第762話「久々のざまあ!」
炎の魔人イフリート、従士ブライムの威圧により、
つきまとう蠅団どもを行動不能とし、解放されたリオネル達一行。
足取り軽く、王都の街中を歩いて行く。
隊列は変わらず、リオネルを真ん中にし、
手をつなぐヒルデガルドとミリアンが左右を固める。
最後方はブライムが辺りを鋭い視線で睥睨しながら歩く。
やはりというか、リア充爆発しろ!!と、
相変わらず男子達の嫉妬と怨嗟のこもった視線を受けるが、
リオネル達は完全にスルー。
絡んできそうならば、軽い威圧で追い払うというお約束パターン。
そんな事よりも、蠅団どもの排除により、
ブライムの威圧も人間族に対し有効的に使えると判明した。
聞けば妹のイフリータ、ルベルの威圧も結構なものだという。
ルベルは、迷宮都市フォルミーカにおいて、
山猫亭で頑張るブレンダ母ダニエラを手伝いながら、守護役を務めているが、
こちらも有効的に威圧を使っているに違いない。
ここで、ヒルデガルドとミリアンから提案があった。
ワレバッドで購入し、使用。
人間族の服、肌着、化粧品などを、とても気に入ったヒルデガルドが、
『各商品を扱う、この王都バルドルのお店へ行きたい』
と告げて来たのだ。
以前から相談されていたミリアンも大いに同意して賛成し、
更には昨夜、ナタリーから店の情報を得たという。
すると、ナタリーから紹介して貰った店は全て、良質な品揃えだと判明。
冒険者ギルドの所属登録証カードシステムが使えるので便利だとも。
そしてナタリーは、ヒルデガルドとミリアンが所持していた王都市内の地図に、
各店の印を入れてくれていた。
リオネルはそれらの店を知らないが、王都の道筋は熟知している為、
地図の印を見て案内は容易に出来る。
なので、さくさくさくっと、スムーズに3人を引き連れて行く。
ワレバッドでも、ヒルデガルドに同行したので、
服飾店、化粧品店では店へ入り、リオネルも一緒にチョイスを手伝った。
喧々諤々、
あれが良い、これが良いと盛り上がったヒルデガルドとミリアンは、
やはり大量買いをし、リオネルが収納の腕輪へイン。
満足の行く買い物が出来て笑顔のヒルデガルドによると、ふたりの個人用以外に、
イエーラ国産開発用のサンプルも含まれているらしい。
ヒルデガルドがいずれオープンしたいと願う店の業態も気になるところだ。
……そんなこんなで、最後に来たのはランジェリーショップ。
だが、女子専用のランジェリーショップ。
なので、入店は勿論、やはり居ずらく、変に緊張してしまうので、
女子ふたりのみが入店する事に。
何かあったら念話で呼ぶようにと、女子達へ伝え、
リオネルはブライムとともに付近で待機する事となった。
……という事で、周辺をぶらつくリオネルとブライム。
この通りは他にも数多の店がある。
文具店、医療用品店があったので、丁度良いとふたりで入店。
教育改革――学校、医療改革――病院、それぞれに必要な物を大量に購入した。
買い物を終え、街路に出たリオネルとブライム。
と、そこへリオネルの知った気配がふたつ近付いて来た。
今更会っても意味が無い相手、である。
それゆえ、しれっとスルーしようとした瞬間。
「あらあ!? 魔法学校で同級生だった超陰キャの超劣等生、超キモ男じゃない!?」
「そうだよお! キングオブザ屑! 同じクラスだった超非モテの超根暗男リオネル・ディドロで間違いないよお!」
甲高い女子達ふたりの声がリオネルへ掛けられたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「おい! リオネル! あんた、女子に全然モテないからって、そんなガチムチおっさんと歩いているの? 本当にキッモ! あはははは!」
「かっこつけて革鎧とか着ちゃってさ! 弱っちい癖に、いきがって冒険者のつもり? こっちは天下の名門オルドル女子大の学生よお!」
ふたりの女子の言葉からお分かりであろう。
彼女達は魔法学校において、学生時代リオネルの同級生だった女子達である。
加えて両名は、顔立ち、スタイルとも結構なレベル。
いわゆるスクールカースト、トップクラスの『1軍』の中でも、
『自分達こそが、誰にも認められる完璧な美女』を、
『自称していた』女子達であった。
ただ、この女子達、確かに可愛いのだが、所詮、魔法学校限定レベル。
見る人の好みにもよる、上には上がある程度の容姿の美しさレベルではあった。
良くある事だが……自意識過剰の女子達で、
井の中の蛙たる『ローカルチャンピオン』
プライドだけが異様に高い。
なので、スクールカーストの『どん底』だと蔑まれていたリオネルなどは、
彼女達からすれば、男子として完全にアウトオブ眼中。
ろくにあいさつさえ、交わさず、徹底的な無視をされていた。
それどころか、リオネルを最低の汚物扱いして嫌い、
『超キモ男』『キングオブザ屑!』と、陰で悪口を言いまくっていたのだ。
それゆえ、「相手がそうならこちらも」と、
呆れたリオネルも彼女達をスルーしていたのだが、
どういう気まぐれなのか、今、声を掛けて来た。
彼女達が言葉を掛けたのも、何か理由があるやもしれないが、
これまでの経緯を考えると、やはり今更! である。
いきなり再会し、
超陰キャの超劣等生、超非モテの超根暗男と蔑んで馬鹿にした上、更に悪口三昧。
こんな奴らへ返す言葉など無い。
そう! リオネルが彼女達と話す必要は全く無く、話す理由も全く無いのだ。
それゆえ完全にスルーする事にした。
なので、呼び掛け?に対し、完全無視。
ひと言も発さず、ブライムと共に歩いて行く。
実は彼女達には決して聞こえない念話で、リオネルはブライムへ、
『俺は大丈夫、お前は怒りを抑え、あの女子達を無視しろ』
と、話していたのではあるが。
とまあ……そんな状況にしばし呆然としていた女子達。
次第に……顔が怒りで歪んで行く。
とっくに魔法学校を卒業したのに、
未だ心は、『1軍女子』『スクールカースト最上位』
元同級生女子達には、最下層の存在たるリオネルが無視するのが、
到底、我慢出来なかったようだ。
という事で、プライドを傷つけられ、激高したふたりの超高慢女子。
両名は走ってリオネル達を追いかけつつ……
街路で、数多の衆人環視の中だというのに我を忘れ、大きな声を張り上げる。
「待てえ!! このくそ野郎おお!! 超下級モブの癖に私達を無視するなあ!! 私達の前で土下座してパシリぐらいやれええ!!」
「そうだ!! そうだあ!! くたばれええ!! てめえなんか反吐、はいて、地獄に落ちろおお!! くされ男おお!!」
見た目が可愛い19歳の女子とは思えない。
聞くに堪えない罵詈雑言。
通行人達はひどく驚き、大きく目を見開き唖然。
冷たく呆れた視線が一気に注がれ、
「おいおい、何だ、あの女子達は!?」
「最低だな、下品極まりない!」
「やり取りを最初から聞いていたけど、あいつら、オルドル女子大学の学生だってよ!」
「イメージが180℃変わるな。あの名門お嬢様女子大って、あんな糞生徒が居るのかよ……」
ざわざわざわと、ひそひそひそと、醒めた話し声が広がって行く……
でも、元同級生女子達は激高のあまり、その状況に気付かない。
そんな中、リオネルとブライムはランジェリーショップ前に到着。
執念深く追いついた女子達はここでも、リオネル達の背に罵詈雑言を浴びせる。
「うわ!! 超キモ!! 超最悪!! むさいおっさんと一緒にランジェリーショップへ入るのかよお!! 店員さ~ん!! そんな奴ら、店が穢れるから、絶対に中へ入れちゃ、ダメですよおお!!」
「皆さあ~ん!! 超変態の陰キャで腐れゴミ屑が居ますよおお!! お~い、衛兵さああん!! こっちで~~すうう!!」
どこまでリオネルを馬鹿にし、罵倒すれば気が済むのであろうか。
更に片方は冤罪を作るべく、衛兵に通報しようとまでしている。
現在リオネルは、アクィラ王国におけるドラゴン退治の冒険譚が知れ渡り、
稀代の英雄扱い。
だが、女子ふたりは、その強者リオネル・ロートレックが、
かつてバカにしまくった、魔法学校のひ弱な同級生、
リオネル・ディドロと同一人物だとは全然知らない。
まあ、知る人ぞ知る秘密だから、仕方の無い事ではあるが。
という事で、女子ふたりが罵倒した、その瞬間!
ランジェリーショップの扉が開き、
何人もの女性店員が、数多の箱を抱え、よいしょ、よいしょと運び出して来た。
そして店員達の後ろから登場したのが、
満足そうな笑みを浮かべるヒルデガルドとミリアン。
買い物中、ふたりは革兜を外していたから、
超が付く、とびきり美しい素顔が露わとなっている。
道行く誰もが振り返り、特に男子達は見とれてしまうレベルだ。
そう!
リオネルは、ヒルデガルドから『買い物終了』の念話連絡を受け、
ランジェリーショップ前へ移動したのだ。
ヒルデガルドとミリアンは、
リオネルから念話で今回の経緯を、さくっと聞いており、
一瞬だけ、わめく同級生女子達を鋭くひとにらみ。
だがすぐに笑顔に戻り、革兜を被ると、
「うふふ、お疲れ様です! リオネル様! 長らくお待たせ致しました!」
「お~い、リオさん! お買い物済んだよお! 仕舞う魔法、宜しくう!」
そんなヒルデガルドとミリアンへ、リオネルもにっこり笑顔。
余裕しゃくしゃくという雰囲気だ。
「お疲れ様! 俺達もさっき買い物が済んだ」
と、ヒルデガルドとミリアンの購入物を収納の腕輪へイン。
同時に、目の前に置かれていた大量の箱は煙のように消え失せた。
「わざわざ外まで運んで頂き、本当に助かりました、ありがとうございます」
更に頭を下げ、店員達を労わったリオネルへ、いつものフォーメーション。
ヒルデガルドとミリアンが、しっかりとリオネルの手をつないで、
愛する彼氏に甘えるようにぴったり寄り添い、左右を固めた。
誰が見ても、リオネルは両手に大輪の花、熱々の恋人同士という趣きである。
「「「「「こちらこそです!! たくさんのお買い上げ、本当にありがとうございました!!」」」」
という店員達の大音声の中、「さあ、行こう」と最後方にブライムを従え、
リオネル達4人は去って行った。
そんなこんなで、リオネル達4人が去り……
しばし経ち、我に返った元同級生女子ふたり。
地団太踏んで悔しがる。
「な、何で!? あんな超陰キャの超劣等生、超非モテの超根暗男、キングオブザ屑のリオネル・ディドロに、超Sランク彼女が居るのよおお!? それも、ふたりもよおお!!」
「くっそ!! 見せつけやがってええ!! 死ね!! 畜生!! 信じられないいいっ!! 誰が見たって両方とも、とんでもない美女!! 更にひとりは良く見たらアールヴじゃないのよおお!!」
「あの最底辺のゴミ屑キモ男でさえ素敵な彼女が居るのにいい!! 超イケてる私達が、彼氏が居ないのって何故ええ!!」
「許せなあいい!! キングオブ屑と美女ふたり!? そんな不釣り合いは絶対に嫌ああ!! 完全に何かの間違いよおお!!」
数多の人々の前で、絶叫し続ける元同級生女子ふたり。
誰もが冷めた視線で見つめている。
いくら外面が良くとも、その最悪な性格では、
素敵な彼氏を作るなんて無理ゲーさ、と突っ込みたいところだ。
と、そこへ、
「おいおい、そこのお嬢さん達、いい加減にしてくれよ。ここは自由な往来だが、周囲に迷惑な大声を出し、加えて、あまりにも下品な物言いは王都の品位にもかかわる。いかがなものかと思うぞ」
と衛兵が3人登場。
対して、ふたりは、
「何よお!! 私達が何したっていうのよお!!」
「問題無いでしょ!! ゴミ屑をゴミ屑って事実を言って何が悪いのよお!!」
とまた激高して反論。
衛兵達は苦笑し、「まあ落ち着いて、話は番所で聞こう」とふたりを連行。
結果……何と何と!
元同級生女子ふたりは、自分達が呼んだ衛兵達に厳重注意されてしまったのだ。
そして……その場に居た通行人達の中には、
偶然にも学校関係者のえらいさんが居たようで……
後日、オルドル女子大学に通っていたふたりは学校側から呼び出しを受け、
『往来で口汚く騒ぎ、学校の品位を落とした罰』として、
やはり厳重注意の上、10日間の停学を喰らった。
そんな突然の停学は噂が噂を呼び、他の目撃者も多数現れ、
やらかしたふたりは、学校の内外で、
冷たい視線&ひそひそ話の後ろ指をさされるようになってしまった……
このままいけば、退学の可能性も出て来るだろう。
まさに、ざまあ!!!
まさに因果応報!!!
リオネルを散々貶め、最底辺のゴミ屑扱いした天罰が、
元同級生女子ふたりへも、「ずがががーん!!」と下ったのである。
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コミックスの第1巻、第3巻、第4巻は重版しました!
皆様のおかげです。ありがとうございます。
今後とも宜しくお願い致します。
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コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。
WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。
マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が購読可能です。
お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。
最後に、
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