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第729話「断固として、ついて行く!!」

翌朝午前4時、リオネルは特別地区官邸の中庭において、

昨日同様、武官達へ剣技、

そして破邪聖煌拳(はじゃせいこうけん)の訓練を行っていた。


フォルミーカから戻ったリオネルと今朝も訓練をしたいとヒルデガルドが望み、

それならばと、この官邸詰めの武官達も一緒にという話になったのである。


大喜びしたのは、1,000振りの雷撃剣を受け取ったばかりの官邸詰め武官達。


彼らは、ヒルデガルド、従士長から日々手ほどきを受けてはいた。


だが、アクィラ王国であっさりとドラゴンどもを倒したと噂のリオネルから、

直接指導を受けたいと熱望していたのだ。


武官達の期待通り、リオネルの強さは更にビルドアップされており、

訓練を通じ、彼ら彼女達は身をもって体感。

自身の糧となるべくモチベーションも大幅アップ。

既に衛兵隊設置の話も伝わっており、気合充分であった。


2時間が経ち、そろそろ訓練が終了といった、その時。


『リオ~! おっはあ!』


念話で何者かがあいさつして来た。


この声、呼びかけ方は誰なのかすぐに分かる。


リオネルもすぐ念話で応える。


『ティー! おはようございます!』


『うふふ♡ 普通に、おはようで構わないのに』


と返された瞬間!


空間が不自然に割れ、ぱっ! と、ティエラが現れ、

すたっ!と芝生の上に降り立った。


驚くヒルデガルド。


『ああ! ティエラ様! おはようございます!』


『うふ、ヒルデガルド、おはよう! お疲れ様!』


と言葉を返したティエラは、リオネルへ向き直る。


『修行がひと段落したし、こっちの様子も気になるし、頼まれた魔道具も出来たし、頃合いだと思って来たわ。まあ、リオに会いたかったのが一番の理由なんだけどね』


もう登場の際の空中回転はやめたのだろうか、と馬鹿な事を考えながら、

笑顔のティエラを見て、リオネルは嬉しくなる。


『ティー、来て貰ったばかりで、申し訳ないですが、改めて武官達へ紹介しますよ』


『だね! この人達、少女バージョンの私しか知らないだろうし』


という事で、

いきなり転移魔法で現れた絶世の美女に驚愕していた武官達であったが、

正体が、あの可憐な精霊美少女ティエラである事を聞き、更に絶句していた。


武官達へのあいさつを終え、官邸へ戻ったリオネル達は、

いつもの通り、大広間で朝食を摂る事に。


既にミネルヴァとブレンダ、イェレミアスとボトヴィッドは席に座っていた。


ちなみにブレンダは『訓練』の話を聞き、ぜひ参加したいと希望したが、

ホテルの仕事に注力して欲しい事、ミネルヴァとコミュニケーションを取って欲しい事を伝え、いずれ機会を作ると説得したのである。


さてさて!


大広間へ入り、『『おはようございます!』』と、

念話で朝のあいさつをしたリオネルとヒルデガルドの後に、


ゴージャスかつミステリアスな雰囲気をまとう、

エキゾチックな顔立ちをした美女――ティエラが入って来た。


『皆さん、おはようございます!』


「おお! ティエラ様!」


「ティエラ様がいらっしゃったわ!」


思わず肉声で叫ぶイェレミアスとブレンダ。


身長は、170㎝弱くらい。

出で立ちは変わらず複雑な刺繍ししゅうが施された茶色の革鎧。


肩まで伸びた栗色の髪がさらっさらっ。

切れ長で、美しいとび色の瞳。


……人間族でいえば、20代前半くらいに見える。


ボトヴィッドを除く、全員がすっく!と立ち上がり、

「おはようございます!」とあいさつした。


この場で、ティエラと初対面なのは、ボトヴィッドだけである。


食事の際は、人払いをしているので、第三者に聞かれる恐れは無い。


だが、万全を期して念話で伝える事に。


皆が朝のあいさつをした後、

ワンテンポ遅れ、慌てて立ち上がったボトヴィッドへ、

リオネルは、声をかける。


『おはようございます、ボトヴィッドさん。彼女には初めて会いますよね? 紹介します。俺の妻となるティエラです』


様付けをしないリオネルの紹介に応え、満足そうに頷いたティエラは、

はきはきとあいさつする。


『おはようございます! 初めまして! ボトヴィッド・エウレニウス様! リオネル・ロートレックの妻となるティエラと申します!』


ティエラに対して、親友のイェレミアスとその孫娘ヒルデガルド、

そしてブレンダも丁寧にあいさつし、ひどく気を遣っていた。


当然、リオネルも。


上位女神のミネルヴァだけが、「おはよ!」と気安くあいさつし、

親しげに手を振っていた。


魔法使いで勘が鋭いボトヴィッドはさすがに気付く。

この絶世の美女が、怒らせたら怖いと聞いたリオネルの『正妻』なのだと。

そして上位女神が昔馴染みのように、気安くする『特別な存在』であるのだと。


『お、おはようございます!! は、初めましてっ!! ボ、ボトヴィッド・エウレニウスと申しますっ!! な、何卒!! よ、宜しくお願い致しますっっ!!』


いつもの、斜に構えた天邪鬼な態度はどこへやら、ボトヴィッドは、

これまでの人生で一番、緊張し、丁寧なあいさつをしたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


身内、近しい者のみのこの朝食会は、現状の確認と情報共有の場。


他愛もない雑談もあるが、各自から報告も為され、優先順位をつけたリオネルが、

自身のスケジュールにあてこみ、次にやるべき事を判断するのだ。


スタートしたばかりだが、ミネルヴァのフォローを受けた、

ブレンダのホテル研修は順調。


ボトヴィッドの新店舗の片づけ、セッティングも順調との事。


そしてリオネルの教育、医療の改革の途中経過も報告される。

『基礎教科書』のたたき台製作を事務官へ指示した事。

イエーラ各地の治癒士へ有償レンタルする、

精霊ティエラの加護を受けた特別な魔法杖の試作品が完成した事。


ここでティエラが『はい!』と挙手。


『今、リオが言った魔法杖の試作品がこれよ!』


瞬間!


ティエラの目の前にカーキ色の魔法杖が1本現れた。


『とりあえず10本作ったから! ちなみに他の色でも作れるよ! 基本的にはアースカラーが私の好みだけど、もし希望があったら遠慮なく言ってね!』


対してリオネルは柔らかく微笑む。


『ありがとうございます。本製作の数、色の方は確認の上でお願いすると思います。とりあえずこの試作品を携え、方針周知の為、50の各町村を回ります。治癒士さん達に効能効果を体感して貰いますので』


すると、ヒルデガルドが『はい!』と挙手。


『わ、私も! リオネル様と同行致しますわ! ソウェルとしての責任です!』


『はい、ヒルデガルドさんが一緒だと話も通りやすいのでお願いします』


『じゃあ、動作確認を早く済ませてくれたら、速攻で1万本、私が魔法杖を作るわ』


『おお、一度に1万本も、ですか?』


『うん! 楽勝! 楽勝! ノープロブレム! 問題はナッシング!』


『さすがですね、了解です。では動作確認のテストを俺、ヒルデガルドさん、イェレミアスさんが行います。宜しいですね?』


対して、ヒルデガルド、イェレミアスは、


『OKです! 私は未熟で中級レベルの回復魔法までしか使えませんから、丁度良いですわ。この魔法杖を使い、修行し、上級レベルの回復魔法習得に挑戦します』


『うむ! 私は上級レベルの回復魔法を行使可能ですが、魔力量消費のテストが出来ますな』


『俺もイェレミアスさんと同じで、魔力量消費のテストをします。テストが完了したら、事務官が魔法鳩便で各地へ周知。試作品をまずは、この特別地区とフェフの診療所へ配布し、1か月間使って貰い、実績を作りましょう』


『フェフとこの特別地区の実績があれば、各地の治癒士も受け入れやすいですわね』


『うむ、ヒルデガルド、その通りだな』


『その1か月の間にソヴァール王国へ赴き、ワレバッド経由でキャナール村へミリアンを迎えに行こうと思います。その後、時間があれば王都バルドルへ寄り、戻って来たら、医療改革、教育改革を含め、各案件の確認を行い、必要であれば追加の作業を行います』


ここで『はい!』と挙手をしたのがヒルデガルドである。


『そのソヴァール王国への旅には、私ヒルデガルドが絶対に同行致します! おじいさまがフォルミーカへ同行する際、リオネル様とお約束致しましたから!』


断固として、ついて行く!!


という強い意志が感じられる、ヒルデガルドの物言い。


対してリオネルも交わした約束を履行するつもりだし、異存は全く無い。


『分かりました。旅の準備をしつつ、先ほどのスケジュール通り、しゅくしゅくと進めて行きましょう』


リオネルはそう言い、笑顔でヒルデガルドへ応えたのである。

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