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第707話「ああ、ここは夢の中なんだよ」

翌日、新規参入の炎の魔人兄妹ブライム、ルベルを、

既存従士のファイアドレイク、フロストドレイク、ジズへ面どおし。

互いを『紹介』し合った。


ヒルデガルドの護衛、話し相手として残したケルベロス、オルトロスの魔獣兄弟、

妖精ピクシーのジャンは、イエーラへ戻ってから面どおしするつもりだ。


さてさて!

アマイモンとパイモンが見守る中、リオネルとティエラは、

121階層から149階層にて、ドラゴンや巨人族と仕上げのバトルを行った。


リオネルの差配で、従士各自をシーフ役、戦闘役、回復役、後方支援役に設定。

役割分担し、思う存分、戦ったのである。


当然ながら、連戦連勝。

100回戦ったが、全て圧勝の無敵無双状態であった。


全ての魔物と戦ったわけではないが、ドラゴン、巨人族との戦闘訓練を簡単にクリアすれば、『地上で最強クラス』を名乗る資格はあるだろうから。


ちなみにその時倒したドラゴンの死骸も回収したのは言うまでもない。


結局、午後早めにバトルは終了したので、残りの時間は採集に費やす事に。


リオネル達の『護衛』の下、呼び出したノーム、コボルトが地下庭園の資材を回収。

その働きは見事のひと言。

時間の関係と構造上、深い地層の採掘は難しいが、

浅い地層に眠る宝石や鉱石を数多ゲット。

またさまざまな種類の果実、薬草などもたっぷりと採取した。

そして全ての収穫物は、リオネルの収納の腕輪へ搬入されたのである。


そんなこんなで、設定していた課題とノルマをクリアしたので、

リオネルとイェレミアスの今回の『探索』は終了。


『お父様、私は用があるから、もう少しリオと居ますね。じゃあ、パイモン様、ここで失礼致します』


と言い、あいさつするティエラを残し……

アマイモンとパイモンは、修行をつけ、従士を与え、食事をともにし、

リオネルと懇意になった今回の訪問に大満足し、それぞれの異界へ帰って行った。

今後、また何かあれば快く尽力してくれるに違いない。


それから……リオネル達は数日間、

フォルミーカ迷宮古代都市居住区にある『自宅』で過ごした。


全員で、威圧やシーフ職スキル等々の訓練をしたり……

ティエラ、アリスティドを交えて、イェレミアスと、

アールヴ族が犬猿の仲であるドヴェルグ族との交渉方法も相談した。


だが、過ごした時間のほとんどを古代都市のメンテナンスと研究に費やした。


そもそも、当初から古代都市のケアをするとイェレミアスとは約束しており、

メンテナンス作業をしながら、その秘密を探りつつ、学んだのである。


かといって、古代都市の秘密は種類は多岐にわたり、学ぶ量も膨大。

前回もそうだったが、到底数日で学びきれるものではなく、

今回は都市の建築技術の研究習得と、

自動人形(オートマタ)型ゴーレムの秘密解明に集中した。


何故なら、都市の建築技術は、

新たに造るイエーラの建築物や改修工事に即応用可能だし、

自動人形型ゴーレムも、以前アートスのメンテナンスを行った際、

その基本構造は学んでおり、習得しやすかったからだ。


そろそろ気になる方も居るやもしれない。

ティエラが言った「用がある」という言葉の意味は何かと。


そう! もしやと思い当たる方も居るだろう。

ティエラは、リオネルとの愛をもっともっと深めたいのは勿論だが、

ひたすらリオネルを慕い、愛するふたりの人間族女子へ、

今回の経緯と事情を話す必要があると考えていたのだ。


ブレンダへは一応、ヒルデガルドの話はしている。

彼女はヒルデガルドが居ても、自分の恋を諦めずに全力を尽くすと言った。

その後のティエラの提案をリオネル、ヒルデガルドが受け入れた事を聞いても、

比較的冷静に受け止めるはず。


だがワレバッドで別れてから、多忙な事もあって、

リオネルはミリアンへ、何も話せていない。


ワレバッドやアクィラ王国のドラゴン討伐で、

リオネルがヒルデガルドと仲睦まじく接していた事は噂で伝わっているだろう。


普通に考えれば、リオネルとヒルデガルドが『深い仲』だと思うに違いない。


それゆえ、5年後の再会の約束もあり、

「現在の状況をしっかりと話をする必要がある」

と、リオネルは考えていたのである。


そんなリオネルの気持ちを理解していて、

ミリアンを異界から見守っているティエラによれば……


イエーラのソウェルたるヒルデガルドの登場には、

ミリアンは、だいぶショックを受けていたらしい。


もしや、お互いに想い人となり、

リオネルとヒルデガルドは結婚をした、のではないだろうかと。


しかし、リオネルやヒルデガルドが、結婚はしていない、

「互いに好意は持っているが恋人ではない」と否定した話も、

ミリアンへは伝わっており……


であれば!

ミリアンは健気にも、

「何があってもリオネルを信じ、約束した『5年後の再会』まで、

自分の気持ちに決着をつけるべく、待っている」という。


「リオネルがもしヒルデガルドとの結婚を決めたなら、

自分へは必ず連絡してくれると信じている」とも。


という事で時間は過ぎ……

いよいよ明日は迷宮を撤収し、地上へ帰還する日。


ティエラはリオネルへ『ある提案』をした。


『ねえリオ、明日は地上へ戻るでしょ? 申し訳ないけど、用事があるから、私は一旦、異界へ戻るわ』


『了解です。またお呼びしますので、その時は宜しくお願いします。ちなみにアリスティド様にも一旦異界へ戻って頂こうと思います。』


『了解! ああ、そうそう、アリスティドへは次回現世に現れる際は、姿を変えておくよう言っておくよ。リオが再び地上で召喚した時、あれ? まさかこの英霊はアリスティド様じゃね? って、気づく人が居るかもしれないから』


『ですね。若き頃のアリスティド様の肖像画はカリスマどころか、神格化されて結構、あちこちに残っていますし』


『だよね! 幸い、この迷宮では他の冒険者に出会わなかったから、問題ナッシングだったけど』


『はい、じゃあ、お手数ですが、それもお願いします、ティー』


『うふふ、了解! でさ、話は変わるけど、そろそろ頃合いだと思うから、先日ヒルデガルドへ話したように、私の夢魔法で5人一緒に全員で話してみない? 情報を全員で共有して、その上で、ブレンダとミリアンには決断して貰おうよ』


『成る程。夢魔法で5人一緒に全員で話すのですか? それは助かります。いろいろお気遣いして頂きありがとうございます』


『いいええ、どういたしまして! でもさ、リオと私が話をしてから、ミリアンとブレンダは、その場で結論が出ないかもしれない。リオが言った通り、結婚は人生のターニングポイントだから』


『まあ、自分で判断し切れず、親しい誰かに結婚の相談をするのはあるかもしれません』


『ええ、でもね。結婚の相談をするのは構わないけれど、今は口外しないで内緒にして欲しい部分もあるじゃない? 私の存在とか、正体とか、フォローとか、死後の話とか、さ』


『ですね』


『ヒルデガルドを含め、3人には、ここは秘密だと、しっかり聞かせなきゃいけないし、そんな話を他者には聞かれたくない。だから夢魔法なのよ』


『成る程ですね』


『ブレンダとミリアンが考える時間も必要だろうし、話をするのは出来るだけ早い方が良いわよね』


『同意です』


『それじゃあ、善は急げって事で、今夜、夢魔法の会合を実施するわ。それからまたリオと相談しよう』


『了解です、何卒宜しくお願い致します』


という事で、今夜はリオネルを巡る女子達が一堂に会する事となったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


先日と全く同じである。


就寝後、気が付けば……広大で緑いっぱいな草原に、

リオネルは立っていたのだ。


草原には広葉樹の森がいくつか点在しており……

目の前の森の木々には、色鮮やかな果実がたくさん実っていて、

土地がとても豊かである事を示している。


しかし、先日と違う事がひとつあった。

就寝の際、添い寝し……本来の姿になった大人のティエラが、

最初から傍らに立っていたのだ。


『さあ! まずはヒルデガルドを呼ぶわね! ヒルデガルド! いらっしゃい!』


ティエラが声を張り上げると、不可思議に空間が割れ、

就寝中のヒルデガルドが現れる。


ヒルデガルドはリオネルに寄り添う褐色肌の美女、大人のティエラにびっくり。

初対面、だと思ったらしい。


『え!? あ、貴女様は!? ど、どなたでしょうか!?』


『うふふ、ヒルデガルドったら、何言ってるの、私よ、ティエラよ』


『えええ!!?? ティ、ティエラ様ああ!!??』


『いえ~す』


『で、でも!!?? そ、そのお姿は!!??』


『うん! 今までの少女仕様は擬態、これが本来の姿なの、大人バージョンって事!』


『そ、そうなんですか!?』


というやりとりはあったが……先日の夢魔法でのやりとりがあったから、

すぐに打ち解け、話は盛り上がった。


続いて、ティエラは同じく就寝中のブレンダを呼ぶ。


『ええええ!!?? こ、これはっ!!??』


初めて体験する夢魔法にひどく戸惑うブレンダではあったが……


『あ!!! リ、リオネルさんっっ!!!』


リオネルが居るのを見て、大喜び。


喜ぶブレンダへ、リオネルが、ティエラ、ヒルデガルドを紹介すると、

人間族ではないティエラ、初対面のアールヴ族ヒルデガルドに、

これまた大いに戸惑いながらも、少しづつ納得し、状況を理解して行った。


『は、初めまして、ティエラ様、ブレンダ・ビルトでございます。ま、まさか、せ、精霊様とお話しするなんて生まれて初めてですので、す、凄く緊張しています! そ、そして初めまして! お話は、リオネルさんから聞いています。あ、貴女がアールヴ族のソウェル、ヒルデガルド様ですね?』


『ええ、初めまして! 私がアールヴ族のソウェル、ヒルデガルド・エテラヴオリですわ。貴女がブレンダさんですね』


『は、はい! ブレンダ・ビルトでございます! な、何卒宜しくお願い致します!』


『こ、こちらこそ!』


更に「これから大事な話がある」と、リオネルが告げると、ブレンダは神妙に頷く。


そして、そして、ティエラはこれまた同じく就寝中のミリアンを呼んだ。


『え!? ここはどこ!? 私はキャナール村の家で眠っていたはずじゃあ!?』


割れた空間から現れたミリアン……


16歳になり、少し大人っぽくなったと、リオネルは思う。


ミリアンは視線の先に、女子3人に囲まれたリオネルを認め、はっと、息を呑む。


そして、驚きながらも、声を絞り出す。


『えええ!!?? リ、リオさん!!??』


『ああ、そうだ。久しぶりだな、ミリアン』


『リオさんが!!?? ど、どうして!!??』


『ああ、ここは夢の中なんだよ』


『ゆ、夢の中で……リ、リオさんが……な、何故、女の人達に囲まれてるの!!?? そ、そのアールヴ族の人が、ヒ、ヒルデガルドさん!!??』


『ええっと、それはな……』


リオネルが説明しようと、言いかけた時である。


『リオさ~んっっ!!! あ、会いたかったあああ!!!』


ミリアンは絶叫に近い大声を上げると、脱兎の如く猛ダッシュ!


他の女子達が居るのも構わず、がっし!!と、リオネルに抱きついていたのである。

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