第709話「大賛成!!!」
『よし! じゃあ、まず私の提案についての確認を兼ねた質疑応答。その後に、全員でディスカッション、にしよう。念の為、先に言うけど、答えられない内容もあるからね!』
という事で、『ティエラの提案』についての確認を兼ねた質疑応答が行われる事に。
ここで、リオネルがフォロー。
冒険者稼業、イエーラ政治顧問の経験から、
不明点は5W3Hで、質問すれば分かりやすいと。
念の為、補足しよう。
5W3Hとは、情報伝達や企画に用いる確認事項である。
ちなみに5Wとは「When」「Whrere」「Who」
「What」「Why」の事。
3Hとは「How」「How Many」
「How Much」の事だ。
ティエラは「尤もだ」と頷き、
普段リオネルとそういうやりとりをしているヒルデガルドも同意。
ブレンダとミリアンも納得して微笑んだ。
早速、ブレンダとミリアンから、『結婚生活』に関して、
質問が矢継ぎ早に飛ぶ。
ティエラは、リオネルとヒルデガルドからフォローされつつ、答えて行く。
いつから……イエーラ富国作戦が落ち着いたタイミングで、
ヒルデガルドとの婚約発表以降からスタート、
女子達の希望、都合に出来る限り合わせる。
どこで……冒険者リオネル・ロートレックとその家族は、
基本的にイエーラの都フェフ、及び特別地区で暮らす。
里帰りは事前の相談ありきで、当然OK。
ティエラは現世と異界を行き来する。
婚約、結婚前よりイエーラ居住希望の場合は、最大限考慮する。
誰が、誰と……4人の女子達、地の精霊ティエラ、
アールヴ族ソウェル、ヒルデガルド・エテラヴオリ、
アクィラ王国民ブレンダ・ビルト、
ソヴァール王国民ミリアン・バザンがリオネルの妻となり、全員は家族となる。
何を、どのように……リオネルはイエーラの政治顧問として、
イエーラ富国作戦を引き続き遂行。
ソウェル、ヒルデガルドの夫として、彼女をフォローする。
正妻のティエラは、家族を総合的にフォローし、
妻となった女子達は自身のスキル、持ち味を活かし、
富国作戦に付随する仕事をする。
ブレンダはとりあえず特別地区のホテルに指導役として勤務。
ミリアンに関してはこれから相談する。
仕事絡みでは、ヒルデガルドの配下のアールヴ族達、イエーラ国民、
アクィラ王国の商人達とやりとりをする。
また必要に応じ、それ以外の関係者ともやりとりをする。
そして他にやりたい仕事が見つかれば、随時相談する。
なぜ……ヒルデガルドのソウェルとしての仕事を家族皆でフォローし、
イエーラ富国作戦を遂行する為。
どれくらい……イエーラ富国作戦の年度目標数値をたて、達成したら、
改めてどうするのか考える。
いくら……リオネル以下の報酬は基本的にイエーラから支払われる。
これらの話の後、ブレンダが挙手。
『では、ティエラ様。私は既にイエーラでの仕事が決まっていますけれど、結婚後も基本的にはイエーラに居住する事になるのですね』
『ええ、そうよ、ブレンダ。さっきも言ったけれど、私ティエラだけは、異界と現世を行ったり来たりするけれど、ヒルデガルドを含め貴女達3人は現世に留まり、イエーラで暮らす事となる』
『な、成る程』
『ブレンダは仕事絡みで勿論、ミリアンは移住後にだけど、まずアクィラ王国の国境沿いにある特別地区で一定期間、暮らして貰う。アールヴ族との生活に慣れたら、更にいろいろ調整を要するかもしれないけれど、いずれ都フェフの官邸でも暮らして貰う。現在イエーラは鎖国をしていて人間族の出入りは禁止だけど、リオの妻ならばという事で特例として居住が許可されると思うわ』
『そ、そうですか。私は母ひとり子ひとりで、フォルミーカでふたり暮らしなのですが、母がもしも、自分も娘が暮らすイエーラへ移住したい、私達と暮らしたいと希望したら、どうなるのでしょう?』
『それはおいおい、相談ね。しばらくブレンダには公社の幹部職員として、ホテルの指導役となり、仕事にまい進して貰う。そしてね、リオ、ヒルデガルドとは話したけれど、いずれ、貴女にはホテルの経営者になって欲しいわ』
『わ、私が!!?? ホ、ホテルの経営者に、ですか!!?? わ、わ、分かりました!! こ、光栄ですっ!!』
ここでミリアンが挙手。
『ティエラ様!』
『なあに? ミリアン』
『ブレンダさんが特別地区にあるホテルの指導役を、そして、ゆくゆくは経営者を務めるという事ですが、私の仕事はどうなるのでしょう?』
『さっきも言ったけど、それもおいおい相談ね。例えばだけど、貴女はキャナール村でカフェを営んでいるでしょ?』
『は、はい! 小さくて地味なお店ですけど……』
『でしょ? だからさ! リオ、ヒルデガルドとも相談したんだけれど、移住する特別地区において、ミリアンにもブレンダ同様、公社の幹部職員という立ち位置で、カフェを1軒、任せても良いと思ってる』
『な、成る程! カフェの店長ですか? そ、それなら、やれます! いえ! ぜひやらせてくださいっ!!』
『うふふ、まずは店長として、店舗設計、メニュー考案、運営は勿論、従業員となるアールヴ族の指導、管理監督も行って貰うわ』
『は、はい!』
『不安かもしれないけど、私、リオ、ヒルデガルドもフォローするから安心して! 頑張ったらブレンダ同様、経営者にもなれるよ。それにもし希望があれば、ブレンダが居るホテル内のカフェレストランでもOKだし』
『け、経営者に!!?? そ、それも!!?? ホ、ホテルのカフェレストランですかあっ!! りょ、了解ですっ!! とてもやる気が出てきましたあっ!!』
『但し! 念の為、言っておくけど、経営者となる為には、適性と努力、そして結果ありき。ふたりとも、家族だからといって、必要以上に特別扱いはしない。ビシバシ厳しく行くからね。頑張って働いて、しっかりと結果を出して!』
『『はいっ!!』』
そんなこんなで……質疑応答を繰り返すうちに、ブレンダとミリアンは、
この場にすっかり馴染んでいたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
『質疑応答の後に、全員でディスカッション、にしよう』
と、ティエラが言った通り……
なんやかんや、やりとりして、すっかり打ち解けた女子4人は、
もう遠慮なく、話していた。
まるで気心の知れた姉妹、または先輩後輩同士のように。
『答えられない内容もあるからね!』という前振りの通り、
神様関係や精霊界の様子、詳しい事情などはさすがにノーコメントであったが、
それ以外は許せる限り、ティエラ、ヒルデガルドが話したのである。
但し、この場で話した事は、要事前確認の上、
しかるべき時に特別な相手へしか伝えない。
つまり内容の厳秘徹底、『口止め』の指示が出されたのは言うまでもなかった。
ちなみに、これから移住するブレンダ、ミリアンが特に気になる部分は、
新天地イエーラにおける普段の生活の様子、これから担う仕事の内容、
そして休日の過ごし方などなど。
彼女達はイエーラの事をほとんど知らないので、新たな生活を送る地に興味津々。
何故なら、イエーラは古代から、ず~っと鎖国を継続中。
それゆえシャットアウトされた外界からは、
『異民族アールヴが暮らす神秘のベールに包まれた不可思議な国』
という未知のイメージがあったからだ。
それゆえ、根掘り葉掘り、そして丁寧に尋ねるブレンダとミリアン。
結果、ふたりは人生をともにする仲間について、結婚生活について、
未知の国イエーラについて、充分な認識と知識を得た。
果たして……
自分は死後、昇華して英霊となり、家族皆で一緒に居られるのか?など、
全く心配、不安な点はない!と言い切れないが、
これから行く道が明るく照らされたのは確かである。
夫となるリオネルについても、日数の差、生活形態の差はあれど、
生活をともにしており、こちらの方は全く不安がない。
それ以上にリオネルに対しては、心の底から惚れ込んでいるとともに、
ふたりとも全幅の信頼を置いているのだ。
笑顔のティエラが言う。
『さあて! ブレンダにミリアン。ふたりとも考えは、まとまったかしら? 気持ちは、固まったかしら? ここで今すぐに返事をくれとは言わないけれど、次に尋ねるまでにファイナルアンサーを決めておいて頂戴』
そんなティエラの話を聞き、『はい!』とブレンダが挙手。
『ティエラ様、リオネルさん、ヒルデガルドさん、既に私の考えはまとまり、気持ちは固まりました。リオネルさんとの結婚を凄く前向きに考えたいと思います。起床したらすぐ、母ダニエラへこの状況を伝え、結婚の報告は勿論、母自身のイエーラへの移住等も含め、意思確認をしたいと思います。そのお時間を頂く事は出来ますか?』
『ええ、全然構わないわ。但し、さっきも言ったように、この件はお母様以外に伝わらないようにしてね』
『ティーに同意、ですね。先日、話をしてから状況が変わったので、俺からも直接、ダニエラさんへ伝えようかとは思っていました』
『はい、私も、おじい様を交え、ブレンダさんのお母様とお話してみたいですわ』
と、ティエラ、リオネル、ヒルデガルドの3人は答えた。
そんなやりとりを見て聞いて、今度はミリアンが『はい!』と挙手をする。
『ティエラ様、リオさん、ヒルデガルドさん、私もブレンダさんと同じく、リオさんとの結婚を凄く前向きに考えたい。そして起きたらすぐ、孤児の私を引き取ってくれた父モーリス、ふたりきりで助け合いながら生きて来た双子の弟カミーユへ事前に報告をしたいと思います。そのお時間を頂けますでしょうか?』
『ええ、当然、構わないわ。ブレンダと同じく、そのふたり以外には伝わらないよう注意し、口止めもしっかりしてね』
『やはりティーに同意、だね。俺からも師匠とカミーユへ直接、伝えようかとは思っていたよ』
『はい、ブレンダさんのお母様同様、おじい様を交え、ミリアンさんのご家族様ともお話ししてみたいですわ』
ここでリオネルが『はい!』と挙手。
『ひとつ提案です。幸い、各自が起床後すぐ身内への連絡が可能なようですし、どうせなら、明日の晩も夢魔法で、このように行いませんか? 家族となる全員を集めてコミュニケーションを取りましょう』
一瞬の間があったが……
『大賛成!!!』
と納得して文句なしの全員一致。
リオネルとイェレミアスが地上へ帰還する日の晩に、ティエラが再び夢魔法を行使、
家族全員を集め、結婚報告会をする事と決まったのである。
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