第701話「うん! だって! 私とリオが、一緒にお風呂へ入るだけだから!」
帰還して、夕飯の支度を手伝うティエラ。
これまでもきさくに協力していたが、結婚を約束した『婚約者』という立場となり、
更に率先して、積極的に手伝ってくれるようになった。
『あのさ、リオ』
『はい、ティー、何でしょう?』
『ここへ来てから、リオのお手伝いして、いろいろな料理を作っているじゃない?』
『ですね。ソヴァール王国、アクィラ王国、そしてアールヴ族の料理などです。あと野趣あふれるサバイバル料理もありました』
『ええ、どの料理を作る時も凄く楽しいし、作った料理は皆、とっても美味しくて、ついつい食べ過ぎちゃうし、改めて思ったんだけど』
『改めて思ったって、何をです?』
『うん! お手伝いレベルから、ステップアップして、人間族の料理をメインに、現世における全種族の料理を出来うる限り、い~っぱい、覚えたい。それでね、リオと一緒に、美味しく作って、食べて、楽しみたいの』
『おお、全種族の料理を出来うる限り、い~っぱい、覚えたいのですか。素晴らしい意気込みですね。俺も精霊世界の料理を覚え、美味しく作り、ティーに喜んで貰いたいです』
『うふふ、じゃあ、私の大好きな精霊世界の料理をた~くさん教えるね』
『で、一緒に美味しく楽しく食べましょう』
『うんっ!』
そんなこんなで、リア充あふれる楽しい夕飯が終わり……
明日のスケジュールは、イェレミアスは引き続き、パイモンからのスキル教授。
本日初歩レベルを習得したスキルは、温水に温風。
孫娘のヒルデガルド同様、水属性、風属性の、
複数属性魔法使用者たるイェレミアスだが、
火属性、地属性は高位レベルの魔法を使えない。
ただ生活魔法は使えるので、パイモンから、
火属性をプラスした風呂湯並みの『温水』
洗濯物をより早く乾かせるレベルの『温風』を習得させて貰ったのだ。
しかしまだ、万全に使いこなせるというわけではないので、
引き続き訓練という事に。
またアリスティドも、アマイモンとマンツーマン指導による、
地属性の上位、最上位魔法の修行を継続する事となった。
そしてリオネルはといえば、引き続きティエラと、
地の加護の効能効果アップ、安定の修行をする事に。
そのティエラであるが、いつもなら父、パイモン同様、異界へ帰還するところを、
『お父様、今夜はリオから、シーフ職スキルの教授をして貰うの。その後は、そのまま彼の家に泊まるから、また明日ね。ではパイモン様、本日はこちらで失礼致しますわ』
と、以前イェレミアスから提供して貰ったリオネルの個人宅にお泊り宣言。
当然、リオネルには事前に了解を得ている。
パイモンへ『本日も、お疲れ様でした』と先にあいさつをした後、
『アマイモン様、俺の責任をもって、ティエラ様を、いえ、ティーをお預かりします』
とリオネルは宣言。
対して、アマイモンは高笑い。
『ははははは! そうか! 俺が見込んだリオの家に泊まるのなら、大が付く安心だな!』
と、絶大な信頼を見せた。
これで、ティエラのお泊りは父親公認で決定。
ちなみにアリスティドは、イェレミアスの家に泊まる事になった。
さすがにリオネルとティエラの恋路の邪魔をするほど、
アリスティドは野暮ではない。
そんなこんなで、アマイモンとパイモンが異界へ引き揚げた後、
アリスティドも加わり、ティエラとイェレミアスは、
リオネルから、シーフ職スキルの教授を受けた。
教えるのは『隠形』『忍び足』であり、
建物が立ち並び、敵襲の危険のない古代都市居住区は格好の訓練場となった。
リオネルの指示した訓練とは、住人である人型ゴーレム達にさとられないよう、
気配を消し、そ~っと歩き、両スキルの習得と上達を目指すもの。
実際に訓練を行うと、子供が遊ぶ『かくれんぼ』の趣きがあり、
4人は童心に帰り、楽しみながら、経験値を積んで行ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
結局、夕飯後、午後9時までシーフ職スキルの教授を行ったリオネル。
『お疲れ様でした』と解散、ティエラとともに『自宅』へ戻り、
すぐイチャイチャ、ベタベタし、甘い世界へ突入するのかと思いきや、違った。
何と、ティエラがある申し出をして来たのだ。
『ねえ、リオ』
『はい!』
『良かったら、お風呂に入って寝る前に、もうひと仕事しない?』
『もうひと仕事ですか? 俺は疲れていないし、構わないですよ。でもティーは疲れていませんか?』
『私も全然大丈夫!』
『ですか、で、何をします?』
『うん! さっきお父様がさ、リオの従士たるゴーレムの数で、なんやかんや言ってたけど、今回この迷宮で捕獲した分は、ガーゴイルを含め、再使用する為のメンテナンスがまだ済んでいないでしょ?』
『ですね。この迷宮滞在中の暇な時、一気にやろうと思っていました』
『だったら、私、手伝うよ、ゴーレムのメンテナンス得意だし!』
『本当ですか? 凄く助かります!』
『任せて! 私が地の魔法でガンガン修復するから、リオは、新たな主の証となる、真理の魔法文字を刻んで行ってね!』
『了解です!』
と、いう事で……
リオネルは、収納の腕輪へ搬入していたゴーレム、そしてガーゴイルを搬出。
対してティエラは、ゴーレム、ガーゴイルを受け取り、どんどん修復。
当然ながら、リオネルよりも格段に上手い修復。
手際よく関節をスムーズな稼働にするのは勿論、
表面の細かな傷も丁寧に綺麗にして行く。
そして再度、リオネルが修復済みのゴーレム、ガーゴイルを受け取り、
真理の魔法文字を刻み、起動可能として行く。
共同作業するふたりの息はぴったり!
ゴーレム、トータル1,200体を、そしてガーゴイル100体、
都合1,300体を1時間もかからずにメンテナンス終了。
更には、収納の腕輪から金属のインゴット各種を出し、魔法で成形。
追加のアタッチメント、及びティエラの出したアイディアで、
新たなタイプのアタッチメントまで作成してしまった。
順調すぎるメンテナンス結果に、ふたりは、にっこりと笑顔である。
『よっし! 終了だね! リオ!』
『ええ、メンテナンスを万全に出来ただけでなく、新型のアタッチメントまで作れました。全てティーの協力のお陰です。本当にありがとうございました』
『うふふ、いえいえ! お安い御用よ。これからはお互いに助け合っていかなきゃ! 夫婦になるんだから、ね!』
『で、ですねっ!』
『ねえ、リオ。ここで、おねだりしていいかな? ご褒美!』
『ご褒美ですか? 何でしょう? 無理のないものなら、俺は出来る限りOKですよ』
『うふふ、全然、無理じゃないよお』
『ですか』
『うん! だって! 私とリオが、一緒にお風呂へ入るだけだから!』
ティエラは嫣然と微笑み、挑発的にぐいっと迫るが如く、身体を乗り出した。
リオネルはびっくり仰天!
『ええええ!!?? お、俺とティーが、い、一緒に、お、お風呂ですかあっ!!??』
『うふふ、これも恋愛道のプロセスよ! ハグ、キスってしっかりと段階を踏んだでしょう? で、あれば! 次は一糸まとわぬパートナーの裸身に慣れる事ね』
『い、一糸まとわぬ!? パ、パートナーの裸身に慣れる事、なのですかあ!!』
『うん! 私のお母様も、お父様と仲良くお風呂で洗いっこして、絆が深まったってさ』
『あ、あ、洗いっこ!!?? で、ですかあ!!?? でも俺、洗いっこどころか、ティーの裸身を正視出来ないかも!!』
『ダメダメ! 情けない事言っちゃあ! これから散々見る愛する妻の裸身よ! 私だって男子とお風呂に入るのなんて初めてで、とっても恥ずかしいんだから!』
『うう! 確かに今の俺はダサいし、情けないです!』
『じゃあ! 夫たるリオがしっかり! 妻の私をリードして! それと敬語は不要だよ!』
『わ、分かりました! ティー、一緒に風呂へ入りましょう! い、いや! 入るぞ!』
『やった! 入るぞ! だって! リオから、とうとうため口で言われたあ!』
『うわ、つい!』
『全然良いじゃない! 入るぞでも! だって、夫婦だもん! プライベートな時くらい、他人行儀な敬語はやめよ!』
『わ、分かった!』
という事で、リオネルとティエラは、広いバスルームへイン!!
勇気を振り絞り、何とか『洗いっこ』をクリアしたリオネルであったが、
湯舟では、緊張もあいまって、のぼせてしまい……
何とか風呂から上がって、ティエラとともにベッドへたどりついたものの、
そのままバタンキュー! してしまったのである。
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