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第769話「間違いなく、私はリオネルさんに惹かれ始めている」

嬉しさの余り、感極まって号泣したナタリーへ鎮静効果のあるの魔法をかけ、

優しくなだめたリオネル。


ガエルおびき出しの作戦を、協力をお願いしたナタリーへ詳しく説明、

本番に向けて、やりとりの練習をして貰い……


そしてヒルデガルド、ミリアンとも改めて話し、

確認をしつつ、解決の着地点を想定し、詰めて行った。


……そして皆が、就寝後。


その晩も……リオネルは夢魔法を発動。


自身の夢の中で、冒険者ギルド総本部サブマスター、

ブレーズ・シャリエと再び、会った。


設定した場所も、ブレーズがとても気にってくれた、

ひなびた田舎町の、レトロな居酒屋(ビストロ)である。


しかし、リオネルとは昨日会ったばかり。


「まだ、言い残した何かがあるのか?」

と、いう怪訝な表情のブレーズであったが……


笑顔のリオネルが、蠅団(ムーシェ)を無力化した現状を報告し、

夢魔法で生成した証拠のサイン入り契約書を見せたのに加え、

『魔導映像&音声録画水晶』で記録したマチアスの自白映像も見せれば、


「おお!! 昨日、話を聞いたばかりなのに、今日でもう、こうなのか!!??」


と大いに驚愕。


「さすがはリオネル君だ! 本当に仕事が早い! いや、早過ぎる! ナタリーの為に尽力してくれて本当に本当にありがとう!!」


と深く深く感謝した。


そんなブレーズに対し、リオネルは尋ねる。


「ちなみに、そちらはどうですか? 昨日の今日ですが、ローランド様へ、お話は出来たでしょうか?」


「ああ、出来た。リオネル君がすぐ動いても支障が無いよう、一番で報告を入れたぞ。いつ連絡を受けても動けるよう、スタンバイされるとおっしゃっていた」


「ありがとうございます」


「うむ! 報酬も振り込んでおいた! とりあえずは、金貨1,000枚(1,000万円)だ!」


「おお、金貨1,000枚? そんなに頂けるのですか?」


「ああ、勿論。全てローランド様のご指示だ。今後の展開次第では増額も考えている。そしてご協力されているであろうヒルデガルド様へは金貨300枚、ミリアンにも金貨100枚を振り込んでおいた」


ブレーズはリオネルだけではなく、ヒルデガルドとミリアンの尽力にも、

感謝し、報いてくれたらしい。


「いろいろとお気遣い頂き、助かります。重ね重ね、ありがとうございます」


「いやいや、当然さ。各自が妥当な報酬だし、超が付く急ぎの件だからな。まあ、案の定、交わした誓約書を無視された形のローランド様は激オコだった。デスタンめ!! 親子ともども絶対に許さんぞ!! と拳を握り締め、憤怒の表情をされていたよ」


「でしょうね。仕方が無いと言えばそうなのですが、憤怒状態のローランド様を、なだめるのに、ブレーズ様はご苦労されたでしょう?」


「まあ、そうだな。しかしリオネル君の尽力に比べれば大した事は無い。既に証拠まで確保するとは、いつもながら完璧な仕事ぶりだな!」


「いえ、それほどでも。まあ、蠅団(ムーシェ)のボス、マチアスが自白した音声付きの映像と、ガエルとマチアスのサイン入り契約書のセットですから、有力な証拠になると思います」


「うむ、そして私へ告げた通り、奴らを地獄へ放り込み、悪魔どもにいたぶらせたのか!」


「です! 舞台を荒涼たる地獄に設定し、奴らを堕とし、群がる異形の悪魔どもが寄ってたかって責める、死ぬ、でも即座に生き返って、また悪魔どもが責めるという夢を見せました」


リオネルの言葉を聞き、ブレーズは微妙な表情。


「むう! 地獄の輪廻に捕らわれた罪人故、殺されてもすぐ生き返るのか……私だったら、死んだままの方が、全然マシだと思うだろうよ」


「はい、ブレーズ様がおっしゃる通り、蠅団(ムーシェ)のボス以下400人超全員、死んだままの方が全然マシだ、と思うくらい、メンタル崩壊寸前までやりました」


「メンタル崩壊寸前までか……本当に容赦が無いな」


「はい、徹底的に、崩壊する寸前までやりました。異形の悪魔どもが取り囲み、お前が改心し、罪を償わないと、これ以上の責めを行う! と、通告を行いました。なので全員が、これは更生の最後のチャンスだと認識し、態度を完全に改めました」


「おお、そうか! そこまでやれば、奴らも懲り、自身の行いを反省し、贖罪を行おうと思うだろうな」


「はい、今後、蠅団(ムーシェ)には様々な方法でこれまでに犯した罪を償わせますし、司法による刑罰を受ける事も了承させました。なので奴らの処罰と更生に関しては、ご決定前に、俺へご一報を頂き、ご相談して頂いても構いませんか?」


「ああ、そうしよう。ローランド様にもその旨を入れよう」


「ありがとうございます。という事で、以上が、ここまでの経過のご報告とご相談となります」


リオネルの締めの言葉を聞き、ブレーズは満足そうに頷く。


「うむ! やり方は荒っぽいが、私もリオネル君の立場なら、同様の方法を取るだろう」


「ですか」


「ああ、誰が何と言おうと、何よりも結果ありき。良くやってくれた! これで、ナタリーが奴らに付きまとわれたり、囲まれて脅迫される事は無くなった。そして愚連隊蠅団(ムーシェ)も更生の道を歩み出した。で、これからは? いよいよデスタン親子を詰めるのかい?」


「はい、蠅団(ムーシェ)のボス、マチアスへの尋問で判明しましたが、ガエルの奴は、蠅団(ムーシェ)を使って、ナタリーさんをさらい、アジトへ連れ込み、脅迫、買収、終いには暴力を使ってでも愛人にする計画まで立てていました」


「むう! 本当に、とんでもなく最低の外道で恥さらしだ。王国貴族の面汚しだな」


「はい、なので俺は策を用い、外道のガエルを蠅団(ムーシェ)のアジトへおびき出し、そこで決定的な証拠となる本人の映像と言質を取ります。その際はナタリーさんにも協力して貰います」


「ふむ、ナタリーが協力か。彼女は今回の件に関し、何と言っているのかい?」


「はい、まずは何度もお礼を言われました。そしてガエルをおびき出し、直接、対峙して貰う事となりますが、(そば)に俺が居て、一緒ならば、大丈夫だと言い切ってくれました」


「ふむ……ガエルと直接、対峙か……それは怖いに違いないのに、ナタリーはリオネル君と一緒ならば大丈夫だと……」


「ええ、そう言われました」


さすがに嬉し泣きしたとまでは、リオネルは言えなかった。


ブレーズは、「ふむふむ」とほんの少し考え込んだ後、


「……そうか、分かった! ナタリーの事、いろいろと頼むよ」


「ええ、お任せください。でもいろいろと、ですか?」


「ああ、いろいろさ! 私と約束してくれ!」


「はあ、分かりました。お約束します」


「よし!」


リオネルの了解の言葉を聞き、意味ありげに微笑んだブレーズは、

満足そうに頷いたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


翌朝……打合せした通り、皆で朝食を食べた後、

シックな服に着替え、ばっちりメイクしたナタリーは、

ただでさえ誰もが振り返る美女なのに、更に美しさが際立っている。


そして本日は休暇を取ってギルドへは出勤せず。


そう、いよいよ身に降りかかった災難の解決に向けクロージング。

元凶たるガエルをおびき出し、罠にかけるのだ。


ナタリーは、待機となったヒルデガルドとミリアン、アンセルムに見送られ、

午前9時過ぎ、避難先であるアンセルムの宿を出発。

革鎧を着込んだリオネルに護衛され、蠅団(ムーシェ)のアジト――本部へ。


ちなみに、万が一になる可能性は限り無く低いが、

ブライムは異界へ戻りそのまま待機。

何かあれば、いつでも召喚可能な態勢となっている。


ふたり、横並びになり、アンセルムの宿を出て、少し歩いたところで……


ナタリーが声を掛けて来る。


「リオネルさん」


「はい、ナタリーさん、大丈夫ですか?」


「ええ、全然大丈夫です。不思議なのです……気持ちが、凄く落ち着いています」


「おお、そうですか」


「はい! これから、とても怖い場所へ行くというのに、リオネルさんが一緒だと、全く怖くないし、緊張さえしないんです」


ナタリーは、嘘を言ってはいない。

虚勢も張ってはいない。

彼女の発する心の波動は全く乱れていないから。


付きまとい、脅迫によってつけられた心の大きな傷は、

だいぶ癒えて来たようだ、とリオネルは安堵する。


「それは良かったです」


「それで、あの、お願いがあります」


「お願い? 何でしょうか?」


「はい、ヒルデガルドさんとミリアンさんからお聞きしました。彼女達にいつもしているように、安全上、私とも手をつないで貰えますか? 一応、彼女達から許可は取っています」


そう言うナタリーは、せがむような眼差しである。


もう蠅団(ムーシェ)どもに四六時中監視され、ガエルへ報告が行く事も無い。


監視の目は無く、索敵にも悪意の反応は全くナッシング


自分とナタリーが手をつなぐのは、問題無いはずだ。


ブレーズと交わした約束もある!


ぱぱぱぱぱと、瞬時に考えたリオネルは、ひと呼吸置き、笑顔で頷く。


「……はい、構いませんよ」


「……お願いします!」


ナタリーが差し出した手を、リオネルはしっかりと握った。


そしてふたりは、歩きだしたが、

何と!ナタリーがぴったり寄り添い、

まるで恋人同士のように歩いて行く事に。


そして、寄り添ったナタリーが、「ちら」と見やれば……


彼女が手を握ったリオネルは、出発当初と同じく柔らかく微笑んだまま、

変に照れたりせず、落ち着き払っており、歩みも全く変わらない。


堂々とした、エスコートぶりである。


初恋真っただ中の駆け出しの頃のリオネルならば、こうは行かなかっただろう。


心から大好きな女子と手を握り、天にも昇る気持ちで舞い上がり、

嬉しさの余り、どぎまぎあたふたして、大混乱していたに違いない。


しかし、それから1年余り経った現在のリオネルは全く違う。


旅に出てからの、数多の出会い、探索、戦いだけではなく……

様々な女性とのやりとりが、貴重な経験値となり……


そしてティエラ、ヒルデガルド、ミリアン、ブレンダとの恋愛、

結婚の決意も、リオネルをここまで成長させたのだ。


そこまで知らぬナタリーは、あの頃の初々しいリオネルとつい比較してしまう……


ギルドマスターが言った東方のことわざを思い出す。


男子、三日会わざれば刮目(かつもく)して見よ、と。


気になったので、昼休み、ナタリーはギルドの図書館で調べてみた。


いくつかの書物を読んだところ……

わずか3日会わないだけでも、人は大きく成長し、ガラリと変わる。

よくよく注意して、見るものだ……という意味だと分かった。


再会したギルドの応接室でも、ナタリーはそう思ったが……

今回の件で、改めて実感し、認識した。


リオネルの変貌、否、完全なる覚醒を。


そして、自分の気持ちにも気付いた……


安全にかこつけて、こちらからお願いし、

「手をつないでください」と言うなんて……


こうやって一緒に居て、こんなにも心が落ち着き、安心するなんて……


そして素直に、嬉しい!という強い気持ち。


間違いなく、私はリオネルさんに()かれ始めている。


……ナタリーは、記憶をたぐった。


アンセルムの宿へ避難して驚いた。

リオネル達3人は一緒の部屋に宿泊していたのだ。


そして、ヒルデガルド、ミリアンと話すうちに、

ふたりともリオネルと相思相愛だと分かった。


将来について、はっきりと明言はしなかったが、

これから、愛するリオネルと人生を共にするという気持ちが、

ふたりの話や行動の端々に表れていたから。


つまり、リオネルは『想い人をひとりに限定しない』という事実がある。


自分も、良くしてくれた優くフレンドリーなヒルデガルドとミリアンに対し、

嫉妬など無いし、楽しく話し、食事も美味しく摂る事が出来た。


ヒルデガルドからは

「様と呼ばず、さん付けで呼び、気軽に接して欲しい」

と言われ、ミリアンには、まるで妹のように甘えられ、凄く嬉しかった……


気を遣ってくれたのは、間違いないだろうが、

ふたりとは、今後も仲良くやって行けそうな気がする。


で、あれば……

リオネルさんは私のこの気持ちも、受け入れてくれるかもしれない……と思う。


でも、と、ナタリーは自分の気持ちにブレーキをかける。


リオネルの純粋な好意を断った自分に、

今更「好きだ」と告げる権利があるのかと。


そんな心の葛藤が生まれたナタリーは、軽く首を横へ振り、

「今は、問題の解決に徹しよう!」と心に決めたのである。

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