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天の子  作者: 夢樹明
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東から悪報 西からは、良報

 天文18年 9月後半


 秋が、深まるなかで、真面目に手習いをする天丸です。


 普通なら、数え4つの幼児だと、手習いなど、まだまだ先の話しになるのだけど、僕には、遥か未来の前世の記憶が、有るからと、高を括っていたら、漢字は、複雑だし、崩し文字なんて、しと、くの、区別どころか、下手したら、らと、りの区別すら難しい場合があったりします。


 こんなもの、どう読むんだと思ったら、前の文から、後の文のつながりから、推測して読むものだそうで、まずは、単語を探すことから、始めなければならない。


 ちなみに、教えてくれているのは、とよさんと言う、四つ葉よりも、少し年上の女性です。


 もともと、奴隷として買った集団の中にいたのだが、お婆の目にとまり、預かり場の子供たちに、読み書きや、簡単な計算を教えるようになり、どうも、どこぞの武家の姫だったらしく、僕も初歩的なことを教えてもらっています。


 崩し文字は、解読が難しいので、50音のひらがなを広めるべきか、悩むところです。


 ちなみに、四つ葉は、どうしているかと言えば、僕と一緒に手習いをしています。


 僕の護衛に選ばれる程、優秀な、四つ葉ですが、ちょっと難しい読み書きに、四苦八苦している姿を見ていると、微笑ましく思ってしまいますね。



 手習いを終えて、軽い昼食をいただいているとき、東西から、良い知らせと、悪い知らせが、届いた。


 西からは、良い知らせがとして、織田弾正忠家と、織田大和守家の和睦が成されたそうです。


 まだ、引っ張っていたのか大和守家、と思って呆れてしまいますね。


 東から、悪い知らせとして、東条吉良家の当主、吉良義安が、今川の軍門に下り、義父である、後藤三太夫の一派を追放して、今川の軍勢に合流するらしい。


 後藤一派が、手傷を負いながらも、織田方へ逃げ混んで来た為に発覚したようだ。


 確か、史実での吉良義安は、今川や、西条吉良家の吉良義昭と、戦い、敗れて身柄を押さえられながらも、今川家にて、何不自由なく過ごしたはずだよな。


 今川家としても、格上の吉良家に対して、一定の配慮をしなければならないのだろうけど、内心は、どうなのな。


 本来の史実なら、安祥城を攻略して、城主の織田三郎五郎信広兄上を人質にして、織田家にいる、松平竹千代君との、人質交換をして、竹千代君は、駿河での人質生活を送るんだよな。

 

 三河支配の大義名分にするんだけど、戦国時代なんて言いながら、基本的に、戦をするには、どんなつまらない事でも、理由が必要になったりする。


 今回の安祥城の合戦も、三河の豪族の支援と言う、大義名分が元になっている。


 東条吉良家に、兵を進めたのも、西条吉良家からの支援を要請されたから、といった大義名分があったのだが、いち早く吉良義安に降伏されてしまっては、東条吉良家を降す大義名分を失ったのは、黒衣の宰相と言われる太原雪斎としても、さぞ驚いたことだろう。


 聞いた話しだと、吉良義安殿自ら、今川本陣まで、出向いたそうで、三河の有力な豪族もいる中では、さすがに無かったことには出来なかったらしい。


 今川軍の軍勢中で、堂々と本陣まで行く吉良義安もさすがである。


 これは、今川家の思惑からは、外れていたのでは、無いかと思う。


 どちらにしろ、東条吉良家の軍勢をどこに配置するかも、悩むところだろう。


 さて、起こってしまったことは仕方ないとして、織田大和守家との和睦についても話して置こう。


 史実では、秋に和睦が、成されるはずだから、だいたい合っているのだろうか。


 織田三郎信長兄上の守り役である、平手政秀殿の交渉により、和睦が成立したのだが、織田大和守家としても、ここいらが落とし処だったのだろう。


 ちょうど、今、お爺と計った、美濃の墨俣での、大市を開催しているのですが、大市の警備の為に、美濃の兵を食事をこちら持ちで、頼んだところ、実に、2000程の兵を集めてくれた。


 天文屋としては、報酬に、食事くらいしか提示してなかったのだが、ただ飯の為に、良く2000もの兵を集めたものだ。


 それでも、斎藤道三公にとっては、銭を稼ぎ、外から必要な物品を購入することで、国人たちの支持も得られるし、兵たちの飯代もこちら持ちなのだから、お得に感じるはずだよな。


 たまぁ、こちらとしても、美濃方面にまとまった兵力が集まることで、織田大和守家との和睦への一助になったと思いたい。


 織田大和守家にも、それなりの計算は、あるのだろう。


 まずは、織田弾正忠家の力を削ぎ落としたい、だからと言って、今川家の力が強く成り過ぎるのも困ってしまう。


 今回は、東西の吉良家が、双方ともに敵対するのは、想定外なのかもしれない。


 東条吉良家の吉良義安が、織田弾正忠家と敵対することで、家を保っているのは、史実からは、外れた動きには、なったけれど、そこまで大きな変化はには、ならないのでは無いかと思う。

 

 変化があるとしたら、今川家の対応に、なるだろう。


 本来なら、東条の城を落として、西条吉良家を東条城に移して、吉良家を織田より守る為に、西条の城に、今川の家臣を置くことを考えていた、今川義元も面白くないはずだよな。


 それでも、太原雪斎なら、難くせをつけて、なんとか今川の都合の良い形に持って行きそうで、怖いところだよな。


 もっとも、全ては、織田弾正忠家に勝つことが大前提として、あるんだから、これからの戦次第で、どう転ぶか、わからない状態だけどね。



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