表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

721/754

第721話「私の愛する娘ブレンダを何卒! 何卒! 宜しくお願い致します!」

それから、話は順調過ぎるくらい順調に進んだ。


雇用条件を提示し、山猫亭の人材の新規募集を託した商業ギルドのサブマスターは、

何と!何と! 調理、接客担当各150人計300人の候補者リストを送って来て、

面接のセッティングを打診して来た。


対して、リオネル達は丁重に礼を述べ、送っても貰ったリストを精査。

まずは書類選考で1/3の50人ずつ計100人に絞り、早速面接のセッティングを依頼。


一方、大工達からは特別チームを組み、前打合せをしたので、

山猫亭へ赴き、隣のレストラン山猫亭を含め、

下見を兼ねた打合せをしたいと連絡が来た。


すぐにスケジュール調整し、翌日、下見を兼ねた打合せを行った。

幸い建設した際の山猫亭の図面が残っていたので、下見はスムーズ。

隣のレストランもしっかり見て、こちらの希望も充分伝える事が出来たのである。


人材の新規募集は、冒険者ギルドにおいて、

リオネル主導、イルヴァとモニカも出席しての第一次集団面接、

リオネル主導、ダニエラとブレンダ出席の第二次個別面接、

そして同じくリオネル主導、ダニエラとブレンダ出席の最終個別面接へ……


ちなみにリオネル主導なのは、こういう事に不慣れなダニエラとブレンダを、

共同経営者としてフォローするのは勿論、

面接へ臨んだ応募者の心の波動を受け、相手の真剣さ、誠実さをはかる為だ。


そしてレストラン山猫亭の新設、山猫亭増改築は、下見と打合せ後、

リオネル、ダニエラ、ブレンダ確認の上で、

大工からの設計図の提出、その修正、合意、半金の支払い、着工と、

更に進展して行った。


という事で、リオネルの結婚、山猫亭プロジェクトなど、

想定外のイベントが発動した為、予定外の日数がかかり、

当初の滞在予定日数を軽くオーバー。

予定通りのイエーラへの帰国は叶わなかった。


こうなるとイェレミアスはともかく、

ヒルデガルドが寂しさから「ぶうぶう」言いそうだが、

ティエラの恋愛指南もあり、さすがにそこはしっかりフォロー。


リオネルは毎晩の長距離念話連絡で、ヒルデガルドへコミュニケーションを取り、

日々の確認を兼ねた彼女の気持ちのケアを行っていた。


それゆえ、ヒルデガルドは寂しいとは言いながらも、

あからさまに不満を見せたりはしなかったのだ。


またリオネルは「時は金なり」とばかりに、

山猫亭プロジェクトが進行中に、

冒険者ギルドの講座で召喚魔法、付呪魔法(エンチャント)、の習得を続行。


そして、これまでにフォルミーカの街で、

様々な買い物を行っていたのだが、更に更に買い物を続行。

今後必要となるであろう、とんでもない量の商品、食料品、飲料、

し好品、資材等々を買い込んだ。


一方、ダニエラとブレンダ、イェレミアスとボトヴィッドも

イエーラ行きを想定し、生活物資を中心に大量の買い物を行う。


ダニエラはすぐ出発せず、しばし、フォルミーカに滞在するが、

先に購入し、イエーラへ運んでおこうという意図である。


後、イェレミアスはリオネル同様、冒険者ギルドの各講座に通いつつ、

アートスを従えたボトヴィッドとともに、

フォルミーカの街の観光を思う存分に楽しみ、3者で魔道具店へ赴き、

目利きの訓練も兼ねて、売れそうな商品を買い漁っていた。


そんなこんなで、各人は時間を全く無駄にしなかったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


それから1週間が過ぎ、最終面接が終了。

山猫亭の新スタッフが決定した。


20歳から35歳までの調理担当が5名、20歳から25歳までの接客担当が5名、

計10人を採用した。


いずれオープンするレストラン山猫亭への移籍も見越しての採用である。


但し、調理担当であっても人手が足りない場合、

接客を含む宿の業務も担って貰うという条件を了承しての採用だ。


ただこの10人は初心者ではなく、

調理担当は、これまでレストラン、居酒屋(ビストロ)等々で腕を磨き、

接客担当は、ホテル、同業の宿屋などでしっかりと仕事をして来た経験者である。


なので、いちから仕事を教えるという事はさすがに無い。


リオネルは、山猫亭の仕事の流れに出来る限り早く慣れて貰い、

何かあれば遠慮なく提案をして貰い、レストラン山猫亭への移籍も含め、

各自がベストのパフォーマンスを発揮する事を心がけて欲しいと告げた。


本来ならば、オーナーであるダニエラ、ブレンダが話す訓示だが、

最早アクィラ王国において偉大な英雄とされ、

レジェンドたるランクS冒険者、ドラゴンスレイヤーたる共同経営者リオネルから、

伝える事で、新スタッフ達が素直に聞き入れると考えたのだ。


その作戦は、ばっちり上手く行った。


リオネル・ロートレックの名前と功績はアクィラ王国中は勿論、

周辺各国、遠き国まで伝わっている。


今回の応募者達は、耳にたこが出来るほどリオネルの噂を聞き及んでいて、

サブマスターが大々的にそれらを強調し、募集をかけた事もあり、

リオネルゆかりの店が、新たにスタッフを募集するという事で、

問合せが殺到したのだ。


採用者達も当然リオネルの大ファンであり、全員が素直に話を聞いている。


更にリオネルはダメ押しとして、3日間の研修を行った。


そこで採用者達は大いに驚愕


英雄が、ダニエラ達とまめまめしく宿屋の仕事を行うのに加え……

自らが厨房に立ったのだから。


しかし、驚愕はまだまだ終わらない。


いつもながらの軽快な包丁さばき。


とんとんとんとん! とんとんとんとん!


大きな鉄製フライパンも楽勝で軽々と使う。


じゃじゃじゃっ! じゃじゃじゃっ!


じゅ~ううう! じゅ~ううう!


じゅわわわぁ! じゅわわわぁ!


「………………………………」


リオネルの一流シェフさながらの手際の良さを見て、

そのとんでもないギャップに完全に参り、新スタッフ全員が心酔してしまった。


出来上がった料理が絶品だったから尚更。


全員が山猫亭プロジェクトを絶対に大成功させようと、

モチベーションは、ダダ上がりとなる。


特に調理担当は、自身が得意のアクィラ王国料理は勿論、

ソヴァール王国とアールヴ料理を習得しようと燃えに燃えた。


そしてリオネルからはとりあえず、ソヴァール王国とアールヴ料理のレシピ、

各100ずつも渡された。

これでダニエラ、イルヴァとモニカを始め、調理担当達が、

習得に励んでくれるはずだ。


そんなこんなで、山猫亭のスタッフはブレンダがイエーラへ出発し、

ダニエラがその後抜けたとしても、イルヴァとモニカのカディオ母娘を入れ12名。


ちなみに各スタッフへ支払う給金は、物騒なので総額をルベルに預け、

ダニエラが支払うという形にし、リオネルが了解を貰っていた。


レストラン山猫亭オープンの際には新規募集を改めてかけるし、

当面はこの12名で、充分回していけるはずである。


一方、そのレストラン山猫亭の新設も順調に進んでいた。


隣家であった3階建ての旧レストランは、まだ築10年と少し。


取り壊し、いちから建築するより、リフォーム工事した方が、

というリオネルの判断は妥当であった。


担当した大工達は、英雄リオネルゆかりの店として、

素晴らしいオープンをさせたいと、大奮闘。


多分、2か月かからず、工事は終了するとの事。

リオネルは感謝し、建設費用を全額、完成前に支払った。

結果、大工達のモチベーションが更に更に爆上がりしたのは言うまでもない。


それから更に1週間経ち、宿泊客が一気に増え、常に満室の状態であったが、

新スタッフを加えた山猫亭の業務は順調。


指導役にも慣れたカディオ母娘が中心となり、営業はスムーズに行われていた。


そしてヒルデガルドからは、定時連絡の中で、


『特別地区の工事は順調に進んでおり、魔力システム、上下水道などの必須インフラが既に完成。優先上位となる外壁、官邸、ホテル、魔道具店用の店舗、スタッフ用の宿舎他の建築物も完成し、いつでも居住OKです』


と報告があげられている。


これで、ようやく、という感じでブレンダ出発準備が整った。


まずリオネルは、冒険者ギルドフォルミーカ支部のギルドマスター、

アウグスト・ブラードへ一報を入れた。


近日中に、フォルミーカの街を出て、イエーラへ向かうと。


出発日は未定なので、見送りや餞別などは一切不要、

お構いなくという旨も、ギルドの受付経由で伝えておく。


……それからリオネルは、話があるとブレンダを呼び出し、ふたりきりの時に、


『実は、今回のイエーラへの旅は『特別な魔法』を使い、長い旅の負担を著しく軽減する』


と念話で伝える。そして更に、


『特別な魔法は今、具体的には明かさないが、既に何度も行使しており、禁呪のような邪悪な魔法ではなく、危険もほぼ無く、イェレミアスは体験済みで、先日ボトヴィッドへも伝えた。


但し、この特別な魔法は失われた幻の魔法。リオネルが行使可能な事は厳秘であり、こちらが許可する以外、実の母と言えども、一切の他言は厳禁、必ず厳守する事』


とも伝えたのである。


対してブレンダは大いに驚きながらも、


『旦那様! 私は貴方を信じていますし、必ず秘密は守ります!』


と固く固く約束してくれた。


そんなこんなで、いよいよ出発の日、リオネルは笑顔で、ダニエラへ言う。


「ダニエラさん、後をお任せし、本日午前11時にイエーラへ出発させて頂きます。今後のスケジュールですが、レストラン山猫亭の完成前にまたフォルミーカへ来ます。その前に商業ギルドのサブマスターへは人材の新規募集のお願いを魔法鳩便で行っておきます」


「分かりました! リオネルさん! イルヴァとモニカは頑張ってくれているし、ルベルさんが居るから本当に心強い。新しく来たスタッフさん達も良く働いてくれているし、何の不安もありません! ……私の愛する娘ブレンダを何卒! 何卒! 宜しくお願い致します!」


「はい! 任せてください! 必ず幸せにしますから!」


ダニエラへ固く誓いを立てた後、

更にリオネルは、スタッフ全員へ改めて訓示を行い、

気を引き締めた上で、収納の腕輪から8人乗りの馬車『魔獣車』を搬出。


水の精霊ウンディーネのマイムへお願いして、

たくましい駿馬に擬態したケルピー(水棲馬)を水宮城より4体召喚。


ケルピーをハーネスで魔獣車へつなぎ、出発の用意をすると……


事前に召喚しておいた炎の魔人ブライムを護衛として従えつつ、

ダニエラ達山猫亭スタッフ全員の見送りを受けながら、

ブレンダ、イェレミアス、ボトヴィッド、アートスとともに、

イエーラへ出発したのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説書籍版既刊第1巻~8巻大好評発売中!

《紙版、電子版、ご注意!第8巻のみ電子書籍専売です》

(ホビージャパン様HJノベルス)

※第1巻から8巻の一気読みはいかがでしょうか。


◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

既刊第1巻~5巻大好評発売中!

《紙版、電子版》

何卒宜しくお願い致します。

コミックスの第1巻、第3巻、第4巻は重版しました!

皆様のおかげです。ありがとうございます。

今後とも宜しくお願い致します。


また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。


WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が購読可能です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、

⛤『冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!』《完結済み》


⛤『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』《連載再開!》

⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのあ

る王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』《完結》

⛤『異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!』《完結》

も何卒宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ