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第72話「合わせ技の爆炎」

洞窟最奥、オークカーネルからやや離れた場所……


淡い光を放って浮かんでいた魔導光球が、


ぱああああああっっ!! 


と、いきなりまばゆく輝いた。


『オークの弱点! 第一弾! 明るい光を嫌うお前らへ、まずは視界が消えるくらいの、まばゆい閃光(せんこう)だ! 喰らえっ!』


リオネルは呼び出した魔導光球へ、オークカーネルに気付かれないよう魔力を送り、照度を一気に上げたのだ。

これぞ、魔導照明弾!!


ぎええええええっ!!!!!


『ヤ、ヤメロォォッ!! マ、マ、マブシイッッ!!?? ナ、ナ、ナニモ!! ミ、ミエナイッ!!』


リオネルへ突進しようとしたオークカーネルは、悲鳴を上げ立ち止まり、

まばゆい光を防ごうと、目を腕で(おお)った。


片や、リオネルは既に目を閉じていて、全くの『ノーダメージ』である。


リオネルは先ほど頭の中へ叩き込んだ洞窟の地形を思い出し、

岩を触りながらの手探りと、動物能力の気配察知、当然バージョンアップした魔力感知をフル稼働。

距離を測りながら、目を閉じたまま、素早くオークカーネルへ接近した!


数分で、両者の距離はほんの10mほどとなる。


目をつぶったままのリオネルは、収納の腕輪から、

冒険者ギルドで購入した、陶器製の『魔導投擲弾(まどうとうてきだん)』を取り出した。

この『魔導投擲弾』を、気配と魔力感知を頼りにし、オークカーネルめがけ、放り投げるのだ。


ひとつ! ふたつ! みっつ! よっつ! いつつ!


リオネルが購入した『魔導投擲弾』の陶器は、卵の殻くらいの硬度しかない。

何かに当たれば、『すぐに割れる仕様』である。


がちゃん! がちゃん! がちゃん! がちゃん! がちゃん!


5発全てが見事に命中!!

オークカーネルに当たると、粉々に砕け散った。


この『魔導投擲弾』の中には、何かの『薬剤』が入っているらしい。

独特の香りが洞窟内に「ぷ~ん!」と漂う。


こういった投擲武器は、普通ならよけられてしまうだろう。

しかし、『魔導照明弾』の影響で、オークカーネルは、

まだまともに視力を回復していない、そう、いまだに目を押さえていたのだ。


戸惑うオークカーネルをよそに、リオネルは心に刻まれた記憶を頼りに、

ゆっくりと後方へ撤退。

元のポジションへ戻ると、魔法発動の準備、体内魔力を上げて行く。

同時に、魔導光球の照度を徐々に下げて行く……


照明弾の効果がほぼ消え、淡い明かりとなった頃合いを測り、リオネルは目を開けた。


『次! オークの弱点第二弾も、お前らが大嫌いな火だあ! おらおらおらあ!』 


この場所ならば、洞窟外の森と違い、火災、延焼の心配が皆無だ。

オークカーネルとサシの状態では、第三者が居て、誤射を恐れる心配も不要なのだ。


リオネルは、習得したばかりの火の攻撃魔法『火弾』を、出力MAXの魔力で放った。


ごおっっ!! ごおっっ!! ごおっっ!! ごおっっ!! ごおっっ!!

ごおっっ!! ごおっっ!! ごおっっ!! ごおっっ!! ごおっっ!!

ごおっっ!! ごおっっ!! ごおっっ!! ごおっっ!! ごおっっ!!


オークカーネルへ放たれた『炎弾』は、またまた全て命中!!


何と!

オークカーネルの全身が激しく燃え盛る。


これは不可思議な事であった。

元々オークの表皮は防具に使う程頑丈で、簡単に火も点かないからだ。


その為、リオネルは一計を案じた。


先ほど投げ、命中した『魔導投擲弾』の中には、

発火を著しく促進させる様々な素材を調合した『特別な魔法薬』が入っていたのである。


ごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっっっ!!!!


ぎぃええあああああああああああああっっっっ!!!


『ははは、熱いかあ? 良く燃えるぜえ! だが攻撃は終わりじゃないぞ! 次は合わせ技の第三弾だあ!』


そう!

リオネルは使い慣れた風の魔法を『追い風』として送る。


『行け! 奴の足元から思い切り吹き上げよ、風壁!!』


リオネルの放つ『風壁』が変則的にオークカーネルの足元より発生、上部へ吹き上げる。


オークカーネルの全身で激しく燃えている炎は、足元からの強風にあおられ、

更に激しく燃え広がる。


この合わせ技、まるで変則的な『爆炎』である!!


ごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっっっ!!!!


ぎぃええあああああああああああああっっっっ!!!


『ヒイイイッッッ!! アチチチチ! アツイ!! アツイッ!! カ、カラダガ、モエルゥゥ!!』


『おらおらおらあ!! 更に炎弾数十連発だあ!! 一気に行っけ~~!!』


ごおっっ!! ごおっっ!! ごおっっ!! ごおっっ!! ごおっっ!!

ごおっっ!! ごおっっ!! ごおっっ!! ごおっっ!! ごおっっ!!

ごおっっ!! ごおっっ!! ごおっっ!! ごおっっ!! ごおっっ!!


『更に更に! 風壁もおみまいしてやる! 風力アップぅ!! 奴の足元から、あおって!! あおって!! あおりまくって!! 一気に燃やしちまえ!!』


ごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっっっ!!!!


暴風に煽られ、燃え盛るオークカーネルの巨体は一気に炎上、否!

超の付く大、大炎上だあ!!


ぎぃええああああああああああっっっっ!!!


『タ、タ、タスケテクレェェ!!! モ、モ、モエチマウ!! イ、イヤダアッ!?シ、シンジマウヨォォォ!!!』


『ふん! 悪党の鳴き声は聞こえんなあ! 大人しく地獄へ堕ちろぉ!!』


ぎぃええああああああああああああああああああっっっっ!!!!!!!!


火と風の絶妙なコンビネーション。

おぞましい断末魔の絶叫とともに、オークカーネルは、

巨大なたいまつの如く、「ごうごう!」と燃え盛る!


5分も経たないうち、オークカーネルはあっという間に燃え尽き、

完全に『消し炭』と化していた!!


と、その時。


チャララララ、パッパー!!!


リオネルの心の中で、あの独特のランクアップファンファーレが鳴り響き、内なる声が淡々と告げて来る。


リオネル・ロートレックは、オーク115体を倒しました。

上位種『オークカーネル』1体を倒しました。


既定値を満たしたので、『レベル14』に到達しました。


チートスキル『エヴォリューシオ』の効果により、

身体能力、五感が全般的に大幅アップしました。


体内魔力が大幅に増量しました。

魔力回復力が大幅にアップしました。

魔法攻撃力が大幅にアップしました。

物理攻撃力が大幅にアップしました。

対魔法防御力が大幅にアップしました。

対物理防御力が大幅にアップしました。


チートスキル『エヴォリューシオ』の効果により、

習得済みの風属性の攻撃魔法『炎弾』、防御魔法『風壁』から派生し、

火属性防御魔法『火壁』を習得しました。


「よし、やったあ! 『14』にレベルアップだ! それと! もろもろのスペックが大幅上昇だぞ! うんうんっ!」


「それに『派生』って、一体何だろ!? 『炎弾』と『風壁』が組み合わさって、『火壁』へ進化って事か?」


「でも『火壁』の習得も凄く嬉しいぜ。足止めの方法が増えた! ……だけど、念の為、近付くのは少しだけ待とう」


リオネルは、相変わらず、超の付くほど慎重である。

更に10分ほど待機してから、「何も起こらない事」を確認した上で……

オークカーネルが燃え尽きた『現場』へ移動した。


じっくりと『現場』を確認する。


「お~! 派手に燃えたな……」


「どこかで聞いた言葉だけど、大が付く炎上って奴だな、コレ……でもこの攻撃は、すっげぇ使えるぞ! 改良の余地もありそうだ!」


「習得した火壁とともに、他の魔物や、不死者(アンデッド)にも効果があるぞ、きっと! いろいろ攻撃のバリエーションを考えよう!」


リオネルが改めて見ても、オークカーネルは完全に残骸(ざんがい)……

『単なる塵』と化している。


念の為、リオネルは葬送魔法『鎮魂歌レクイエム』を行使、邪悪な念が残らぬよう処理をした。


これで……アルエット村におけるオークの討伐は完全に終了である。


後は、再び照明魔法を発動。

呼び出した魔導光球を、出入り口に施した『帰還マーキング』へ目指して誘導し、

その明かりを追い、洞窟を脱出するだけだ。


「合わせ技の爆炎で、何とか勝ったあ! 俺ってさ……ホントに転んでも、ただは起きぬ、だな…………いや、紙一重でマジやばかったんだ!」


「そうだ! ホント勝って兜の緒を締めよだ! 単に運が良かったんだ、俺は! もしも念話習得がなければ! そしてチートスキル『エヴォリューシオ』の効果で、特異スキル『念話ハイレベル』への進化がなければ! 間違いなく格上のアイツにやられていた。禍を転じて福と為す……だな」


いつもの癖で自問自答し、思わず苦笑したリオネル。

……浮かんでいた魔導光球へ、出入り口へ向かうよう命じたのである。

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