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召喚②

「あ、眩しい! なんだ、この光!?」突然、ハーレム野郎が大きな声で叫んだ。同時に、タカハシを捕まえていた手も緩んだので、これ幸いと逃げ出そうとすると、アレッ!? 足が地面に吸い付いたように動かない。下から注ぐスポットライトが、ハーレム野郎とタカハシを包み込んで離さないのだ。

「ね、ねえ、どうしちゃったの!?」異変に気付いて、ギャルの2人も駆け寄った。怯えたようなその声に、さっきまでのチャラついた様子は無い、本当に男の事が心配なのだろう、つくづく羨ましいハーレム野郎だ。それでも、本能的に危険を察知してか、決して光の中までは入って来ない。

「おい、ぼさっとしてないで、さっさと手を貸せっ!」彼氏の怒声で、ハッと少女らは我に返る、

「掴まって!」2人がそれぞれ、ハーレム野郎へと手を伸ばした。驚いた事に、既にハーレム野郎の足は、膝の辺りまで地面(!)にめり込んでいるではないか! まさか・・・慌てて自身の足元を見ると、やはりタカハシの足も、踝まで光の中に埋まっており、ナイキのスニーカーのロゴも見えなくなっていた。一瞬、顔面蒼白のハーレム野郎と目が合う、と、ヤツがヤケクソで俺の腰へとしがみついてきた。オイオイ、止せって、俺にソッチの気は無いんだから、ってゆうか、俺を巻き添えにするんじゃねえよ! タカハシが乱暴に引き剥がそうとするも、マッチョなダッコちゃんのようにくっついて離れない。ズズズズ・・・ヤバい、沈む速度が早まった。女たちはどうしたんだ? 見れば、降って湧いたBLな展開に、2人ともポカンと凍り付いている。こ、これは・・・もしや、チャンスか?

 そこでーー溺れる者は藁をも掴む! ギャルがハーレム野郎の為と差し出したその手を、やれありがたや! カエルが獲物を狙う電光石火の素早さで捕らえると、

「それ引け、やれ引けー!」小動物に絡み付く大蛇のよう、ねっちょりと湿ったタカハシの毛深い手が、白魚のようなギャルの細い腕を、まるで芋虫か吸血ヒルのように這い登ってゆく。

「い、イヤアァ〜ッ!」ギャルはこの世の終わりとばかりに悲鳴を上げると、ジタバタとタカハシの手を振りほどきにかかる。しかし、まるで密林に咲く、毒々しい食虫植物のように、暴れれば暴れるほどにタカハシの魔手は少女の細腕へと絡み付いてゆくのであった。その様子を傍観するタカハシにも、思うところがある、コレで俺だけ助かるような事があれば、今度は俺がハーレム野郎じゃないか!と、もはや込み上げる笑いを隠すのも難しい、

「何でこんな時に笑ってんのよ、キショいキショい、キショーーいッ!」

 本能で危険を察知したらしい、全身を総毛立てたギャルは、これまた溺れる者の法則で、不幸にも逃げ遅れたもう1人のギャルの手を掴む、

「ちょっ、何すんの、離して!」

「なに、じゃあアンタ、ヒロシのこと見捨てる気?」と、俄に醜い争いも勃発する。

「おい、ケンカしてる場合か、何でも良いから早く引っぱり上げろ!」既に腰まで消えかかった男が、半狂乱の体で叫ぶ。

う、ううぅ・・・。何とか和解した2人は、協力して即席の綱引き大会。それ引け、やれ引け! ギャルの手を握り返したタカハシが、まるで人ごとのように声援を送る、

「うるさい、ジジイは黙ってろ!」

 お、チキショー、足で蹴ってきやがった、でもラッキー、白いパンティーが丸見えだ! フフ、派手な見た目の割には、下着は意外と保守派なのだね、とはタカハシの心の声なのだが、グヘヘと下卑た笑いで全ては筒抜けだ。

「あ、テメー、どこ見てんだよ、このエロジジイ!」ギャルはタカハシの視線に気づくと、無意識の内に手を離し、慌てて両手でスカートを押さえた・・・と。

え!?

へ!?

あれ!?

いやーッ!!

 タカハシとハーレム野郎は、トプンと、そしてギャルたちはそれに釣られるようにして、ポイポイと魔法陣へと吸い込まれてしまったのである! しかし・・・

 ペッ! ドシンッ! あれれ、何故かタカハシだけが、魔法陣から吐き出されてしまった、イテテテテ、落下の際に打ち付けた腰をさすりながら、何が起きたんだと辺りを見回す、おお、魔法陣が閉じ始めているではないか、だったら俺は、助かったのか? う〜ん、サラバ、ハーレム野郎御一行様、どうか安らかに、ナム〜、とタカハシが心にもない祈りを唱えれば、

(ならついでじゃ・・・ワシが貰うとするか)と、耳元で囁く声、

えっ!?

 驚いて振り返っても誰も居ない、それどころかタカハシは、見えない力で摘み上げられると、ポイッ! 再び魔法陣へと放られて、わー! キャーッ!! 絶叫を上げ先行する、ハーレム3人組の落下行へと加わされたのだ。ああ、やっぱり、結局はそうなるのね。でも、それにしても・・・

『ついで』って何だよ、『ついで』って!?



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