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天の子  作者: 夢樹明
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百地、藤林の臣従

 天文18年 8月下旬


 お爺の紹介で、風間出羽守一党が、臣下と、成りました。


 いきなり過ぎるけど、分派だそうで、北条家との関係は、拗れることは、無いだろうと信じたいところです。


 お婆に聞いたところによると、皆、痩せていて、子供や年寄りも多くいて、手足の欠損のある人や、上手く歩けない者もいたそうです。


 お爺に聞いていたそうで、とりあえず良く煮た雑炊を、たっぷり用意したけれど、衰弱している者もいるので、身体に悪いだろうからと、理由を話して、腹一杯にならないように、加減して少しずつ振る舞ったそうです。


 まずは、体力を回復してもらうことを優先して、しばらくは、ゆっくり休んで、英気を養ってから、各々に出来る仕事をしてもらおう。

 悪いけど、仕事はいくらでも有ったりするから、休める内に、きちんと休んで欲しいと思うのです。



 今回、半三より、会って欲しい人物があると、紹介を受けています。


 彦九郎に、出羽守、もちろん、お爺と、皆、勢揃いしています。

 

 半三と、紹介の2人が、平伏して待っていた。


 1人は、老齢に掛かるだろうと、見え、もう1人は、壮年のように、見える。


 半三により、

「天丸様には、ご機嫌麗しく、祝着至極にございます」 


 お爺により、面を上げてもらい、あいさつを受ける。


「百地三太夫正永に、ございます」


「藤林長門守保豊に、ございます」


 え~っ、え?なんで?何が起きているんだろうか、おかしくない、百地三太夫って、丹波守じゃないの?藤林長門守って、半三と合わせて、伊賀の三つの支配豪族じゃないの。


 どういうことか聞いてみると、実は、半三に頼んでいた、炭団やお茶について、なかなか動きの取れなかった半三は、百地三太夫に頼んで手配してもらっていたらしくて、今も炭団と紙については、どんどん作ってもらっている。


 お茶が、やたら高値で取引してもらって、驚いたと思ったら、炭団や紙もいい値をつけて、米、雑穀に酒、塩、味噌玉、煮干し、フカの肉を手に入れることが出来て、伊賀の衆からの受けもいいらしい。


 お茶については、上手く、言う通り作ってもらったから、きちんと緑茶が出来たから、高値がついただけなんだけどね。


 実を言えば、この頃のお茶って、緑茶が無くて、具体的に言えば、遥か未来のほうじ茶を濃くしたような、茶色のお茶しかなかったのですね。


 だから、茶色は、この頃のお茶の色な訳ですね。

 

 しかも、抹茶しか無くて、煎茶のような飲み方は、されてなかったんだよね。


 まだ、千利休も、これから有名になって来たりするしのかな。茶器については、お爺に任せて、唐物とか、良さげな物を手に入るようなら、手に入れて、焼き物を造る見本にしてもいいか、と、思っているのです。


 まぁ、なんだかんだ言って、詰まるところ、伊賀の有力豪族が、僕の臣下に成りたいのは、銭が理由ということなんですね。


 半三が、もらしたのだが、商材の一部を他の商家に持ち込んだらしいが、かなり買い叩かれそうになったらしい。


 なんか、壮年の方、百地三太夫が、固まったように思う。


 無理も無い話しである。商品を売り込むときは、その商品の良い点と悪い点を、良く理解して、良い点を上手くプレゼン出来なければ、高く売ることなどできる訳が無い、第一、緑茶なんてなかった物をいきなり売るには、なかなか厳しいものがあるだろう。

 

 何よりこの時代では、普通、竹か、木の器を使って、いて、新しい竹の器でもなければ、緑の映える緑茶の良さがわからないだろうな。


 ここで、半三、三太夫、長門守が臣下になったことは、大きな意味があることで、伊賀での使える土地も増えるということになる。


 半三には、言っておいたけど、椎茸の栽培を依頼したいと思っています。

 

 まずは、椎茸を取る必要があるけど、クヌギ、コナラ、シイのような広葉樹の丸太を1メートルくらいに切って、立て掛けて並べたところに、日が当たらないような屋根を掛けるけれど、雨漏りOKの場所を作って置いて、木にキズをつけて、環境を整えて、椎茸から出る胞子を植え付けるように、近くに置いて、様子を見てもらおうかな。


 それとも、椎茸を見つけたら周りにおが屑を撒いて置いて、胞子を付ける方が良いかな、そのおが屑をキズつけた丸太につける方法の2通り試してもらった方が確実かもしれないな。


 欲望と、言う解りやすい動機なら、余程の不利益が無い限り、裏切ることは無いのだろうが、しばらくは、様子見かな?

 

 それはさておき、老齢の藤林長門守は、最近まで、今川家に仕えていたそうで、周りから厳しい目で、見られていたが、どこ吹く風を貫いていた。


 ただ、情報として、今川家では、三河安祥城を攻めることが、決定しているそうで、その為に、親織田家を称えている、東条吉良家の吉良義安のいる東条城を攻めることにもなっているらしい。


 僕の考えとしては、安祥城のある、矢作川西岸は、押さえて置きたい。それなら、逆に、西側にある、西条吉良家の西条城、西尾城かな?を攻略を目指したいな。



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