第697話「リオネルは、呼吸法で体内魔力を練り上げてゆく…… そして心で強く念じる」
読者様へ。
いつもお世話になっております。
新作の連載を開始しました。
⛤『無能と呼ばれた俺が思いもよらず超覚醒!異能冒険者達と組み、成り上がる話!』
中世西洋風異世界を舞台にした成り上がり冒険ファンタジーです。
一気に読めます!
既存作同様に、ご愛読、応援を何卒宜しくお願い致します。
帰還後、夕飯の席でやはりというか、
アマイモンから、明日は地属性魔法の修行をしようという話が出た。
全属性魔法使用者のリオネルは勿論、
火属性、地属性魔法の複数属性魔法使用者たるアリスティドへ、
本日のパイモンと同じか、それ以上の修行をつけようというのだ。
以前、ティエラから聞いた事があるが、
精霊間の競争意識はやはり凄まじいらしい。
『パイモンに負けてはおられん』というしかめっ面のアマイモン。
そんな父を見て『やれやれ』と苦笑、肩をすくめるティエラである。
そしてイェレミアスはといえば、
『入れ替え』で、今度はパイモンから『新たなスキル』を教授して貰う事に。
という事で、翌日……朝食を摂った6名は転移魔法を使い、昨日と同じ
フォルミーカ迷宮125階層にある『砂漠地帯』に現れた。
リオネルとアリスティドの地属性魔法の修行は、まず生活魔法『掘り起こし』から、
念の為、補足すると生活魔法とは適正に関係なく行使出来る本当の初歩魔法である。
ちなみに『掘り起こし』は、主に園芸に、また簡単な農作業、土木工事などにも使用する。
あっさりと『掘りおこし』を発動したふたりは、
まずはリオネルが『砂弾』『泥弾』『泥散弾』『石つぶて』『石矢』『岩弾』
『岩柱弾』『岩散弾』の攻撃魔法を、
そして上級攻撃魔法の『砂泥混合弾』『回転岩柱弾』各サイズも無詠唱、
神速で発動して行く。
攻撃魔法行使の後は防御魔法の『泥堀』『砂嵐』『土壁』『岩壁』の各サイズも、
次々と発動する。
地属性に「寄った」魔法剣士であるアリスティドも、リオネルと同じ魔法を、
スムーズに言霊を詠唱し、自然な予備動作付きで難なく発動した。
ここまでは順調すぎるほど順調だ。
ちなみに各魔法について、
地の仕様、形状、付加するもので、発動のイメージ、
そして効能効果は想像が可能であろう。
『うむ、ふたりとも合格!』
『ええ、問題ないわ』
というアマイモンとティエラ。
ここでリオネルが挙手。
『アマイモン様、ティエラ様』
『何だ?』
『なあに、リオ』
『浄化魔法だけ、ビフォーアフターの効能効果を示す為、後ほど場所を変えての発動で構いませんか? 丁度この近くにヒュドラが穢した沼地がありますので』
『うむ、構わぬ』
『ええ、問題ないと思うわ』
その会話を聞き、アリスティドは悔しそうだ。
彼は、地の浄化魔法を習得してはいないから。
アマイモンが言う。
『よし! 最後は最上級魔法だ! リオネルは習得済みの最上級魔法をそのまま発動し、問題なければ更に新たな最上級魔法の習得を目指せ!』
『はい!』
『アリスティドは未習得の浄化魔法、新たな最上級魔法習得に挑むが良い!』
『はいっ!』
『うむ! まずはリオネル! 発動してみせい!』
『はい!』
返事をしたリオネルは、広域攻撃魔法の『剣山破砕』を、
更に広域支援魔法の『大地の束縛』も無詠唱で発動させた。
いずれも円滑さ、制御はパーフェクト。
有効範囲も小、中、大と使い分け、完璧の完璧であった。
最上級魔法を行使し終わったリオネルは、アマイモンとティエラへ呼びかける。
『新たに習得する地属性最上級魔法は、今後の事を考え、大地を豊かにする加護魔法を希望致します』
『うむ! 良かろう! 以前、リオネルに地の加護魔法を示して見せたのはティーだ。ならば、指導役にはティーが適任であろう。ティー!』
『はい、お父様』
『地の最上級加護魔法を、リオネルへ基礎からマンツーマンで指導してやるが良い。ついでに浄化魔法発動、効果の確認もティーに任せる』
『はい、もろもろ、かしこまりました。リオ、宜しくね』
ティエラが、マンツーマンでリオネルへ魔法指導。
これはアマイモンが「気を利かせた」に違いない。
『アリスティドは、引き続き俺が指導する』
『ありがとうございます、アマイモン様。そしてティエラ様、こちらこそ宜しくお願いします』
と、いう事でリオネルとティエラは一同へ一礼し、ここで一同から離脱。
ヒュドラの棲む沼地へと転移したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
リオネルとティエラが転移したヒュドラの棲む沼地は、
常人ならば反吐が出そうな物凄い悪臭を発する、広大な湿地帯であった。
繰り返すが、こういった悪臭もリオネルは、
究極の防御魔法、破邪霊鎧の効能効果で、
耐性が生じるのも実証済み。
しかし、鼻孔に忍び込む悪臭はけして心地良いものではない……
また周囲に立ち込める瘴気はそこから発生しているようだ。
ティエラは柔らかく微笑む。
『リオとは、久々にふたりっきりになったから、ヒルデガルドのOKは貰ってるし、ベタベタ、イチャイチャしたいとこだけど、そうもいかないわね。うふふっ、大好き、リオ! すっごく愛してるよ♡』
いつもと比べ、ティエラは、ひどく艶っぽい。
リオネルは思わずドキッとした。
見かけは可憐で少女少女したティエラだが、
中身は優しさと母性に溢れ、周囲を思いやる大人の女。
時にはクールビューティーで直球の正論をズバリ、
また、このようにコケティッシュな一面も見せる。
そんな数多のギャップ萌えに、男子はいちころ、だろうと感じる。
他の神や精霊からアプローチは無いのかとも思う。
『俺もティエラ様が、すっごく愛おしいです』
『うふ♡ ありがと! 実は私もヒルデガルド同様、超甘えん坊。けれど公私のめりはりは、つけないとね』
『はい』
さてさて!
湿地帯を支配するヒュドラは、
転移魔法でいきなり現れた、ただ者ではない『ふたり』に気付いたらしい。
『ヒュドラの奴、私達に勘付いたみたい』
『はい、ですね』
『じゃあ、リオ。この湿地帯を浄化するテストの前に、まずは、さくっと、邪魔なあいつを倒しちゃおうか』
『了解です。いつもの癖と言うか、習慣なのですが、念の為、破邪霊鎧をティエラ様へ行使し、自分にも掛け直します』
『うふふ、私に毒や呪いは一切効かないけれど、リオの細やかな心遣いはすっごく嬉しいわ』
『いえ、毒、呪いが無効だと分かっていても防御魔法を発動するって、単に心配性なだけの気もします』
『いやいや! 心配性結構! 用心深いのは最高! 堅固な石橋でも、叩いて渡るものなのよ!』
『ですか』
『ええ、防御魔法の習慣化はとても良い事だし、妻となる女子達や仲間達へは凄く安心感を与えるわ』
『ティエラ様にそうおっしゃって頂くと、素直に嬉しいです』
『うんうん! とにかく、まめな男子は私、大好き!』
『ありがとうございます。じゃあ、破邪霊鎧行きまっす』
無詠唱、神速でリオネルは破邪霊鎧を発動。
リオネルから放たれた聖なる白光をまとったティエラは嬉しそうに微笑む。
『ありがと! ではでは、ヒュドラの討伐をよろしくっ! やり方はお任せするわ。何かあれば、私がすぐフォローするよ』
『了解です! 必要があればすぐ念話でお伝えします』
正式に婚約者となったからなのか、リオネルとティエラの息はますますぴったり。
阿吽の呼吸、もしくはツーと言えば、カーである。
飛翔!
飛翔魔法を使い、ヒュドラの居る上空に軽々と飛んだリオネル。
そんなリオネルを見て、ヒュドラは、リオネルを威嚇するかの如く、
9本の首についた顔その口から、濁った猛毒とおぞましい瘴気を吐く。
かああああっっっっ!!!!! しゃあああああっっっっ!!!!!
かああああっっっっ!!!!! しゃあああああっっっっ!!!!!
かああああっっっっ!!!!! しゃあああああっっっっ!!!!!
広大な沼地一帯は、更に猛毒と瘴気に満ち、濃度が、著しく上がった。
そんな中、リオネルは平然と微笑み、腕組みをして宙に浮かんでいる。
ヒュドラの毒と瘴気は、ティエラ同様、リオネルには一切効かない。
……最初にリオネルがヒュドラ討伐をした際、
風属性魔法『風斬』で9つの首を斬り落とし、
特異スキル『フリーズハイ』レベル補正プラス60を使い、
動かぬよう身体の自由を奪い、『再生』を遅らせると、
古代の英雄とほぼ同じ方法、ムービング攻撃魔法の『炎弾』で傷口を焼いた。
そして、破邪聖煌拳奥義、破魂拳に、
スキル『貫通撃!!』の魔力を込める『破魂貫通撃』を、
思い切り『極大レベル』で放ったのだ。
するとヒュドラは魂を破壊されつつ不死である首ごと全て消し飛び、
四散して塵となったのである。
以降リオネルは再生能力が高く不死と言われる魔物には、
この戦い方、もしくは違う魔法や武器等を使って応用したやり方で戦って来た。
今回はティエラが居るので、地属性魔法を中心に戦う。
それがリオネルの筋の通し方。
まずは、敵を一度にしばらくの間、行動不能とする『大地の束縛』で、
ヒュドラを動けなくしたリオネル。
次に数多の岩石製剣山がせり出し敵を刺し貫く
『剣山破砕』に破魂の魔力も込め、発動した。
名付ければ、
『剣山破砕破魂貫通撃』といったところか。
ぶしゅっ!ぶしゅっ!ぶしゅっ!ぶしゅっ!ぶしゅっ!
ぶしゅっ!ぶしゅっ!ぶしゅっ!ぶしゅっ!
真下からヒュドラの巨体を刺し貫いた岩石製剣山は、
破魂の魔力により、魂をも刺し貫き、その瞬間!!!
ぼしゅううっっっ!!!!!
ヒュドラの巨体、全てが消し飛び、四散して塵となった。
リオネルの心にティエラの個人念話が聞こえて来る。
『ナイス! リオ! 早い! 確実! 義理堅い! 3拍子揃った戦い方よ!』
『おお、3拍子揃った戦い方ですか、嬉しい誉め言葉です』
『うん! 無詠唱で神速発動は勿論、大地の束縛は相変わらず完璧だし、剣山破砕へ破魂の魔力を加えたビルドアップも素晴らしいわ! 100点どころか300点満点ね!』
『300点満点ですか、ありがとうございます』
『じゃあ、引き続き、この湿地帯を浄化するテスト、行っちゃおうか!』
『はい!』
リオネルは、改めて呼吸法で体内魔力を練り上げてゆく……
そして心で強く念じる。
『地の管轄者ティエラ様の名のもとに! 我リオネル・ロートレックが! 大いなる加護を与えよう! 汝らに、恵よ、あれ!』
その瞬間!!
ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱっっっっっっっっ!!!!!
リオネルの言霊に応えるよう、
沼地全体が、正視不可能なくらい、まばゆい白光に包まれた。
すると!
沼地を覆っていた、酷い汚れは勿論、猛毒とおぞましき瘴気が、
あっという間に、かき消えて行ったのである。
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お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。
最後に、
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