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第757話「全身が安心感に満ちあふれ、ナタリーは気分がぐっと楽になる」

アンセルムの宿屋へ戻って来た一行。


全員が中へ入ると、アンセルムにより、

すぐに扉が閉められ、しっかりと施錠された。


扉には『休業中』の札が掲出されているから、とりあえず皆、スルーするだろう。


万が一、何者かが侵入しようとしても、リオネルが主力となり、

ヒルデガルドとミリアンが脇を固め、更には炎の魔人イフリート、

ブライムまでも加わる警護チームは万全以上。


人間族の愚連隊など、何人来ても侵入さえ許さない布陣である。


またナタリーの所在が、ガエル、蠅団(ムーシェ)に知られても、

この宿ならば、守りやすいのもメリット。


という事で、早速ナタリーの為、宿の客室ひと部屋が与えられ、

リオネルが荷物を出し、ヒルデガルドとミリアンが荷解き及び、

部屋へのセッティングを手伝った。


ヒルデガルドとミリアンは、ナタリーとは、昨日会ったばかり。


だが、3人とも完全に打ち解け、笑顔で話しながら作業。


最初に冒険者ギルド王都支部で会った際は、互いに、あいさつのみであったが、

本日ギルドを退勤してから、ここまでずっと接しており、

いろいろ話してもいるようで、第三者が傍から見ればまるで旧知の友人である。


ヒルデガルドとミリアンは、ナタリーへ、

宿泊は3人一緒の部屋だと告げて驚かれ、

更には、だいぶリオネルの自慢をしていたようではあるが。


……そんなこんなで、荷解き、部屋へのセッティングが終わり、

やっとひと息ついたナタリー。


アンセルム、ブライムを加え、全員で食堂へ移動。

いくつかのテーブルに分かれて座った。


ここで、リオネルが声をかける。


「お疲れ様です、ナタリーさん」


「リオネルさん達もお疲れ様です。何から何まで本当にありがとうございました」


「いえいえ、まだまだです。問題は全く解決していませんから、気持ちを引き締め直しましょう」


「は、はい!」


「まずは本日、働いてくれた従士達を改めてナタリーさんへ紹介をします。ブライム、お疲れさん」


無言で一礼し、微笑む偉丈夫を見たナタリーは、恐る恐る問いかける。


「ブライムさん……炎の魔人イフリート、なんですよね? 人間の男性にしか見えません」


対してブライムは即座に笑顔で反応。


「はい! そうです! ナタリー様! 人間族に擬態はしておりますが、私はイフリート! リオネル様に忠実にお仕えする従士です!」


「という事です。後は蠅団(ムーシェ)どもの動向を逐一伝えてくれた妖精の従士です……ジャン、構わないぞ、姿を現せ!」


「了解! リオネル様!」


という返事と共に、パっと現れたのが、妖精ピクシー。


身長は、30㎝あまりしかない。

髪型はカールした短い金髪。

目は切れ長、鼻筋は通っている。

細身の人型の肢体に可愛いシャツを着て、短い半ズボンをはいているジャン。

背中には、薄い透けた昆虫のような羽が2枚生えていた。


冒険者ギルド王都支部職員であるナタリーは妖精の知識は持っており、

ピクシーの姿も資料で知っていた。


「えええ!? 従士って、ピクシーなんですか!? 私、生まれて初めて妖精を見ましたわ!!」


ナタリーの問いかけに対し、答えるのはやはりジャン本人。


「ははは、ナタリー様、そうだよ! おいらはリオネル様の従士、正真正銘、妖精ピクシーのジャン。偵察、見張り、情報収集は任せて! いつもは人間に姿を見せないんだ」


「び、びっくりしました!」


とここでリオネルが口を開く。


「このふたり以外、従士はまだまだ居ますから、警護の戦力は充分です。とりあえず、ナタリーさんの荷物を確保出来たので、明日以降の打合せをします。打合せ後、今夜は、ゆっくり休んでください。解決するまで、俺達が王都に滞在し、ナタリーさんを護衛します」


「え!? 解決するまで、リオネルさん達が王都に滞在!? そこまでして頂けるのですか?」


「はい、先ほど約束しましたから。俺が、任せてくださいと言いましたよね?」


「は、はい! 確かに!」


という会話の後、リオネル達はアンセルムも入れ、ナタリーと打合せ。


結果、下記の事が決まった。


ナタリーの冒険者ギルド王都支部への出勤時、退勤時の付き添い、

ガエル、蠅団(ムーシェ)を始めとした、害為す者からの護衛。


但しナタリーがギルドで勤務中、リオネル達は基本的に王都市内にて別件で動くが、何かあればすぐ対処する。


ナタリーの外出の際の付き添い、護衛。


ガエル、蠅団(ムーシェ)を始めとした、つきまとい等の際の排除。


緊急時の対応。


普段の生活のフォロー


その他もろもろ。


「以上を明日、ギルドマスターへ伝え、ナタリーさんの護衛の依頼発注と、俺が受諾した報告、そしてマスターのご了承を貰いましょう」


次々と段取りを組むリオネルはまるで、

大局及び遥か先の一手を読み切るチェスの達人。


そんなリオネルにナタリーは圧倒される。


「は、はい!」


「ちなみに万が一ギルドでの勤務時間内にトラブルが起こった場合は、警備員の方へ対応して頂くか、俺へ心の中で呼びかけてください」


「え!? 私がリオネルさんの心の中へ呼びかけるのですか!?」


「はい、俺がナタリーさんの発する心の波動を捉え、心と心の会話をする魔法で返事を戻します」


リオネルの話を聞いたナタリーは、半信半疑のようだ。


「ええっと……心と心で話すって……そのような事が可能なのでしょうか?」


「はい、論より証拠。心で俺へ呼びかけてみてください」


「は、はい!」


と返事をしたナタリーは、言われた通りに、


『リオネルさん……』


と呼びかけてみた。


すると、


『はい、ナタリーさん、リオネルです。聞こえましたよ』


と、すぐにリオネルの声がはっきりと彼女の心に響いたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「えええ!!?? こ、これは!!??」


大いに驚愕したナタリーは、思わず肉声を発した。


『はい、これが心と心で会話可能な魔法、念話です』


『心と心で会話可能な魔法、念話……』


『術者次第ですが、遠距離間の念話も充分可能です。俺はアクィラ王国フォルミーカにおいて、約5,000㎞離れたイエーラに居るヒルデガルドさんと頻繁に話していましたから』


『え!? フォルミーカで、5,000㎞も離れたイエーラのヒルデガルド様と!?』


『はい、なので離れていても王都市内のナタリーさんと話すのは全然楽勝ですね』


『全然楽勝……』


『はい! ナタリーさんが助けを求めたら、すぐ馳せ参じますよ』


『え!? す、すぐにですか!?』


『はい! お約束します! ナタリーさんがどこに居ても必ず駆けつけます!』


きっぱりと言うリオネルが、ナタリーにはとても頼もしく感じた。


そして、心の底から嬉しかったのである。


本当に本当に嬉しくて、また涙が「ほろり」と流れた。


ナタリーの涙を見て、リオネルは柔らかく微笑む。


『泣かないでください、ナタリーさん。敢えて自慢はしませんが、ギルドのデータベースで俺の戦歴は知っているでしょう? 数百人の愚連隊など敵ではありません。貴族のガエルにも打つ手はあります。安心してください』


そう!

ナタリーはこの王都オルドルから旅立ち、

遥かな高みへ出世したリオネルの活躍を『生きる励み』にしていた。


亡くなった弟の生まれかわりのようなリオネルが、

町村支援策で困窮する数多の人々を救い、フォルミーカ迷宮では単身潜入。


迷宮内でドラゴン、巨人族を蹴散らし、最深層まで赴き、無傷で地上へ帰還。


冒険者ギルド総マスター、ローランド・コルドウェル侯爵に、

「文句なし!」と認められ、伝説のランクSとなり、


そしてアールヴ族の国イエーラへ赴き、辣腕を振るい……

隣国アクィラ王国で害を為していたドラゴンどもまでを倒し、

遂には、『世界中にも認められる英雄』となった!


ナタリーは、そんなリオネルが、まるで身内のように誇らしかったのだ。


ついつい、ギルドの同僚達にも度々熱く熱く語っていた。


リオネルの超が付く大ファン、超マニア、なんだねと、いつもいじられた……


ナタリーは改めて実感する、伝わって来た数多の話は真実だったと……


男子、三日会わざれば刮目(かつもく)して見よ、

と東方のことわざにある。


初めて会ったリオネルと、現在のリオネルは、

そのことわざを、まさに体現した男子だと。


そう! 眼の前に居る、落ち着き払ったリオネルはかつての彼とは全く違う。


今は亡き、溺愛した線の細い甘えん坊な弟ではなく、

底知れない力を持つ世界一と言い切って良い強者。


聡明で冷静沈着。

果断かつ言動が全てにおいて自信にあふれる、

自分よりも年下ながら、頼りになる、魅力的な男性なのだ……


強く強く感じたナタリーは心が「どきどき」ざわめくのを感じた……


リオネルは更に言う。


『ナタリーさんのお身内、ワレバッドにいらっしゃるブレーズ・シャリエ様へも、俺の方で話を通しておきます。ご心配されているでしょうから。そしてブレーズ様からこの現状をローランド・コルドウェル侯爵様へあげても頂きます。後で面倒が無いように』


万全ともいえるリオネルの手はず。


全身が安心感に満ちあふれ、ナタリーは気分がぐっと楽になる。


『あ、ありがとうございます!』


『先ほども言いましたが、今夜は部屋でゆっくりと休んでください。明日ギルドへ出勤する際、取り決めた通り、俺達が同行しますので』


ここで、すっとリオネルが手を挙げると、


ヒルデガルドとミリアンが言う。


『ナタリー様、今日はいろいろとありました。もしも、お気持ちが高ぶってすぐに眠れないのなら、私達ふたりで、しばしの間、お部屋でお話し相手になりますわ』

『ええ、面白い話がたくさんありますよ』


ふたりの女子の優しい気遣いに、ナタリーはまたまた、

「ほろり」と嬉し涙を流したのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


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