表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天の子  作者: 夢樹明
11/36

熱田の宮の水瓶

 天文18年 1549年 7月


 今日は、朝方から、大忙しです。


 朝食の後、祭りで、舞台で舞いをした装束を身に付けています。


 先日、素焼きの壺、大きさ的に 、瓶になるのか、が、10個程届いたので、今日は、その瓶を持って、熱田神宮に向かいたいと思います。


 お爺に、お願いして、熱田神宮を領している千秋家の季忠様に立ち会っていただき、神職の森部殿に、ご祈祷をしていただくのです。


 ただ、素焼きの瓶を持って行くのではなくて、ちょっとした宣伝を兼ねて行こうと思います。


「では、行くぞ!」


「「「おおー!」」」


 お爺を先頭に、お供えの酒や御供物を持った者、素焼きの瓶を、材木で組んだ輿に乗せて、屈強な男衆に担いでもらって、町を練り歩きながら、熱田神宮に向かって行く。


 僕は、輿の瓶の前に、ちょこんと座って、町の人たちに、手をふりながら、愛想を振り撒いて行く。


 町をあちこちと、練り歩いて、熱田神宮に着いたときには、気分が悪くなって、ふらふらになってしまった。


 残念ながら、ご祈祷の間中、僕は、お爺に抱っこされて、ぐったりとしていた。


 帰りは、瓶に、熱田神宮の御札を張り付けて、練り歩きながら天文屋まで戻った。


 さすがに、帰りは輿には乗らずに、お爺と帰った。


 本番は、これからで、店の前に瓶を設置して、水を入れたら、柄杓と竹を切ったコップを載せた台を隣に置く。そして、立て札を立てた。ご自由に、と。更に店の者には、水を飲むように声かけをさせる。


 流行り好きな者は、すぐに水を飲んだ。次々と水を飲む人たちが行列ができる程だった。


 次の日も、もの珍しさで、水を飲みにくる人は結構いた。


 何日かたっても、水を飲みにくる人たちがいる。それに釣られるように、天文屋で買い物する客も増えてきた。


 近くの店の主も、天文屋が、栄えているようなので、同じように、店の前に水瓶を置いて、客よせした。最初は、もの珍しさから飲みにきたが、やがて来なくなった。

 

 そして、なぜか、天文屋の水瓶だけが、水を飲みにくる人がいた。近くの店の者は、不思議に思って、水を飲みにくる人たちに聞いてみた。

「何で、天文屋さんに、水を飲みにくるんだ」


 列に並んでる人たちは、


「ここのは、冷たくてうまいからだ」


 と言う答えが帰ってきた。


 それならと、並んで水を飲んでみたら、確かに冷たくてうまい、自分の店の水瓶の水は、ぬるい?何でこんなことがと、不思議に思った。自分の店の水瓶は、明らかに天文屋の水瓶より上等な物なのに、ご祈祷だってした、御札だって張ってあるのに、


 やがて、人々は噂する、天文屋の水瓶は、熱田の宮の加護があるから、いつでも水が冷えているんだと。



「お天、また、客が水瓶が欲しいと言ってきたぞ」


「買ったことを、秘密にしてくれるなら売っていいんじゃない」


「素焼きの安い水瓶が、何倍にも売れるんだから、すごいな」


 お爺も、何で、水が冷たくなるのかは、良くわかってない。この水瓶の商売も100個なくなったら終わりだな。


 素焼きの瓶の水が、冷たくなるのは、気化冷凍‥‥じゃなくて、気化熱が影響しているからなんだけど、素焼きだと、少しずつ水が漏れて、蒸発するを繰り返して中の水が冷えるだけなんて、戦国時代の人たちは、誰も理解できない。


 本当は、そこまで冷たくなった訳では、無いんだけど、今、旧歴7月、令和なら8月だから、周りが暑くなれば、水瓶の水が冷たく感じる。丁度、井戸水の温度は変わらないのに、夏と冬で、冷たかったり、温かかったりするのと同じ理由になったりします。


 他の店は、ウチより良く見せようと、釉薬を使ってる水瓶だから、水漏れもなくて気化熱で冷たくならなかっただけです。


 ちょっとだけ、熱田の神の加護とかがあるんじゃないかと、噂に慣ればいいと、思っただけなんだよね。


 熱田の御札の横に、僕の手形をスタンプして張り付けたのは、やりすぎだったかな?


 気化熱を利用して、安い瓶を高値で売って、更に熱田神宮の不思議な水瓶って、ちょっと評判になったから、もういいかな。

 


 でも、なぜか、伊賀から来た3人は、僕をめっちゃ、敬ってくるんだよね。

こういう、水瓶は、エジプトとかの方にあったはずです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 文節や主語ごとに句点が打たれていることが私は気になりました。 文節や、主語ごとに、句点が打たれていることが、私は、気になりました。 これだと読むときに引っかかりが多いと思います。
[良い点] 面白い [一言] ジーアポットの事かな よく知らないけど
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ