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第715話どういたしまして! 君は魔法を使えないけど、素質はグッド。良い破邪の力を持っている。頑張って修行してね!「」

この日の夜、地の最高級精霊ティエラが行使した夢魔法により……

『結婚報告会』が行われ、冒険者リオネル・ロートレックと、

彼へ嫁ぐ4人の妻達とその家族が一堂に会した。


この結婚報告会は、妻の家族達への説明会、懇親会も兼ねている。


ずらりと並んだメンバーはまず、

地の最高級精霊ティエラと父地界王アマイモンに、

ティエラの母親と(おぼ)しきスタイル抜群な美女。


アールヴ族の国イエーラの長、ソウェルたるヒルデガルド・エテラヴオリと、

祖父イェレミアス。


アクィラ王国フォルミーカ在住宿屋山猫亭の娘ブレンダ・ビルトと母ダニエラ。

ダニエラはリアルな夢の世界を目の当たりにして、大いに驚いていた。


そしてソヴァール王国キャナール村在住の冒険者兼カフェ経営者のミリアン・バザンと、やはり夢の世界に驚き、びっくりしている双子の弟カミーユ、父モーリスである。


久々に顔を合わせるモーリス、カミーユと話をしたいのは山々であったが……

今回の話の趣旨からして先にあいさつをすべき相手が居た。


そう!

リオネルが初対面であるティエラの母である。


ティエラとともに、アマイモンが連れているティエラの母と思しき美女は、

身長は170㎝弱くらいで、肩まで伸びた栗色の髪がさらっさらっ。


切れ長で、美しいとび色の瞳。

健康的な褐色肌をしたスタイル抜群なボンキュッボン、


出で立ちは愛娘同様、複雑な刺繍(ししゅう)が施された茶色の革鎧。


いくつだと思うか? と、もしも聞かれたら、『年齢不詳』と言われませんか? としか言えない。


ぱっと見は、『大人バージョン、20代前半ティエラ』の10年後!という趣きの、

彫りが深いエキゾチックかつ、端麗な顔立ちである。


誇らしげなアマイモンがにやりと笑う。


『おう! こんばんわ、だな! 婿殿! 紹介するぜ! こいつが俺の自慢の嫁さんで、テイーの母親ストレィティだ!』


美女はやはりティエラの母で、更に只者ではなかった! 

リオネルが初対面であるティエラの母ストレィティは、

この世界では人々から豊饒の女神として称えられる、

とても信仰の深い地母神なのだ。


柔らかく微笑んだリオネルは深く一礼。

姿勢を戻すと声を張り上げる。


『こんばんわ! 初めまして、ストレィティ様! 自分がリオネル・ロートレックです!』


『ふふ、礼儀正しいわね! こんばんわ! 初めまして、婿殿! いつも娘のティーがお世話になっているわ』


『いえいえ、こちらこそです! ティエラ様、いえ! ティーの導きで自分はここまで成長し、更に遥かなる高みへ行けそうです』


『うふふ、本当に慎み深く、前向きかつ勤勉なのね。ティーがべたぼれするのも当然だわ』


『ですか』


『でも、ようやく会えたわね! 今、亭主から紹介があった通り、私がティーの母ストレィティよ! 亭主同様、私も忙しくバタバタしててさ。ミネルヴァからはひどく怒られちゃったわ。早く娘の婿へ会いに行けって!』


『成る程』


『ええ、まあこれまでの事はティーからいろいろと聞いているし、フォルミーカ迷宮での亭主とのやりとりも異界から水晶球で見ていたから、婿殿に関しての知識は一応あるわよ』


『ですか。ストレィティ様がご存じの通り、自分は至らない未熟者ですが、ご指導ご鞭撻のほど、何卒宜しくお願い致します』


『うふふ、こちらこそ!』


というやりとりの後……

リオネルは少し緊張気味なモーリスとカミーユへ声をかける。


『こんばんわ、モーリスさん、お久しぶりです。カミーユ、元気そうだな』


変わらないリオネルのフレンドリーさに、緊張が解けたのか、

ふたりは声を張り上げ、応える。


『おお、リオ君! こんばんわ! 本当に久しぶりだ! アクィラ王国ドラゴン討伐の噂を耳にし、ミリアンからも話を聞いたが……別れてから1年足らずで凄く成長したらしいな! レベルが52でランクがレジェンドと呼ばれるSとはとんでもないぞ!』


『わお! リオさん、こんばんわっす! ご無沙汰しているっす! リオさんなら、もっともっと強くなると思っていたっすけど、想像以上っす! 俺の想像力が現実へ追いつかないっす!』


久々にリオネルと会ったふたりは、まだまだ話したそうであったが……


『申し訳ありませんが、いろいろと段取りがありまして、また後で』 


と旧交を温めた後……初めて会ったストレィティも含め、

この場の全員を知るリオネルが、各自を紹介して行く。


紹介で全員がお互いを認識した後、

アマイモンとストレィティを改めて目の当たりにし、

やはり驚いているダニエラとモーリス、カミーユへ

ティエラが今回の結婚の経緯、そして、自分を含めた4人の妻が了承した、

一夫多妻となる5人の結婚生活、死後のケア等も話して行く。


ここで妻達へリオネルとの結婚の意思確認が行われる。


当然ながら、ティエラ、ヒルデガルド、ブレンダ、ミリアンの意思は揺るがず。

4人の妻、各自の口からは、

「絶対にリオネルと結婚したい!」ときっぱり告げられた。


更に質疑応答が行われ、メインで答えるのはリオネルとティエラ、

そして今後、結婚生活を送るイエーラの説明をするのは、

国の(あるじ)たるソウェル、ヒルデガルドだ。


以上の話の中には勿論、答えられない内容も多々あり、

その際は特に厳秘という約束の上、脚色が加えられつつ、言葉が戻された。


念の為という事で、リオネルとティエラは、質問の答えも含め、

今夜の『結婚報告会』実行自体が厳秘だと家族全員へ度々念を押した。


更に更に質疑応答後は、フリータイム。

リオネルや妻達のこまめなフォローもあり、

各家族の各自が好きな相手に対し、失礼のないレベルでやりとりをし、

家族間のコミュニケーションを取ったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


それぞれがとても離れた場所に居ても、

こうやって瞬時に会い、自由に気持ち良く話す事が可能な、究極の夢魔法。


夢魔法は、人間へ害為す怖ろしい夢魔が行使する魔法として有名だが、

ティエラの言う通り、使い方によってはとんでもなく有用なのだ。


事実、生まれて初めて会う者達が、確実に心の距離を縮めていた。


地の属性を持つモーリスは、アマイモン、ストレィティと真剣な表情で話し込み……

一方、イェレミアス、ヒルデガルドは、

イエーラに興味津々なダニエラ、ブレンダと双方、笑顔で大盛り上がり。


そんなこんなで、リオネルを中心に家族という新たな絆が生まれつつあった。


まもなく夜が明け、目が覚める時間。


『結婚報告会』も終盤に差し掛かり、種族年齢の差を超え、

皆、完全に打ち解けている。


この状況は、大成功!!! と言っても過言ではないだろう。


そんな中、超が付く上機嫌のカミーユが話しかける。

何せ、今日の女子メンバーは美女ぞろい。

邪な心なしで、彼は単純に美女、可愛い女子が大好きなのだ。


にんまりと笑うカミーユ。


『リオさん!』


『おう、何だ、カミーユ、にやにやして』


『何、言ってるんすか!! もうこの幸せ者!!』


『俺が幸せ者? そりゃ確かにそうだけど』


『そうだけどじゃないっす!! 遂に遂に遂に!! 陰キャで非モテのリオさんへも、モテ期がやって来たっすねえ!!』


『お、おう! 俺がモテ期って、そうなのか?』


『そうっすよ! 変わり者の姉さんひとりが好きというだけでは、まぐれかもとか、蓼食う虫も好き好きって事で、俺はリオさんのモテ期到来とは全く認められなかったっす!』


『成る程』


『でも超ゴージャスなティエラ様! 超清楚なヒルデガルド様! アクィラ王国正統派超ビューティーのブレンダさん、姉さんのレベルを遥かに超えるスーパー美女3人に、べた惚れされたら、これはもう間違いなく本物! 超が付くモテ期の爆誕確定っす!』


そうカミーユが言い放った瞬間!


ごん!


という鈍い音が響いた。


『ぐわ!』


痛さに悲鳴をあげるカミーユ。


可愛いミリアンのげんこつが、手加減をしつつも、カミーユの頭に落とされたのだ。


何せ、ミリアンは破邪聖煌拳(はじゃせいこうけん)の達人。


カミーユも免許皆伝の腕前だが、ミリアンは更にその上を行く。

もし姉弟喧嘩をすればミリアンの連戦連勝であろうから。


そして!

さすがはティエラの夢魔法、痛覚も見事に再現されていた。

まあ、目が覚めたらリセットされるから何という事はないのだが。


さてさて!

腕を組んだミリアンが、手で頭を押さえ、顔をしかめるカミーユをにらみつける。


『ごら! 私のどこが変わり者よ! カミーユ! あんたが認めなくても、リオさんは女子に大人気のスーパー男子なんだから! 私も含め、こうなるのは時間の問題! 必然だったの!』


『わ、分かったっす! ごめんなさいっ! 姉さんの言う通りっすう!』


『うん! 分かれば宜しい! 許してあげる!』


そんなやりとりをする姉弟をリオネルは微笑ましく見守っていた。

温かく懐かしい気持ちでいっぱいになる。

このふたり、そしてモーリスさんとこんな感じで旅をしたのだと。


一緒に見ていたティエラが苦笑し、


『こらこら、口は(わざわい)の元だよ、反省して、カミーユ。ほいっとな!』


無詠唱、神速発動で行使されたのは、ティエラの最も得意とする回復魔法。


昇華した暁には『癒しの地母神』と称えられる事だろう。


『わあお!! い、痛みがすっと消えたっすう!! す、凄いっす!! ありがとうございまっす、ティエラ様あ!!!』


声を張り上げ、おおはしゃぎするカミーユ。


ティエラは柔らかく微笑み、Vサイン。


『どういたしまして! 君は魔法を使えないけど、素質はグッド。良い破邪の力を持っている。頑張って修行してね!』


『うおおお!! ティエラ様から褒められてマジ嬉しいっす!! 了解したっすうう!!』


そんな調子の良いカミーユを見てミリアンも苦笑。


場は、(なご)やかな雰囲気に包まれたのである。

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