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半年後

 貴族において、性別差によるイメージは、大きく違ってくる。


 女は女らしく、低身長で可愛らしい顔。

 スカートやドレス、高いヒール。

 ピンクやイエローなどの、可愛らしく、派手な色使い。

 守りたいと思わせる『姫君』をイメージさせる。


 男は男らしく、高身長で大人らしい顔。

 綺麗にされたジャケットやシャツ、パンツ。

 ブラックやグレーなどの、清潔感があり、大人らしい色使い、。

 守って欲しいと思わせる『騎士』をイメージさせる。


 そういうイメージは、強く、強く貴族社会に根付いている。



「じゃあ、ナルちゃん。作戦開始よ!」



「…………。あれは、そう。

 とても麗しい『女騎士』だ」


 褒めるの言葉を、必死に捻り出した。

 あれを褒めるには、この国の常識では、難しかった。

 このディーネ王国において、女騎士は存在しない。

『女騎士』というのは、「例えるなら」という造語だ。


 ディーネ王国、建国パーティにて。


 全ての貴族が勢揃いする中。公爵家の入場、最後尾の貴族。

 レーグラント家が入場した。

 相変わらず、当主オルデランとパートナーのシルティアの身長差に、笑いが起きる。

 その次に、一人の女騎士が花道を進んだ。


 一言で表すなら『青の騎士』。

 濡羽色のショートで、青色のメッシュ。

 片側だけ編み込み、光り輝く、ブルーサファイアの耳飾りが、とても目立つ。

 目元の青メイクとマニキュア。

 黒絹を使った、青ボタンのシャツ。

 青色のベルトとショーパンに黒のスカート。

 青、単色で、存在感を放つヒール。

 腰には、黒の鞘に収まった、両刃剣を装備する。

 

 青も黒を主体として構成された、コーディネート。

 青色の持つ強み、『クール』や『爽やかさ』。

 黒色の持つ強み、『強さ』や『大人の余裕』。

 これらを用いたことで、ナルの元々の強みである『強さ』や『大人らしさ』、『男にも負けないクールさ』を、更に引き出した。



 その見た目は、今のディーネ王国の常識をぶち壊す。


 女性のように華やかな色使い。

 男の大人しさやカッコよさ。

 イメージをかけ合わせた、異質なファッション。


 だが、そのファッションに違和感は無い。

 まるで一問一答に、二つ目の答えを出してしまったような感覚。

 それを今のナルを見た者、全員が感じた。

 つまり、全員がナルに目を奪われ、見惚れた。


 女たちは、清潔感とカッコよさ、気品さに。

「鋭くも芸術品のような剣」を想像させた。


 男たちは、麗しさと清楚さ、強さに。

「薔薇の美しさと、鋭いトゲ」を想像させた。


 ナルは一歩、一歩と花道を進む。

 皆の目には、彼女しか映らなかった。

 

「う、美しい」

「あの方は?」

「何処の方だ。調べさせなさい」


 見た者たち全員が、「あの美しい者は誰だ?」と思う。

 誰もが、有名な『ドブ令嬢』とは思わない。

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