第710話「本当にリオネルは良く気付き、良く働く。 そして優しい」
リオネル・ロートレックを巡る女子達が参加する、
秘密めいた夢魔法の会合は無事に終わり……
アクィラ王国の迷宮都市フォルミーカの宿屋『山猫亭』の娘、ブレンダ・ビルトと、
同郷ソヴァール王国の冒険者ミリアン・バザンは、
リオネル・ロートレックと結婚する決意を固めた。
という事で、翌朝……12日間のフォルミーカ迷宮滞在は完了。
この12日間はいろいろあったというか、あり過ぎた。
上記の通り、遂に人生の一大イベントかつ、ターニングポイントである、
リオネルの『結婚』が決定したのだ。
そして、『収穫』も結構なものに。
リオネルは順調に経験値を積み、レベル52までアップ。
従士も著しく増えた。
地界王アマイモンからは、地の精霊たるノーム500体、
妖精コボルト1,000体、巨大ワーム100体を。
火界王パイモンからは、
火の魔人イフリートのブライム、火の女魔人イフリータのルベル、
霊鳥フェニックス10体、火蜥蜴500体、
ファイアドレイク9体を新たな従士として得たのである。
またゴーレムの捕獲にもいそしみ、
結果、岩石製1,200体、鋼鉄製1,200体、青銅製1,200体、
ミスリル製1,200体、銀製1,200体、水晶製1,200体、
計7,200体の超『巨大軍団』に。
更にはガーゴイルを捕獲し、魔獣アスプもテイム。
ガーゴイル300体、アスプはつがい500組、1,000体に増加。
率いる軍団を徹底的に強化した。
またドラゴン各種を倒しまくったので、価値ある死骸もたっぷりストック。
何体か、イェレミアスへ譲ったが、とんでもない量が収納の腕輪へ搬入されていた。
宝箱とその中身、採集した宝石、鉱物、果実なども同様に、
たっぷりストックされている。
イェレミアスも威圧のスキルを始め、シーフ職スキルの隠形、忍び足などなど、
新たなスキルを習得。
リオネル達に協力して貰った宝箱収集もばっちり。
英霊召喚し、ビルドアップしたアリスティドともよしみを通じ、
協力を惜しまないとまで、言われるようになった。
こうして……ふたりが立てた課題はほぼ消化したが、
肝心の迷宮古代都市の秘密解明はほんの一端。
いつの日にか、再訪する事があるだろう。
笑顔のティエラは、伝言を残す。
『アリトン様がくださるケルピー100体は、地上へ戻ったらすぐ、ウンディーネのマイムへ念話で直接、連絡して貰えるかしら。私からマイムへ伝えてあるから、多分、受け渡しの時間と場所が指定される。山猫亭の部屋から直接、指定の場所へ転移魔法で行くと良いわ』
『了解です』
『じゃあ、そろそろ行くよ。私も修行中の身だから、すぐに来れない場合もあるけど、折り合いが付けば、必ず駆けつける。だから、いつでも念話で呼びかけてね』
『了解です、ティー。心強いですよ』
『うふふ、しばしの別れね。また今夜、夢の中で会おう、リオ、愛しているよ』
という会話をリオネルと交わし、手を振って、ぱっとジャンプ。
くるりと一回転して消えれば、アリスティドは、
『リオネルよ、ティエラ様からお話があった。確かに若かりし頃の我の肖像画は、お前の指摘通り、ソヴァール王国にたくさん残っておるだろう。それで正体がバレれば、わあわあ言う奴も居よう。それゆえ残念だが、次回の召喚から顔つきを完全に変えて来る。名前もアリスティドとは違うものを考えて来るぞ』
『ええ、お手数ですが、何卒宜しくお願い致します』
『うむ、一旦さらばだ。ぜひまた呼んでくれ』
と言い残し、リオネルの帰還指示により、異界へと戻った。
こうして予定通り、ティエラとアリスティドは異界へ。
一方、リオネルとイェレミアスも地上へ帰還すべく出発する。
古代都市の防衛システムを元通りにし、自動人形型ゴーレムを各所へ配置した。
ちなみに昨夜の話は既にイェレミアスへは伝えてある。
夢魔法を体験し、既に概要を聞いていたイェレミアスは全く驚かない。
『成る程。今夜、就寝後の夢魔法で、リオネル様のご伴侶となるティエラ様、ヒルデガルド以外の女性達……ブレンダさん、あとミリアンさんと言いましたかな。おふたりとも会い、将来の家族として、話せるのですな』
『ですね』
『おお、楽しみです。その方々もイエーラの為にご尽力して頂けると』
『です!』
という事で、さてさて!
地上へ帰還するルートはいつもとほぼ同じ。
まず表向きの最下層、地下150階層へストーンサークルを使い転移する。
地下150階層からリオネルが転移魔法を行使し、とんでもなく、超ショートカット! 一気に地下10階層まで転移!
地下10階層からは、身体慣らしも兼ね、徒歩で地上まで行く。
今や雑魚と化した上層階の魔物どもは、リオネルと、
そしてイェレミアスが習得したての威圧スキルで撃退。
そんなこんなで、迷宮出入り口前に到着、リオネルは自分の所属登録証を提示し、
「ただいま、戻って来ました」と、笑顔で告げた。
12日間も迷宮に『こもりっぱなし』なのに、
無傷で疲れさえも全く見せないリオネルとイェレミアス。
ギルド所属の迷宮門番達は、入った時同様、
リオネル達に対し畏怖の気配を発しつつ、全員が直立不動で敬礼したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
迷宮を出て、フォルミーカの地下街を抜け、
途中、ティエラから言われた通りに、ウンディーネのマイムへ念話で連絡を入れ、
『連絡ありがとう! またこちらから連絡するね!』と返されて……
リオネルとイェレミアスは、宿屋『山猫亭』へ戻った。
朝一で古代都市居住区を出発し、転移魔法で思い切りショートカットしたので、
地下10階層から徒歩とはいえ、時間はまだ午前7時過ぎである。
「おはようございます! ただいま、戻りました」
「戻りましたぞ!」
リオネルとイェレミアスが声を張り上げると、
既に市場の仕入れを終え、戻ってたブレンダと母ダニエラが厨房から姿を見せた。
「お、お帰りなさいませっ!! だ、だんなさまっ!!」
顔を真っ赤にし、叫ぶブレンダ。
「うふふ、まだそう呼ぶのは早いわよ、ブレンダ。イェレミアスさんもお帰りなさい、おふたりとも、お疲れ様でした。それとおふたりの宿泊の延長はいかようにも。部屋はず~っとリザーブしておきましたから」
愛娘の気負いまくりに苦笑するダニエラ。
どうやら、母娘で話は通っているようだ。
そんなふたりへ、リオネルとイェレミアスは笑顔。
「朝食の支度、途中ですよね? 手伝いますよ」
「その後で、ともに朝食と致しますかな」
という事で……4人は宿泊客用の朝食をセッティング。
配膳、接客もフォローした。
家族として協力し合う第一歩である。
やがて宿泊客達の朝食が終わり……4人は改めてテーブルを囲んだ。
まだ宿泊客が部屋に居て、詳しい話は出来ないが、最低限の会話を交わす。
「あのリオネルさん、娘からは聞きましたが、……今夜、詳しく話し合うのですよね?」
「はい、そうです、ダニエラさん」
「娘は平気だったみたいですが……私、凄く緊張しそうですわ」
「ははは、大丈夫ですよ。俺を含め、皆でフォローしますから」
「あ、ありがとうございます」
「ちなみに今回、イエーラへは、以前こちらへ来た事のある魔道具店クピディタースのオーナー店主ボトヴィッド・エウレニウスさんも契約し、同行します。ブレンダさんとは全く違う仕事を依頼しますので」
「あ、以前、ウチヘいらした、あの方ですか。娘と一緒にイエーラへ?」
「ええ、その時お伝えした通り、ボトヴィッドさんは、イェレミアスさんのご親友で、イエーラの為に尽力してくださる事となりました」
「な、成る程」
「イェレミアスさんだけではなく、俺もボトヴィッドさんとは、いろいろ話しました。少し気難しいところもありますが、良く話せば分かるし、元冒険者ですが基本的に温厚な方ですよ。何かあれば俺がフォローしますし」
「わ、分かりました」
「ところで、ダニエラさん、山猫亭をお手伝いして頂く、ご親戚の方は?」
「はい、それは大丈夫です。おふたりが迷宮にいらっしゃるうちに話をつけ、明日から入って貰います。以前も手伝って貰ったから、研修も不要ですし」
「成る程。では明日俺とイェレミアスさんもごあいさつしますね」
「ええ、いつもより多く給金が出ると伝えたら、大喜びしていましたよ」
そんなこんなで、朝食は終了。
リオネルとイェレミアスは、ボトヴィッドへ会いに、
ひと休みしてから、魔道具店クピディタースを訪問する事に。
荷造りの進展確認、引っ越しの段取り等を相談するのだ。
ここでリオネルが提案。
「そうだ! ブレンダさんの都合がつくなら、改めてのあいさつを兼ね、一緒に行きますか? どうせ、旅の道中から始まり、イエーラの特別地区で一緒に働く先輩ですから」
「は、はい」
「なので朝食の後片付け、俺もお手伝いします。イェレミアスさんはその間、休んでいてください。終わったら、お声がけしますよ」
本当にリオネルは良く気付き、良く働く。
そして優しい。
山猫亭の手伝いは、何度もやっているから、朝食の片付けにとどまらず、
それ以外の仕事も速攻で終わらせてしまった。
テキパキ働いたリオネルを見て、ダニエラ、ブレンダ母娘は嬉しそうに微笑む。
「さあ! 行きますか! 今、午前10時少し前だから、ちょっと早いかもしれないっすけど、ボトヴィッドさん、毎朝5時には起きていると言っていたから構わないっすよね」
と、リオネルとイェレミアス、そしてブレンダは、3人一緒に出かけたのである。
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