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父と子

 おれは幼い頃から

 お袋よりも

 親父のことが

 好きだった

 昔気質で

 頑固で意地っ張りな

 ところもあったが

 おれは親父の

 そんなところが

 好きだった

 

 お袋は

 優しい母親だったが

 親父よりも

 おっとりしていて 

 優柔不断な

 ところがあって

 親父のほうが

 頼りがいがあった

 おれはそんな親父の

 背中を見ながら 

 育ってきた


 そんな親父は

 いつでも 

 お袋と

 一緒だった

 幼い頃は

 親父とお袋は

 しょっちゅう夫婦喧嘩を

 していたし

 酒を飲んでは

 親父はお袋と

 毎晩口論になった

 

 だけど親父は 

 お袋以外の女とは

 仲良くなったり

 浮気をするような 

 素振りすら

 見せなかった


 そんな親父は

 モノを創り上げることが

 大事なことだと

 信じていた

 すなわち創造することが

 文化だと

 言っていた

 

 おれはその点

 正反対だった

 文化は創り上げる

 モノではなく

 破壊するモノだと

 そう信じていた


 親父はまた

 教育も

 政治も

 学校も 

 必要なモノだと

 信じていたが

 おれはどれも

 信じられなかった


 そんな対照的な

 こともあるが

 それでもおれは

 親父のことが

 好きだった

 

 大人になった今では

 親父とおれは

 あまりにも

 似ているところが

 多すぎて

 ときどき驚くことがある

 

 親父の考え方も

 ちょっとした仕草も

 そっくりそのまま

 このおれが

 受け継いでいる

 

 おれは間違いなく

 親父の息子だ

 それだけは 

 断言できる


 絶対にね

 


 

 

 

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