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天の子  作者: 夢樹明
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城普請と近況

 天文18年 7月下旬


 古渡城使用の許しをもらって、ホクホクな天丸です。


 正直、大した反対もなく、古渡城を使えるとは思っていなかったので、ちょっと不思議に思っていました。


 調べてもらったところ、なかなかに政治的絡みがあることがわかりました。


 天文16年(1547年)の加納口の戦いにおいて、父、織田弾正忠信秀は、土岐家支援のために、朝倉家と共に、斎藤山城守道三公と、対していたときに、尾張の主導権争いをしていた、清須の織田大和守信友が家臣、坂井大善が、古渡城へと攻勢を仕掛けたのである。


 結果、父、信秀は、大敗して戻ることになるが、坂井大善もまた、古渡城を落とすことができずに、腹いせか、城下町を焼き尽くして退いて行ったのです。



 父、信秀は、政治的判断で、対今川用に、築城していた、末森城へと拠点を移すことにして、古渡城の廃城を決めたのだ。


 しかし、清須としては、自らが勝ち、父、信秀側が、負けたので、拠点を移したのだと、喧伝して来た。


 事実として、古渡城を廃城とし、拠点を末森城へと移したことで、実際とは違う認識をする者も多く、どうしたものかと思っていたところだったと言う。


 幸い、三郎信長兄上の守り役、平手政秀殿の働きで、昨年、三郎兄上と、道三公の姫、帰蝶殿との婚姻が成立して、美濃との婚姻同盟に至ることは、織田弾正忠家の力が増したと見る向きも増えて、弾正忠家にすり寄る国人もいる今、更に、古渡城の再建をすることは、尾張近隣に、織田弾正忠家の力を示すことになり、とても都合がいい。


 古渡城は、今、空前の好景気に湧いている。

 傭兵、渡りの職人、一発当てようと商人に、流人、河原者、貴賤を問わず仕事を与えている。

 もちろん、半三配下の者や預かり場出身の信用の置ける者を監視に当てている。


 浪人者も多く来ているようだ。なぜか、僕に、家臣として、仕官できるかも知れないと、噂が流れている。


 真面目で、有能ならば、考えてもいいかな。



 そう言えば、金太さんが、新しい食材を作り出した。

 まるっきりの新作ではないけど、アカモクと一緒に、ワカメや天草も手に入いるので、心太を作ったそうだ。

 それに、麦芽飴を利用して、酒を作るつもりで、なぜか、お酢ができてしまったらしい。温度管理が、難しいらしい。


 酢ができたので、酢ダコもできるようになった。たこは、足が八本あって、末広がりなことで、縁起の良くて、多幸と書いて、売っているそうだ。


 それから、美濃から、石灰が手に入ったことで、こんにゃくもできるようになった。

 

 味噌田楽も、変わった食感が、人気になっている。個人的には、ほぼ0カロリーは、食品とは言えないんじゃないかと思ってしまう。

 ただ、こんにゃく作りには、大きな意味がある。



 それはさておき、丈夫な糸と藁半紙が手に入ったので、凧上げをしたいと、思います。


 朝、まだ薄暗いうちに、僕と、お付きの、二平、三矢、四つ葉、それと、護衛の皆にも、順番に、四角い物から、立体凧なんかを上げていく。


 木綿の強い糸がないと、高く上げられない。

 1つ盲点だったのは、僕は身体が小さくて、なかなか凧が上げられなかったことだ。


 お付きの、3人は、コツをつかむはのが上手く、かなりの高さまで、上がっていた。


 残念だけど、日が登り明るくなると、野次馬が、うるさいので、撤収する。

 

 考えてみたら、今の時代に、凧上げなんかすることあるのかな?時代の先取りしてるな。


 朝食を弁当で、食べて、山へも行こうと思います。

 山と言っても、人里に近い場所では、以外に片付いている。

 この時代というより、遥か未来の化学肥料ができるまで、山浚いと言って、山の落ち葉や枯れ葉を田畑に入れて肥料代わりにしていた。

 届く範囲の枝も切って薪として使うので、山の管理は、村ごとに決められていて、山の肥やしをめぐり村人同士で、喧嘩の騒ぎは、日常茶飯事だったそうだ。

 最悪、人死にが出る程に、シビアなものだったのです。


 ちなみに、この環境と、当時は松も多くあったので、松茸は想像以上に沢山取れたのですが、その独特の香りのために、食べるのは貧しい者や山に住む者などで、あまり一般的ではなかったりします。


 食品チートな、椎茸は、明るかったり、適度な湿度が無いとできずらくなるので、この時代では、高級食材になる。

 まずは、自由にできる山を確保する必要があったりします。

 

 横道に逸れたけど、山へは、弩の試射に来ました。僕にも射てる弩を作ってもらいました。

 残念ながら、自分では弦を引けません。当たり前か、数え4つに引ける弩など無いな。


 僕の弩の練習は、早々に終了して、お付きの3人や、護衛に、弩の練習をしてもらう。


 まだまだ、守ってもらわないと。

 

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