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第728話「まあ、入国審査室にはケルベロスか、オルトロスのどちらかを配置しますから、暴れる者は殆ど居ないと思いますよ」

夕食会の後、打合せが行われ……

各自のスケジュールが確認の上で情報共有された。


イェレミアスは、フェフの官邸でヒルデガルドから引き継いだ通常の政務を行う。


ボトヴィッドは、相棒たる自動人形型(オートマタタイプ)のゴーレム、

アートスに什器の設置、商品の陳列等々を手伝って貰い、

改めて魔道具店『新・魔道具店クピディタース』オープンに向け、準備を行う。


ブレンダは、すっかり打ち解けた上位女神ミネルヴァとともに、

新たな職場となったホテルにおいて公社職員達へ指導を行う。


ちなみにミネルヴァから、リオネルへは、

『当分、ブレンダの事は私に任せて、イエーラの政務に注力して』と念を押された。


そしてリオネルはといえば、ヒルデガルドを伴い、フェフの官邸へ移動。

教育と医療の改革について、担当の事務官達と打合せを行う事に。


昨夜、ミネルヴァと話した内容を具体化するべく現場と打合せを行い、

実施して行くのだ。


という事で一行は朝食後解散、スケジュール通りにリオネル、ヒルデガルド、

イェレミアスは転移魔法でフェフの官邸へ赴き……


……イェレミアスはソウェル代行として執務室へ。

リオネルとヒルデガルドは会議室へ。


会議室には、まず学校担当の事務官達がヒルデガルドの指示により、

全てを準備して待っていた。


リオネルは収納の腕輪から、古書店で手に入れた、

故国ソヴァール王国、アクィラ王国の各科目の『基礎教科書』を搬出。


イエーラで使われている基礎教科書と付け合わせして、

基礎学校へ配布する新たな基礎教科書のたたき台を作る事を指示する。


同じく古書店で手に入れた、

ソヴァール王立大学、アクィラ王立大学の教科書も搬出。

こちらも、必要かつ講師のあてがありそうな学科を決め打ちし、

新たな『大学教科書』のたたき台を作る事を事務官達へ命じた。


原稿が完成したら、協力を申し入れてくれたミネルヴァに添削して貰い、

リオネル、ヒルデガルド、イェレミアスで最終確認。

そして、これまた購入済みの魔導印刷機と大量の紙を使い、

各50万部ずつトータル100万部で印刷、装本する予定だ。


また、職業能力開発学校用の教科書は、

先日、冒険者ギルドフォルミーカ支部において購入した、

各種講座のテキスト5,000部をまずは、そのまま使用する。

既にヒルデガルド、イェレミアスが実際にギルドの講習を受け、

使用に問題無しというコメントを貰ってはいる。

だが、必要があれば、アールヴ族に適した内容へ改訂し、

新たに装本する事も考えている。


そんなこんなで教科書の製作作業は、これからだが、段取りは出来た。


合わせて基礎学校経営者への改革周知の指示も出される。


まず魔法鳩便の書面で通達。

更には、以前の農業改革のように、

リオネルが転移魔法で担当の事務官、護衛の武官を50の町村へ送り込み、

町村の官邸にて、首長の指示のもと、基礎学校経営者を集め、説明会を行う。


様々な考え、価値観がある中で、

新たな国の方針を周知された基礎学校経営者の感情も様々だろうが、

あまり時間をかけず、説得しなければならない。


事務官レベルで処理出来ない場合、リオネル、ヒルデガルド、

そしてイェレミアスが出張る場合も想定しておく。


……と、ここまでで、とりあえず教育改革の打合せが終了。


教育改革担当の事務官達は、医療改革担当の事務官達と入れ替わりで、

課された仕事を担うべく、出て行った。


リオネルは入って来た医療改革担当の事務官達と早速、打合せを始める。


まずは、精霊ティエラの加護を受けた特別な魔法杖の試作品を作る。


フェフの病院で使用し、動作確認を行い。その魔法杖を大量に手配する。


リオネルとヒルデガルドが担当事務官を伴い、転移魔法で50町村の診療所へ赴き

魔法杖の試作品を使いつつ、患者の治癒をフォローする。


その後、規定数の魔法杖が完成したら、

再び、リオネルとヒルデガルドが担当事務官を伴い、

各町村の診療所の治癒士へ魔法杖を配布しつつ、

患者の治癒をフォローしながら、回る。


……ここまでで官邸での打合わせはとりあえず終了。


リオネルとヒルデガルドは、大学校、職業能力開発学校の建設用地を視察。

建設はまだ先ではあるが、とりあえず整地だけでもしておこうと、


リオネルは収納の腕輪より、それぞれ50体のゴーレムを呼び出し、

一気に作業をさせる事に。


このような時も、転移魔法は実に便利。


大学校、職業能力開発学校の建設用地はそれぞれ別の場所にあったが、

一瞬で移動出来るので、監督、指示且つ確認が容易に行えて、

整地作業はあっという間に終了したのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


……なんやかんやで、時刻は既に午後0時前。


官邸へ戻って来たリオネルとヒルデガルドは、イェレミアスと合流。

一緒に昼食を摂る事に。


その昼食のメニューだが、アールヴ料理は勿論、ソヴァール王国料理、

隣国アクィラ王国料理がバランス良く混在していた。


見栄えも味も抜群で、一流ホテルの料理に勝るとも劣らない。

ヒルデガルドが告げた通りである。


『確かに美味しいです。ヒルデガルドさんの言う通りですね』


『わお! 嬉しいですわ。リオネル様から合格を頂いてしまいました』


そんなふたりの会話を聞き、イェレミアスも笑顔である。


『うむ! 日々の食事が美味しいのは一番です。ヒルデガルドからプレゼントして貰った人間族のトリプルサイズベッドのお陰で、睡眠も最高に良い感じですしな』


『うふふ、それは何よりですわ、おじいさま』


そんな他愛もない会話から始まり、

やはりというか3人は食事を兼ねた打合せを行う。


それぞれ行った打合せ内容の情報共有を行い、意見交換をし、

更に新たな議題をリオネルが提示した。


それは国内、特別地区の治安維持、向上の為の専任たる衛兵隊の設置。

更には特別地区へ入国するにあたっての『不審者チェック』である。


『ヒルデガルドさん、イェレミアスさん、今、フェフ市内のパトロールはソウェル護衛の武官達が交代制で、行っているのですよね』


『ええ、そうです、リオネル様。従士長の差配で交代制となっていますわ』


『うむ、昔からのやり方ですな。そして地方は基本的に町村の自警団が治安を守り、必要があれば、人数を検討し、武官が出張する形を取ります。魔法使いも同様です』


『成る程。今後は特別地区の警備もありますし、武官の人員が不足するのは必至です。人事の調整もその都度ですと大変なので、先んじて治安維持専任の衛兵隊を設置しましょう』


『え? リオネル様。人間族の街で見かける衛兵隊をイエーラにも?』


『おお、成る程、イエーラにも治安維持の専任部隊を作るのですな』


『はい、その衛兵隊の設置ですが、武官達の中からまず管理職、隊員を選抜。ある程度の人員を確保し、不足する人員は公募で集め、指導役を決めて早めに訓練しておきましょう』


『了解ですわ。リオネル様が以前ご指南くださった剣技、そして破邪聖煌拳(はじゃせいこうけん)は武官達の間へだいぶ浸透致しました。従士長以下、ずっと訓練を続けておりますから、レベルはまだまだですが上達も致しました』


『ははは、ヒルデガルドは控えめに言いますが、私が見るに、武官達のレベルは素晴らしく上がっております。自分達の腕が上がり、自信もついたのでしょう。最近は張り切ってパトロールするようになり、フェフ市内の争いごとがめっきり減りましたぞ』


『分かりました。もろもろ良かったです。ちなみに武官や衛兵の警護用武器ですが、相手を気絶させるレベルの刃を潰した雷撃剣にしようと思います。練習用の雷撃剣を頑丈にし、威力を3割増しにしたものです』


『ええ、私も武官達が普段から使っているので、扱いやすいと思いますわ』


『成る程。血を流さぬようにして、相手を無力化させるのですな。賛成ですぞ!』


『それと、あまり考えたくはありませんが、敵が害を為そうとイエーラへ攻め込み、国防の為、武官や衛兵が命をかけ、本気で戦う時は別の武器を使って貰いましょう。何を使うかはこれから検討ですね』


『分かりました』


『ふむ、有事の際、という事ですな』


『ちなみに雷撃剣は俺の方で既に計5,000振りを購入しました。そのうち4,000振りをこの官邸の武官達へ、残りの1,000振りを特別地区の武官達へ渡します。不足するならば、更に購入します』


『ありがとうございます! お願い致します』


『うむ! 何から何まで本当に助かりますぞ!』


『では衛兵隊の設置はおふたりのご賛同を頂けたという事で。次は、特別地区へ入国するにあたっての不審者のチェックです』


『これ、結構、難問ですよね?』


『うむ、私も良いアイディアが浮かびませんでした』


『では、俺のアイディアを聞いて貰えますか?』


という事で、再びリオネルが提案する事に。


『入国手続きの際、当然、身元のチェックをしますが、相手の心の内までは分かりません。もし(よこしま)な心を持っていても、何の証拠も無しに、糾弾、処置は出来ませんし』


『ですよねえ』


『その通りですぞ』


『ええ、ですので、入国審査の際、心の防犯チェックをします。俺が以前から構想して、こつこつ作り、先日完成した魔導噓発見機を使用しようと思います。ちなみにこれです。計10個作りました』


リオネルが収納の腕輪から搬出したのは、50cm四方正方形の黒い箱である。

台座がついており、3つの小さな魔法水晶が埋め込まれていた。


『魔導噓発見機は、特別地区の入り口、入国の際、審査をする、入国審査室に設置します』


『入国審査室ですか』


『イエーラへ入国させる前に、色々、調べるのですな』


『はい、入国希望者にはこの魔導噓発見機へ手を置いて貰い、身分証明書、入国審査書類に基づき、係官がいくつか質問をします。放つ魔力を感じ取り、魔導水晶が緑の点灯ならば潔白、黄なら、何か隠し事がある、赤は嘘をついているという答えとなります』


『成る程ですね』


『シンプルで、分かりやすいですな!』


『はい、アクィラ王国始め、各国へは事前通知し、了解して貰いますが、質疑応答を伴う書類審査を行った上で、魔導噓発見機を使い、最終確認する形を取ります。緑の点灯なら問題無く入国OK。黄は取り調べの上、理由により入国を許可し、嘘をついたり、真実を話さぬのなら入国拒否。赤なら即座に入国拒否ですね。これ、性別年齢身分関係なく同じ処置です』


『とても良いと思いますわ』


『だが、もしも処置を不服とし、抵抗し、暴れたりしたらどうしますかな?』


『はい、その場で衛兵がまずは説得。それでも抵抗をやめないようならば、軽度の雷撃で無力化させ、逮捕して、留置場へ入れ、イエーラの法律に基づき、処罰をします。必要があれば裁判も行います。まあ、入国審査室にはケルベロスか、オルトロスのどちらかを配置しますから、暴れる者は殆ど居ないと思いますよ』


『ああ、前にお聞きした通り、魔獣兄弟を門番に据えるのですね!』


『おお、魔獣兄弟がにらみをきかせると! まさに冥界の審査そのものですな!』


……とまあ、他にいくつかやりとりをし、打合せは終了。


リオネルは告げた通り、官邸の武器庫へ、従士長立ち合いのもと、

雷撃剣を4,000振り搬入し、先ほどの打合せの内容を伝えた。


そして従士長以下、非番の武官達へヒルデガルドも参加した、けいこをつけた後、

イェレミアスとともに、3人で特別地区の官邸へと戻ったのである。

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