転生チート 干肉ってファンタジー?
天文18年 9月終わり
安祥城への援軍を送り出して、一息付いた天丸です。
織田方の援軍の大将には、織田大和守家との和睦を成立させた立役者、平手政秀殿が、勤めることになった。
本来なら、和睦の後に、準備をして、援軍を率いて行くのだが、兵糧や物質は、天文屋関係で、準備をしていたし、史実に、置いては、水野家の援軍だけ、だったのだけど、天文屋の関係から、佐治家からも援軍を得ることも出来たので、まずまずの結果ではないかと、思っています。
織田弾正忠信秀父上にも、話しを通して、小細工を労していますが、上手く行けば良いな、くらいの心持ちで、考えています。
とはいえ、僕が、転生?なのかな、して、最初の大きな戦に、なるので、試してみたいことが、沢山あります。
小心な、僕としては、毛利元就公の「計り多くは、勝ち、少なくは負ける。」とか、朝倉宗滴公の「犬畜生と、思われようと、勝つことが、武士の本分である。」とかは、常々、心にとめて置こうと思う。
そう言えば、毛利元就公とか、朝倉宗滴公は、まだ、生きているはずだよね?御手紙書いたら、返事くれるかな?くれたら良いな。
後で、御手紙書いてみようかな。
今のところ、熱田の天文屋本店で、お留守番している僕には、待っているしか無いけれど、物質が滞りなく送ることは、しっかり監督して置こう。
普通の戦では、乾飯を携帯食とするけど、乾飯を作る為には、米を炊いて、水洗いしてから干すという、以外に手間をかけて作る物なので、なかなか大変な作業らしい。
武家なら、自分たちで、用意する物なのだろうけど、徴集された雑兵は、普通に玄米をもらって、自分で、煮炊きしないと、食べることも出来ないのですね。
そうは、言っても、この戦国の世では、敵地の村を襲って、略奪が当たり前だったのだから、僕は、まだ甘いのかも知れないね。
僕としては、味方には、餓えて欲しくないので、パンのように食べられるように、ナンを作ってみました。
実は、佐治家の方にも、熱田の水瓶の噂が届いたのか、常滑の窯の方に、水瓶を作ることを奨励して、予定した数以上の水瓶を作ってしまったそうで、困っているそうだ。
だからと言って、涼しくなってきたら、水が冷たくなる水瓶なんて、売れなくなるし、そもそも、熱田明神で、お祓いしているから売れるので有って、普通なら、誰も信用したりしない。熱田の水瓶は、熱田の水瓶だから売れるのである。
結局、お爺に、泣き付いて来たので、安く引き取って来たらしいけど、お爺としても、どうするか、思い付かなかったのか、僕に相談に来た訳ですね。
その時、僕も、日持ちする食べ物がないかと、考えていた時で、試しに、乾飯を食べてみたけど、未だ乳歯の僕には、太刀打ちできない物で、ありました。
そこで、素焼きの水瓶を見ていて、閃いたのが、ナンですね。
ナンを焼く窯に、似ていたので、小麦粉を練って、瓶の中に炭団を入れて、ある程度温度が上がってから、小麦粉の団子を薄く、瓶の内側に張り付る。後は、焼き上がりを待つだけの、簡単な、お仕事ですね。
出来たナンモドキを、皆に、試食してもらったところ、以外にも好評でした。
僕としては、もっちり感も無いし、食べてるときに、籾殻が入っていたりしたけど、皆には、そのくらいは、許容範囲内なのだろうけど、それでも、乾飯とは、比べ物にならないと言うことなのだろう。
もう一つ、今回、保存食を作ってみました。
それは、ファンタジーでは、定番の干肉ですね。
とはいえ、鳥やウサギは、まだしも、イノシンや鹿なんかは、取ったり捌くのも大変だし、数にしても、河原者や山の民との兼ね合いもあるし、世間の考え方からして、普及させるのは、難しいと思っていました。
もちろん僕は、普通に食べてましたよ、生姜塩焼きは、美味しいね!チート料理人、金太さんに、醤油を頼んでいるけど、まだまだ掛かるかな。
ということで、試しに魚で、干肉を作ってみたんだけど、ただの魚ではなくて、マグロや鰹の回遊魚を使ってみました。
実を言えば、麻や木綿で、大きな網を作ってみたんだけど、地引き網をしたら、予想外に、回遊魚のマグロや鰹も掛かって来てしまったらしい。
マグロなんかは、小魚、鰯や鯖、イカ、小海老をエサにしているので、エサを追って、諸ともに網に掛かってしまうらしいのです。
遥か未来ならば、喜ぶところなのだが、冷凍保存もできない戦国時代、食べるのは、ほんの少量で、ほとんど廃棄となってしまうので、本当に困っていたらしい。
この頃は、質素な食生活の為に、油の多い過ぎる食べ物は、身体に合わず、敬遠されていたんだって、事実、江戸時代でも、大トロは、油が多くて、捨てられていたらしく、猫またぎ(猫も食べずに、跨いで通る)なんて、呼ばれていたとか、いないとか。
とにかく、食生活の違いで、食べないし、回遊魚は、泳いでいる勢いで、海水を取り込んで呼吸しているので、網に掛かると、そんなに持たないで、直ぐに死んでしまうので、逃がしても、浜に打ち上がってしまう。
それでは、穴を掘って埋めるか、沖まで運んで、捨てるかになってしまうので、僕としても、試してみることにした。
マグロを解体してもらったけれど、ちょうど良い刃物がなくて、小刀を使ってもらったら、直ぐに、油で、ギトギトになって、切れ味が悪くなった。
切り身は、海水で茹でて、油抜きしてから塩につけてから、干して、乾いたら完成という、手抜き作業だけど、欲しがる者もいたので、分けて持って帰ってもらった。
もちろん、油は、海に捨てないように言ったよ。




