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第702話「でもさ! リオには、可愛くて素敵な女子達との邂逅がまだまだあるかもよ!」

「はっ!?」


念話ではなく、思わず肉声を発し、はねおきたリオネルだったが……

気が付けば、ちゃんと寝間着を着て、ベッドの上に居た。


『おっは! リオ、昨夜はぐっすりだったね。私もぐっすり眠ったよ』


先に起床したらしく、明るい笑顔のティエラが、

向かいの長椅子(ソファー)に座っていた。

彼女も寝間着姿である。


『お、おはようございます! ティー! あの、ええっと……』


リオネルは記憶をたぐった。


確か、ティエラと一緒に、当然ながら、ふたりとも一糸まとわぬ姿で風呂に入り、

彼女の裸身から目をそむけたり、まともに正視出来ず、

とんでもなく、とんでもなく恥ずかしかったが……

何とか『洗いっこ』したまでは(おぼ)えている。


そこから記憶が曖昧(あいまい)であった。

ふたりで仲良く、風呂を出たような気がするが……


思い悩むリオネルへ、ティエラは柔らかく微笑みかける。


『うふふ、ドラゴンも巨人族も全く苦にしない、無敵の荒くれぼっちにも、こんな弱点があったのね』


『ええっと……あの、俺、途中から記憶がはっきりしていなくて、ティーに何かご迷惑をかけたなら、申し訳ありません』


『うふふ、謝罪なんか不要だし、そんな他人行儀な言い方をしないの。私達は夫婦になるんだし、全然ノープロブレムよ!』


『ですか……』 


『敬語も相変わらず使っているし、でも、ま、良いか。おいおい普通に話せれば。で、昨夜の状況を言うとね、ふたりでお風呂へ入り、まず私がリオの身体を見て洗い、次にリオが私の裸を見て洗ったんだけど』


『で、ですよね……』


『うん! だけどリオは勇気を出し過ぎて、その反動で、すっごくガッチガチに緊張していた。全然、いつもの冷静沈着なリオじゃなかったよ』


『はあああ……』


『もう! ためいきつかないの。そんなに気に病む事はないわ』


『ですが……』


『続きを話すね』


『は、はい!』


『お風呂から出て、身体を拭いて、ベッドまで一緒に行って、私が寝間着を着せてあげたら、疲れていたのか、バタンキューだった。その後は甘えるように私の胸へ顔を(うず)め、ぐっすりと寝ていたよ』


『うお! 眠くなってそのまま眠ってしまったんですか! 何だかなあ……情けないっす』


『うふふ、全然、情けなくないわ。たまには甘えん坊バージョンも良いんじゃない! 私の胸の中で、気持ち良さそうに眠るリオはすっごく可愛かったわよ』


『はあ……』


『という事で! 惜しくも! 私とリオは、結ばれるまでは行かなかった!』


『じゃ、じゃあ! さ、最後までは行かなかったと?』


『ええ、その通り! 残念ながらね。けど、安心して!』


『安心……ですか?』


『ええ! 焦る事はないわ。私とリオは、互いにちゃんと「洗いっこ」出来て、とても良いスキンシップとなった。心と心の距離が縮まり、ふたりの仲はぐっと深まった』


『な、成る程!』


『そしてふたりきりで、ぴったりくっついて、仲良く、ぐっすり眠れたんだもの』


『ですか』


『うん! ハグから始まって、たった1日でここまで仲を深めたのよ! 恋愛道のプロセス的には、間違いなく一歩、いえ、二歩、三歩と、確実にかつ、大きく大きく前進したわ!』


『じゃあ、結構な成功って事ですね。俺は眠ってしまったけど、終わり良ければすべて良しって事ですか』


『うふふ、だね! まだまだ先は長いけど、現時点では、大成功って言い切れるわ!』


このような場合、情けない! 意気地なし! 軟弱者! 

と責められる場合もあるが、ティエラは全く真逆。

前向きに優しくリオネルを励ましてくれた。


そんなティエラがリオネルは大好きだ。


更にティエラが言う。


『でも、私とリオが最後まで……つまり男女の最終関係を結ぶのは、ブレンダとミリアンへ、ちゃんと話をしてからが良いかもね』


『ティ、ティーと!? だ、男女の!? さ、最終関係ですか!? そ、そうかもしれないですね』


『ええ、一応のけじめをつけるって事』


『い、一応のけじめ、ですか!?』


『うん! ヒルデガルドへは話を通したけれども、後のふたりにも、ちゃんと話を通し、返事を貰ってから、最終関係へ進みましょ。それまでは昨夜ぐらいのスキンシップで恋愛経験値を積もうね』


『わ、分かりました』


という事で、今回はめでたしめでたし。


さてさて!

リオネルとティエラは、身支度を整え、革鎧姿となる。

着替えて、また今日も迷宮の一日が始まるのだ。


ちなみに、ティエラはリオネルのすぐそば、それも正面で着替え、

やはり裸身はまぶしかった。


ティエラの裸身を見たリオネルは多少どきどきしたが、

昨夜のように、目をそむけたり、うろたえる事はなかった。


昨日聞いたティエラの言葉が(よみがえ)る。


『ええ。女子と向き合った時、男子は優しく穏やかなのは勿論だけど、堂々としていて、余裕のある態度が望ましいもの』


『普段のリオの立ち居振る舞いを考えれば、恋愛に関しても基本的に問題はないわ。でもね、真剣にガチ恋愛するんだったら、リオはもっともっと女子慣れした方が良いと思う』


『うん、女子とふたりきり、甘い雰囲気のシチュエーションで、男子はいかに堂々として、余裕のある態度をとれるか、って事ね』


大好きな女子と一緒、ふたりきりで、堂々として、余裕のある態度を取れるか。


優しくは出来たかもしれない……

でも、昨夜は取り乱したり、緊張しすぎて余裕のある態度を取れなかった。


しかし今は、ティエラの裸身を見ても、うろたえたりせず、どきどきするくらいだ。


ティエラの言う通り、ふたりの恋愛スキルは着実に前進していると感じる。


ナタリーへの初恋が失恋に終わった事をふと思い出したリオネル。


これまで学び、習得した知識、魔法、スキル、剣技、格闘技もろもろと一緒。


恋愛も、そして多分結婚生活も、試行錯誤しながら、

トライアルアンドエラーで行くんだなあと、改めて実感したのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


転移魔法でぱっ!と移動しても良いのだが……


リオネルが提案し、ふたりは集合場所である、

イェレミアスの家まで徒歩で行く事にした。


道すがら、ティエラと話したい事がリオネルにはあったからだ。


スキンシップの一環として、手をつなぎ、並んで歩きながら、リオネルは言う。

ふたりの会話はやはりというか、お約束の念話である。


『ティー』


『うふふ、なあに、リオ』


『ティーと、そして、それ以前の女子達とのやりとりで、俺、感じた事があります』


『へえ、それはなあに?』


『空気を読むって言葉があるじゃないですか? 魔法使い的には相手の心の波動を感じ、即した行動をとるって事ですが』


『そうね』


『女子が、想う相手との心の距離を縮めたい。そう望む時があると思うんです。そのタイミングをジャストで察知し、男子が適切な方法で対応するのが、恋愛を上手く運ぶ基本ではないかなと思いました』


『うふふ、その通りだよ、リオ。女子もそういう男子の気持ちを察して、対応するのがベストだと、私も思う』


『ですか! まあ、心ってデリケートですから、いくら相手の気持ちを察しても、いきなり無遠慮に踏み込むのは禁物ですし、慎重さは求められますが、そうは言っても、とっさの決断力がないと、訪れた幸運は逃してしまいます。そのさじ加減が難しいと思いました』


『まあね。どのような方法でアプローチするかも重要だし。リオは上級レベルの念話を習得しているから、よほどの相手ではない限り、サトリの能力で相手の心を読めるでしょ?』


『はい』


『そこに落とし穴があるわ。サトリを使い、相手が望む対応をする際、全てを万全にやり過ぎても、(かえ)って引かれてしまうものなのよ』


『やり過ぎても却って引かれてしまう、ですか。それ、分かるような気がします』


『ええ、何でもかんでも、打てば響くように即座のジャストフィットだと、相手は逆に不安になってしまう』


『かもしれませんね』


『ええ、そうなったら、全くの逆効果。サトリを使うのは禁じ手かつ悪手。過ぎたるは及ばざるが如しって言うでしょ』


『ですね!』


『時にはがつん! とはっきり行くのもありだけど、時には、さりげなくっていうのもあり! ようはタイミングと力加減を考えて、バランス良くって事』


『成る程! こういった事って、恋愛だけではなく、結婚生活にも。また人間族で言えば人間関係。つまり、いろいろな相手との兼ね合い、折り合いにも通じる事ですよね』


『うふふ、リオの言う通りよ。で、今のリオならば大抵の相手とは、バランス良く、上手くやっていける。後はガチの恋愛をするならば、女子慣れすれば完璧って事』


『で、俺へ昨日の恋愛レッスンをしてくれたって事ですね。大いに納得しました』


『宜しい! 大いに納得したならば、恋愛道だって、他の事と同様、不満なく臨み、一生懸命、努力出来るよね』


『です、です!』


そんな会話を交わしていたら、イェレミアスの家へ到着した。


人間に近い、アートスと同じ、自動人形(オートマタ)タイプのゴーレム達が、

ふたりを迎えた。


敵として認識していないので、極めて友好的である。


彼ら彼女達は、イェレミアス宅の護衛、使用人を担っているのだ。


『先日、イェレミアスさんとこの迷宮の防衛システムの事を話しましたが、自動人形(オートマタ)タイプのゴーレムに関しても、迷宮の機体を修復するのではなく、俺が新たにプロトタイプを造りたいと思っています』


『うふふ、そうね。迷宮のゴーレムや宝物アイテムくらいなら良いけれど、この古代都市遺跡の遺物はイェレミアスがボトヴィッドへ譲ったアートス以外、外界へは持ち出さない方が良いと思う。同じタイプのゴーレムでも、リオがライセンシーとして、いちから造る、準オリジナルが良いと思うわ』


『ですね!』


『そして、これからの事だけど……私はリオの妻となってもこれまでと変わらない。異界と現世を行ったり来たり、地母神の修行をしながら、リオを全面的にフォローするわ』


『ありがとうございます。何卒宜しくお願いします』


『お父様と今度紹介するお母様は、リオの義両親、新たな家族となる! 地の眷属達も身内ね!』


『心強いです!』


『そして、この現世でヒルデガルドを妻にすると決めたなら、イエーラを当面の生活拠点に決めるのが良いかもしれないわね』


『はい、同意します。俺の立ち位置は、当初、イエーラ富国作戦に尽力する助っ人冒険者という雇われ者でしたが、ヒルデガルドさんの夫ならば、イェレミアスさんが義理の祖父にあたり、正式にアールヴ族の身内という事になりますから』


『そうよね』


『ええ、雇われた者ではなく、正式かつ近しい身内ならば、各所の問題、課題に対し、アプローチ、取り組み方、もろもろが変わって来ると思いますので』


『でしょうね』


『地の一族、アールヴ族が自分の身内だと、思い入れも生じるでしょうから』


『うふふ、ミリアン、ブレンダとも結ばれたら更に家族が増えるわね』


『ですね!』


『でもさ! リオには、可愛くて素敵な女子達との邂逅がまだまだあるかもよ!』


『いやあ、それはどうかと……今だって、夢みたいな気分ですから』


そんな会話を交わしていたら、


『おお、ティエラ様、リオネル様! おはようございます!』


『おはようございます! ティエラ様、リオネル!』


大きな声を張り上げてあいさつをする、

イェレミアスとアリスティドが現れたのである。

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