ってさ、魔法とか使えたりすんの?」
《はい、やり方も同じです》分かってるよ、『イメージ』ね。
「でも、燃料?ってゆうか、魔力量とかは大丈夫?」
《オートチャージになってますので、実質使い放題です》って、スマホのパケ放題みたいに・・・
まあ、大は小を兼ねる、ありがたく使わさせて頂きますか!
じゃあ、範囲もイメージして、うん、50メートル四方ってトコか、
「エリア・クリーン♪」って、やっぱ呪文は云いたいじゃん。すると一瞬で土地が生き返り、ずっとこの時を待ち兼ねていただろう、爽やかな草いきれがムッと広がった。そこですかさず、「エリア・ガード!」15坪ほどの清浄な土地を丸い結界で囲む、蘇った草花がやたらヤル気を出して酸素も出しまくるから、空気の心配も要らないだろう、ポケットショピングで銅貨4枚でブルーシートを2枚買って、桜の下に広げる、よし、ようやく食事にありつける!
夏休みに草刈りをして、水打ちをした後のような庭に腰を下ろすと、買い足した紙皿に焼肉串を置いて、とりあえずジョッキのワイン(もどき)を飲んでみる、うん、濃い! そして何よりも・・・ぬるいッ! タカハシは仕方なく銅貨2枚でロックアイスを追加すると、大きめの塊をジョッキの中に落とし込んだ、冷えるまでの間、煙草を咥えてボンヤリと桜の花を見上げる・・・あ〜、とんでもない事になったな〜、半日前まで、真夏の公園で、汗をかいてワンカップを飲んでいたのに、今は異世界の中心で桜を見ながら、愛も叫ばずに謎のワインを飲んでるなんて・・・そうと知ってたら、朝のニュースの星座占いも見とくんだったな、『射手座のA型の皆さ〜ん、今日は異世界召喚に巻き込まれる恐れがありま〜す♪ なので不要不急の外出は控えて下さいネ〜♪』って教えてくれていたに、違いないんだから!




