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天の子  作者: 夢樹明
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かか様

 さて、かか様についても、話をして置こう。


 お爺とお婆の愛娘、きよ、僕、天丸のかか様で、とても美人で、気立ての良い娘として、近隣でわ知らぬ者はいないと、評判だったそうで、年頃になってからも、なる前からも、縁談の話は、ひっきりなしだったのだが、お爺は、その全てを断っていた。



 なかには、かなり大店の旦那や跡取り息子、そこそこの武士からの話もあって、なかなか断ることの難しい話でも躊躇なく断ってしまったらしい。


 お爺は、なぜ、そこまで強気に出られたのか?その当時、桶屋の喜右衛門と呼ばれていたが、木工職人は、もちろん、鍛冶職人にも顔が利く。


 更には、船もいくつか所有していた。いわゆる大金持ちだったのだ。


 そして、お爺は、近隣の有力者に、大量の銭を貸して、商売の便宜を図ってもらっていたのだ。


 別に、銭の貸し借りを生業にしている訳でわないが、それで、話がスムーズに進むことも多いのも確かなので、僕は、口出しすることもないし、口出しできる立場でもない。


 もっとも、この時代、借金を踏み倒されることも多いので、なかなか面倒で、難しく先を見る力が必要になってる。



 と、そんなこんなで、かか様の噂は、織田弾正忠信秀様の耳に入り、視察に訪れた熱田の店で、かか様を見初めた訳です。


 この時代、いくら気に入っても、直接声をかけるようなことは、しない。


 後日、使いを出して、日時を選んで娘を城へ寄越すように、話し合いをするのだが、なんと、林佐渡守秀貞が、使者として来たそうだ。あっ、今は、まだ佐渡守じゃなかったっけ?


 林秀貞が来ても、当然のように断ったそうだ。当時の秀貞も30位だから、お爺の相手は厳しいだろうか?

 当然のように借り入れ金もあったようだけど。


 最後は、刀に手を掛けたほどだが、武器を持った店の人足に囲まれていたのが分かり、黙っ帰って行ったのだとか。


 そんな対応をして、只で済むはずもなく、しばらく何もなかったが、お爺が商売で、遠出している時に、事件が起きた。


 かか様が、拐かされた(誘拐)のだ。


 かか様は、よく熱田の宮に詣でていた。その帰りに、お付きの侍女ごと拐われたのだ。


 護衛もいたのだが、近くで騒ぎ起きて、少数を残して、騒ぎを静めている間に残った護衛が殴り倒されて、かか様が、消えていたそうだ。


 すぐに、探したが何処にも見つけられなかった。


 騒ぎを起こした者たちも、いつの間にか見当たらなくなっていた。


 慌てた護衛たちは、店に戻り、お婆に報告する。

 護衛の中には、腹を切ると騒いだ者もいたが、お婆に一括され一旦騒ぎは収まるが、お爺が帰る頃には、末森城の織田弾正忠信秀様から、かか様についての知らせが届いていた。



 お爺に届いた便りには、かか様の手紙も同封されていて、かか様の手紙を読んだ、お爺は、なぜか涙を流していたそうだ。


 後日、お爺は、武装した人足500人と、ともに末森城へ向かった。


 お婆は、500の人足とともに残り、お爺は、数人の護衛と末森城へ入って行った。


 お婆によると、お城は、大騒ぎだったが、お爺と信秀様の話し合いで、かか様に多額の持参金を持たせることにして、かか様の生活支援、化粧領地の管理等、決めごとをして、和解することになった。


 お爺が、城から出てくると、織田方の軍勢も集まって来ていて、生きた心地がしなかったと、お婆は、笑っていた。


 その時の話し合いで、中根と言う名字をもらい、天文屋の屋号を認めてもらって、塩の製造販売等、商売に関しては、かなり優遇を勝ち取っていた。



 その代わり、織田領内を騒がせた。として家臣の借金をかなり減額したようで、お婆は、ずいぶん怒ったそうだ。

 

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