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人外すらドン引きの「女の園」 1

 王立中央学院。通称、中学。

 ここ中学には貴族子息、令嬢が全て集まる。

 また生徒の中には、少数の平民、貧民も集まる。


 一ニ歳からニ○歳までの八年間在席。総生徒数は三○○○人程度。

 そして様々な科。

 精霊科・騎士科・武官科・文官科・令嬢科・生活科の計六科で構成されている。


 ナルは一八歳。学年では六年生。

 科は令嬢科に所属する。

 その六年生では、実践的な実習や授業が、たくさん行われる。

 令嬢科の内容は、模擬パーティを行い、食事、礼、手足の細かな動き、ダンスなど。幅広く採点がされる。


 今、ハーレムちゃんが覗いているのは、模擬パーティでの実習授業だ。

 当然、見ているのはナル。


 異変があったのは入場後、教員が開催号令をかけた時だった。


「それでは皆さん! 模擬パーティを開催します。

 女子生徒の皆さんは、パートナーの試験官と、共にしていただきます。

 一つ一つの動作が、見られていることを頭に置いて、パーティに参加しなさい。

 試験官の誘いに従い、令嬢として満点の姿を見せること」


 女教師の言葉が会場内に響く。


 だが聞いているのは少数。

 ほとんどが、男試験官に対して、色気を振りまいている。

 腕を組み、体を密着させる。可愛らしい声で、楽しく会話をする。本当の婚約者同士のようだ。

 令嬢科では、男子生徒との関わりは、極端に減る。それ故に、このような男との関わりを、楽しんでいるのだ。

 閑話休題。


 このような会場内の空気の中。

 悪い意味で、目立っている一組。

 それがナルたちだった。

 試験官と三歩、距離を取っている。

 これはナルから、離れたのではない。



「キシシ」


 ナルを見ている集団が一つ。

 中心からは、下品な笑い声が聞こえる。


「貴方、言った通りやってきなさい」

「分かりました。テラシア様」


 声の主は、このディーネ王国の第一皇女。


 テラシア・ディーネ第一皇女

 王家の特徴を濃く受け継ぐ。

 水色のロング髪。

 中性的で美術品のような、整ったパーツと左右対称な顔。

 金色のドレスは、天井の灯りに反射して、目が痛くなるほど輝く。

 同じく金色に統一された、指輪や髪飾り、腕輪、ネックレス。

 相手を威圧するような美しさ。

 だが金の使い方に鬱陶しさがある。彼女の性格を表しているようだ。


 テラシアの指示により、囲む十数人の中の一人。

 令嬢がナルの背後へと、気配を殺して近づく。


「キシシシ、シシ」


 テラシアは、一歩、一歩と距離が近づくことに、口角を上げ、笑い声を漏らす。

 笑みを隠そうともせず、声を抑えようともさない。

 残念ながら下品と言わざるを得ない。

 まあ第一皇女、ゆえに誰も言わないのだが。



「一秒一秒に気を張り、本気で取り組むように。ではパーティを開催します!」


 教員が模擬パーティの開催を宣言する。

 会場内がざわつき、それぞれに動き始める。


「はぁ」


 そんな中、ナルのパートナーの試験官は、ため息を吐いていた。

 隠そうともせず、目の前で行ってくるのだ。

 しかしナルからすれば、慣れっこのこと。

 何時も通り、挨拶から始めようとカーテシー(ドレスのスカートを上げ、足を後ろに引く)を行おうとした。


 スッ。


 ナルの軸足に蹴りが入れられる。


「んな!?」


 咄嗟のことに驚き、盛大に尻もちをついた。


 ゴンッ。


 周りの令嬢たちも驚き、音の発生源に目を向けた。


「いって」


 ナルは犯人の令嬢を、目で追った。

 その令嬢が行く先には、テラシアたちの集団があった。

 集団は、こちらを見て、下品に笑う。

 特にテラシアは、満面の笑みだった。

 パートナーである男は、手を貸す素振りもない。

 ナルは仕方がなく、自身で立ち上がる。


「また貴方ですか! ナルティア・レーグラント!」


 大声を上げて、近づいてきたのは、ステージ上で開催を宣言した教員。


 フェン・トオリ教員だった。

 病的に青白く、折れそうな細身。

 頬がコケ、健康的ではない。

 ナルは立ち上がり、見えないように、ため息をつく。


「はい。トオリ先生」

「貴方は毎度、毎度、他人に迷惑を掛けていることを自覚なさい!」


 トオリは、ナルを指を指し、言葉荒く言う。


「貴方の不注意によって、巻き込まれたらどうするの! 他の令嬢たちが怪我したらどうするの! どうするつもりなの!」


 ナルの肩を押し、言葉と物理で追い詰める。


「全くっ。

 貴方のような子が一番大変。

 先生の身にもなって頂戴。貴方が怪我を負わせたら、貴方だけの責任じゃないの。

 ワタクシにまで影響を及ぼすの!」


 青白い肌を真っ赤に染め、「ぜぇぜぇぜぇ」と息切れしたようだ。

 しばらくして、顔色が戻り、息が落ち着く。


「勘弁して。落ち着きなさい」


 そう言うとトオリは去っていった。

 テラシアは、汚い笑み浮かべ、見ていた。

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