憤怒
「チッ、面倒くせぇ」
「んだって、子守りなんか」
永遠と文句を聞かされている。
(これはジアが心配だーー)
グググッ。
案の定、ジアは怒りでシワがよっている。さらに怒りを押さえるためか、歯を食いしばり、声を漏らす。
「兄さん、抑えて、抑えて」
そんな兄を見て、ニアは抑えようとする。
こんな状況を見て、ナルはため息が出た。
騎士科のカリキュラムには、王都警備実習がある。
ナル、ジア、ニアの三人は同じ班として、参加していた。
班は小月の間、三班が実習に参加。そのため普段の訓練や科目は、通常通り行われている。
だが今日の三人は運が悪かった。
騎士科で噂されていた、態度の悪い警備騎士たち。
ハーフ、汚血を下に見る。
初日の警備実習の説明は、適当で差別発言を言い、からかう。
そして二日目では文句を言われ、ジアはキレかけているということだ。
すると貧民街に入ってすく、取っ組み合いをしている集団を発見した。
「おい、汚血。止めてこい」
「え?」
「ああ、お前、ドブ令嬢。お前、貧民と仲が良いらしいな。行けるだろ? 止めてこいよ、ほら」
すると二人の騎士は、呑気に煙草を吸い始める。
「え、えぇーーー」
ナルはため息と驚きが、混じった声を漏らす。
そして班の二人を見るが、ジアは腕を組んで目を閉じている。
ニアは、そんな兄の様子を見て、オロオロとしていた。
「……了解です。行ってきます」
協力を得られず、ナル一人で止めに行く。
「てめぇが手ぇ出したんだろうがっ! 黙って聞いてりゃ、いい気になりやがって!」
「お前は、何も言わずに黙ってた、だけだろ! 意見も出せねぇやつが、文句言うなや!」
二人は襟を掴み合い、今にも殴り合いが起きそうである。
「あー、そのー……。えー」
そんな状況にナルが手出しを出来るはずもない。
何とか落ち着かせようと、「まあまあ」「落ち着いてください」と声をかける。
だが効き目はない。そして助けを求めようと、振り返る。
「たくっ、面倒な令嬢だ」
煙草を吸い終えた騎士が呟く。
そしてナルの頭上に向けて、手を伸ばした。
「んなっ!」
すると頭上に大量の水が現れる。
そしてナルが避ける時間もなく、落下した。
バシャーン!
貧民街といえど、通行人も多く、両サイドには住居があった。
それを無視した行為。
見物人たちも、水に流される。
「ゴホッ、何をーー」
ナルが騎士に問おうとした瞬間。
騎士は掴み合いをした二人に近づく。
「おらっ!」
「ごはっ」
水に流され倒れていた二人。そんな二人の横腹に蹴りを入れる。
「おらっ、おらっ、おらっ!」
「何をしてるんですか!」
ナルは割って入る。
「んあ? 見えるだろ。騎士のお仕事だよ。
邪魔だどけ」
騎士は顔色変えず、当然のように言う。
ナルはそんな態度に疑問符を浮かべる。
「な、何を言っているんですか? ただの暴力行為ではないですか。
それに、こんなところで水を生み出して、建物や通行人にも被害がーー」
「うっせぇな。黙ってろよ、汚血が!
こんなゴミ溜め、綺麗にしてやってんだろうが。
お前らは騎士様に感謝して、見てりゃあいいんだよ!」
そう言うと、騎士は剣を抜いた。
「キャア!」
通行人から悲鳴が聞こえた。
だがナルは止まったりしない。
一瞬で距離を詰め、腕を掴み、一本背負い。
そしてナルは剣を奪う。
「「「おおおー!」」」
通行人たちから歓声と拍手が出る。
騎士の差別的な言動を聞き、ナルのことを知っている者たちから。
「お前っ!」
しかし二人目の騎士も剣を抜く。
形成は一瞬で騎士を倒したナルに傾いた。と誰もが思った。
しかし祝福を受けた者と受けてない者。
力の差は歴然としていた。
「……グッ。…………。」
立ち上がった騎士との二人がかり。
ナルは一瞬で倒される。
さらに騎士たちの追い打ち。
ナルは頭から血を流し、何度も蹴られている。何も痛みからか、うめき声を漏らす。しかし立つことも、守ることもできず、暴力を受けている。
通行人らも顔面蒼白だった。
そして祝福による差。
助けようと行動出来る者はいなかった。
「てめぇら……」
一人を除いて。
ジアはニアの抑えを振り切り、剣を抜く。そして濃厚や殺気を放ち、ゆっくりと距離を縮める。
「何、やってんだ」
ガンッ!
そして一瞬、ジアは距離を詰め、騎士の持つ剣を吹き飛ばす。
「んなっ。水よ!」
すかさず水を生み出して距離を取る。
そしてジア対騎士二人がかりの戦いに発展する。
さらにーー
「止めろー!」
すると武器を持たない通行人が騎士にタックルした。
「行けっ! 止めろ、止めろ!」
一人、二人と人数が増えていく。
「おいおい! クソが!」
「ヤバいって」
そして人数は増え、騎士二人対その他と殴り合いになった。
「コイツら生かして返すな!」
「ナル様を殴ったやつだ! 吊るしあげろ!」
街中を巻き込んだ事件となった。
ニアは一人のために動ける人々、ジアや貧民街の民たちに口を開けて、驚いていた。
「り、理解できない……」




