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第735話「たくましいケルピーがけん引する特製の魔獣車を見て、 御者台に居るリオネルとヒルデガルドを認めると、 3人共、手を大きく打ち振り、声を張り上げる」

冒険者ギルド総本部職員、秘書見習いのエステル・アゼマを、

イエーラ政治顧問補佐にスカウトしたリオネルとヒルデガルド。


冒険者ギルド総本部に在籍し、冒険者達の公私ともども、

ありとあらゆる面倒を見た経験値と、万事において深く幅広い知識、

そして温厚、気さくで社交的な性格を評価したのである。


エステルは、リオネルとヒルデガルドからスカウト話を受け、

すぐに退職を決意したようだ。


オファーを受けた翌日には、「実は前々から退職を考えていました」と、

秘書課の上司へ1か月後の退職と転職の予定ありを申し入れたという。


ちなみにリオネルとヒルデガルドから再度、話を聞いたのは最終確認の為だとの事。


また今回エステルへ提示された雇用条件はブレンダに準じたものとなった。


支払う報酬は手取りで月額金貨300枚(300万円)

それ以外に住居費、食費等の生活費もこちら持ち。

必要がある場合は別途の手当ても支払う。


ちなみに住居も、ブレンダと同じ公社所有の職員用住宅で、家賃は無料。

女子武官が管理人を務める女子専用3階建てマンションの3LDKタイプなので、

ひとり暮らしには充分すぎる。


「自分のキャリアアップへつながるやりがいのある仕事をさせて貰うだけではなく、とんでもなく破格の給金を頂け、凄い家にも福利厚生で住めて、とても嬉しいです!!」


と、労働条件を聞いたエステルがとてもとても驚き、

大喜びしたのは言うまでもない。


……その次の日、リオネルとヒルデガルドは、エステルを連れ、

筋を通す為に、サブマスターのブレーズ・シャリエへ会見を求めた。


幸い、ブレーズは在席しており、快く会ってくれた。


リオネルが、「実は」と話を切り出し、続いてエステルが言葉を選びつつ、

事情、経過、スカウトの顛末、そして既に直属の上司へは申し入れ済みと話をする。


対してブレーズは理解を示して、ローランドへ報告し、

了解を貰っておくと最終OKを出してくれた。

また状況が許せば、14日間の有給休暇を取り、

後、半月間出勤すれば構わないとも。


エステルはギルドにとって有能で惜しい人材だが、

ここで反対して、下手に波風を立てるより、

快諾し、リオネルに貸しを作る方が得策だと、

ブレーズは瞬時に判断したに違いない。


……そんなこんなで、話がまとまり、

リオネルとヒルデガルドは「1か月後過ぎに迎えに来るから、

引っ越しの準備をし、待機するように」とエステルに伝える。


加えて『引っ越しの支度金』とし、

金貨200枚(200万円)をエステルへ渡しておく。

もし自宅アパートを引き払うのなら、しばしホテル暮らしをしてもと。


そして恐縮するエステルを無理やり説得し、リオネルとヒルデガルドは、

荷造りを手伝ってあげ、イエーラへ持ち込みたい荷物を、収納の腕輪で預かる事に。


不足の物はワレバッドで購入しておいて、ホテルへ保管しておけば、迎えに来た際、

一緒にピックアップするとも伝えておく。


「本当に何から何までケアして頂き、ありがとうございます!!」


リオネルとヒルデガルドへ大感謝し、平身低頭するエステルへ、リオネルが言う。


「いえいえ、未知の異国へ来て頂くから当然です。それとお節介かもしれませんが、ご実家へも転職の経緯を魔法鳩便で送れば良いと思います」


「分かりました! 故郷に居るウチの両親は、ドラゴンスレイヤー、リオネル様の大ファンですから、この転職を心配するどころか、大喜びすると思います」


「ははは、そうですか。それは良かった」


「はい! この1か月間で、移住の準備を完璧にしておきます」


「了解です。ミリアンを連れて、また迎えに来ますから」


「分かりました。リオネル様が旅立たれてから、モーリスさん達と一緒に、仕事でワレバッドへ来たミリアンさんには数回会いましたが、最近は会っていませんでした。だから、凄く楽しみです」


ヒルデガルドも会話へ加わる。


「これから、エステルさんがイエーラの為に働いてくださるなんて、本当に楽しみですわ。何卒宜しくお願い致しますね」


「いえいえ、こちらこそです。こんなにも好条件で雇用して頂き、深く感謝致します。私みたいな未熟者がどこまでお役に立てるのか分かりませんが、精いっぱい勤めさせて頂きます。ご指導ご鞭撻のほど、何卒宜しくお願い致します」


という事で、エステルのヘッドハンティングという嬉しいサプライズも加え、

リオネルとヒルデガルドのワレバッドにおける用事は全て完了。


気持ち良く、ワレバッドを旅立ったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


……という事で、1か月後迎えに来るとエステルと約束し、

ワレバッドを旅立ったリオネルとヒルデガルド。


出発の際は表向きの交通手段、魔獣車に乗り込んで、走らせる。

やはり御者台にふたりが並ぶ形で。


失われた古代魔法、転移魔法を秘す為に、面倒だが当面はこのように装うのだ。


そして次の行先だが、ヒルデガルドへは出発前に告げ、了解を貰っていた。

先方へも魔法鳩便で来訪を告げ、大歓迎すると返事を貰っている。


ふたりが魔獣車ごと転移魔法で跳んだのは、

ワレバッドから馬車を使って、約半日はかかるレサン村。


しかし転移魔法ならば、ほんの一瞬で移動可能。


そう! このレサン村は、リオネルがひょんな事で出会い、心の絆を結んだ親友、

ジェローム・アルナルディと共に、ゴブリンの大群を討伐した地。


薄幸な人生を送って来たジェロームが親友となり師にもなったリオネルとの出会いを経て、想い人と巡り合ったのは、彼の人生の一大転機。


ジェロームは領主アロイス・カントルーブ男爵の愛娘エリーゼと、

運命の邂逅を遂げ、心を通わせ、結婚する事となったから。


リオネルはレサン村を出発し、ワレバッドを経てフォルミーカへ向かったが、

ジェロームはエリーゼと婚約、カントルーブ男爵家の入り婿として、

村に残ったのである。


さてさて!

今回も、いつもと同じ移動パターン。


人の気配が無い地点へ転移し、しれっと街道へ出て、レサン村の正門へ、

魔獣車で乗りつけるのだ。


現在の時刻は午前11時。

来訪するには程よいタイミング。

リオネルが逆算して、この時間に到着するべく、

スケジュールを組んだのは言うまでもない。


カントルーブ男爵家の城館及びレサン村は、

以前リオネルが生成した堅固な石壁で守られており……


ゴブリンどもが討伐されてからずっと平和だと、

ジェロームの返事には書いてあった。


そんなジェロームの手紙通り、

レサン村を守る石壁は生成した当時のまま、傷など皆無。


村の正門上の物見台へ陣取る門番へ手を振り、平和なレサン村を横目にして、

リオネルとヒルデガルドは魔獣車を走らせ、カントルーブ男爵家の城館へ到着。


やはりというか、カントルーヴ男爵家の城館を守る防護壁も綺麗なままだ。


正門前に詰める従士の門番へ、リオネルは声を張り上げる。


「先に連絡を入れ、ジェローム・カントルーブ様をお訪ねするべく伺いました! 冒険者のリオネル・ロートレックと申します! 何卒、お取次ぎをお願いしたい!」


対して従士はリオネルの顔をはっきりと(おぼ)えていた。


次期当主のジェロームと共に、

存亡の危機に陥った主家を救った超が付く大恩人である。

忘れるはずがない。


またその大恩人がランクSのレジェンド冒険者となり、

隣国アクィラ王国において、あっさりと凶悪なドラゴンどもを討伐したと噂を聞き、

英雄として称えるリスペクトの思いは著しく増していた。


そのリオネルが主家を訪ねて来るとも聞いていたので、大歓迎の表情となる。


「おお!! これはこれは!! 遠路はるばる、ようこそいらっしゃいました!! リオネル・ロートレック様!! (あるじ)からご来訪の件は承っております!!」


「ありがとうございます! 事前にお伝えした通り、共にドラゴンを討伐したヒルデガルド・エテラヴオリ様に同行して頂いております!」


「おお!! ささ!! どうぞ中へお入りください!!」


従士は「かいも~ん!!」と声を張り上げ、正門を開けさせると、

リオネルとヒルデガルドが乗る魔獣車を城館内へ(いざな)った。


魔獣車が城館内へ入ると同時くらいに、玄関の扉が開き、


リオネルと同年齢19歳になったジェロームと3歳下で16歳になったエリーゼ、

そして病も快癒し、すっかり元気になったエリーゼの父、

アロイス・カントルーブ男爵が一緒に走り出して来た。


たくましいケルピーがけん引する特製の魔獣車を見て、

御者台に居るリオネルとヒルデガルドを認めると、

3人共、手を大きく打ち振り、声を張り上げる。


「おお!! リオネル!! 良く来たなあ!!」


「お久しぶりです!! リオネル様!! ようこそ!! ヒルデガルド様!!」


「ようこそ!! いらっしゃいました!!」


リオネルとヒルデガルドの来訪を大喜びする3人であったが……


魔獣車を降り、ケルピーをハーネスから外したリオネルが、

ぱぱっと、魔獣車、ケルピーを消し去ると、


「おお!!」


と、驚愕。


そんな3人に対し、リオネルとヒルデガルドは、


「皆様、ご無沙汰しております。リオネル・ロートレックです。こちらがヒルデガルド様です」


「皆様、初めまして。私はイエーラのソウェル、ヒルデガルド・エテラヴオリですわ」


と笑顔で、まずは簡単に自己紹介をしたのである。

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