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第690話「さすが我が弟子、感謝する!」

ティエラの父、地界王アマイモンと、火界王パイモンにとりあえず待機して貰い、

リオネル達は中断していた作業を再開。


ふたりの訪問者があったので、全員で料理を作る予定を変更し作業を分担。


手際のよいリオネルとティエラが料理担当、

イェレミアスとアリスティドが出来上がった料理、飲み物を、

テーブルへ並べる配膳担当を行う事に。


いきなりの訪問とはいえ、アマイモンとパイモンをいたずらに待たせてはならない。


リオネルはティエラに協力して貰いながら、

いつもより円滑かつ味のクオリティが落ちないよう、腕を振るったのだ。


……結果、当初の予定よりメニュー数と量は増えたが、

あまり時間をかけず夕飯の支度を完了する事が出来た。


6人はテーブル脇に並べられた椅子に着席し、改めて乾杯する。

まず紹介をというリオネルの提案がアマイモンに却下され、

「いや乾杯を先に」という事となったのである。


チラとリオネルがティエラを見れば、苦笑いのティエラが小さく頷く。


念話を使わずとも、ふたりの間には意思疎通が為されたのだ。


そして乾杯はリオネル所持のエールを使うという事となったので、

水属性魔法で冷やされた大樽から、これまたキンキンに冷やされたマグカップへ、

エールがなみなみと注がれる。


そして、乾杯の音頭はティエラの指示により、リオネルが行う事に。


クランリーダーは、リオネルではあるが、

高貴なる4界王のふたりと囲むこの宴の場は、

余計なトラブル回避の為、ティエラの判断を優先しようと考えたのである。


『乾杯!』


カチン!カチン!カチン!カチン!カチン!カチン!


エールを満たした陶器製の大型マグカップ6つが合わされ、乾いた音を立てた。


これでようやく、準備完了。


各自が改めてあいさつと自己紹介をする事に。


『初めまして! アマイモン様! ご無沙汰しております、パイモン様! リオネル・ロートレックです。冒険者ギルド所属ランクSの冒険者で魔法剣士です』


『皆様! 改めまして! ティエラでございま~す! 地界王アマイモンの娘でございま~すっ!』


『初めまして! アマイモン様! パイモン様! イェレミアス・エテラヴオリでございます。アールヴ族の前ソウェルで、魔法使いでございます』


『た、たいへんご無沙汰しております、! ア、アマイモン様! は、初めまして! パ、パイモン様! ア、アリスティド・ソヴァールでございます! ソ、ソヴァール王国開祖の英霊であり、ま、魔法剣士でございますっ!』


嚙みまくったアリスティドは、だいぶ緊張しているようである。


無理もない。


先のティエラの言葉通り、久々1,000年ぶりとなるアマイモンとの再会、

そして待ちに待った、初対面となるパイモンとの邂逅なのだから。


どちらにしても、これでリオネルのクランメンバーの紹介は終了。


続いてはアマイモンとパイモンの番である。


『うむ! ティーの婿殿とイェレミアスとは初めましてだな。俺が高貴なる4界王のひとり、地界王アマイモンだ』


『ふ、イェレミアスとアリスティドとは初めてか。私は高貴なる4界王のひとり、火界王パイモンだ』


おおっと!

アマイモンの発した言葉で気になる部分がひとつ。


リオネルがティーの婿殿!?


……これは今、この場で確かめておかねばならない。


なので即、リオネルは尋ねる。


『ええっと、ちょっとお待ちください、アマイモン様』


『おお、何だ、婿殿!』


『あ、あの! ひとつお聞きしたいのですが、今おっしゃった婿殿とは自分、リオネル・ロートレックの事でしょうか?』


『おいおい! 今更何を言う!』


『え? い、今更、ですか?』


『おう! リオネル、ティーというのは俺がいつもこいつを呼ぶ愛称なんだがよ。ティーの婿殿とは、つまりお前が我が娘ティエラの婿! という意味だぞ!』


『え~!? お、俺がティエラ様のお!?』


!!??

慌てたリオネルは記憶をたぐる。


確かにティエラはリオネルにとても好意を示し、

「うん! お父様はこう言ったわ。……ティエラ、お前が望むなら、リオを私の婿にしても構わないって」


そして、「結婚したい!」と冗談ぽく語った事はある。


だが……ティエラはその後、こうも言っていた。


「私とリオが結ばれる……という展開が本当は理想だけど、残念ながら現実的ではないじゃない」


「一番大きいのは人間の寿命の問題。人間は長くても、せいぜい100年少ししか生きられない。もし結ばれて、結婚しても、妻の私がリオをさびしく見送るのは確定でしょ?」


「結婚してたった100年たたずに、リオと死に別れるなんて、そんな悲劇は私には耐えられないし」


「だから私は、思い切って決めたの。リオの正妻には、素敵な人間族のお嫁さんをめぐり合わせるって……」


という流れで、ティエラの考え方はまとまっていたはずだ。


もしや何かが変わったのか?


渋い顔付きのティエラはとがめるようにアマイモンへ言う。


『もう! お父様! その呼び方はまだ早いって!』


『あ、ああ!! わりい!! ティー!! そうだった!! まだリオネル、と呼ぶ約束だったよな!!』


しまったあ!という表情で頭をかくアマイモン。


対して、ティエラは父を軽く睨み、


『そうよ!』


と言いつつ、向き直り、両手を合わせてリオネルへ、


『リオ! ごめんね! 詳しい話は後でするから! とりあえずはこのまま進めましょ!』


そう言い、宴の開始を懇願したのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


先ほどもそうだったが……

ティエラが懇願したら……とんでもなく酷く理不尽な話以外は、

許容し、遂行する。……それがリオネルの基本ポリシーである。


自分がティエラの『婿』とアマイモンから呼ばれるのも、

何か事情があるに違いない。


この場はとりあえず聞き流し、後でティエラから説明をして貰った上で、

じっくり考えれば良いと、リオネルは考えたのである。


……もしもこの場ですぐ対応すべきなら、ティエラは必ずそう言うはずだからと。


精霊と人間という全くの異種族同士だが、

ふたりにはそこまでの信頼関係が築かれていたのである。


と、いう事で『宴』はそのまま続いて行く事に。


『アマイモン様、ティエラ様には常日頃からとてもお世話になっています。自分がここまで成長出来たのも導いてくださったティエラ様のお力が大きいです。本当に感謝しております、ありがとうございます』


まず筋を通すべく、義理堅いリオネルはアマイモンへ感謝の気持ちと礼を告げた。


ティエラから地の加護を授けられ、何かにつけて助けて貰っており、

この度契約したイエーラ富国の依頼においても大いなるフォローを受けている事を。


対してアマイモンも、


『いやいや、それはこちらこそだ』


と言い、にっこりと笑う。


『リオネルよ。人間族のお前と知り合ってから、ティーは立派な地母神になるべく、尚更張り切って修行するようになったからよ』


『そうなのですか』


『ああ、ティーへ与えられた課題は難しく修行は相当厳しいが、我が娘ながら、弱音を一切吐かず、ひいき目なしで本当に頑張ってるぞ』


『ですか!』


『おう! リオネルよ! ティーはな、人間族とはいえ、お前とは切磋琢磨するライバル以上、同志だとさえ言っている。お前の頑張りと著しい成長を励みにしているんだ』


『切磋琢磨するライバル以上、同志ですか。ティエラ様にそう仰って頂くのは光栄です。俺は毎日、ただ地道にコツコツやるだけです』


『はははは! その通りだ! 継続は力なり! 努力が必ず望む結果をもたらすとは限らねえ。だが一歩一歩、確実に前へ進む為には、さぼらず日々真面目にコツコツが一番だ!』


と会話を交わしつつ、


『リオネル! 今後ともティーを! ウチの娘ティエラを宜しく頼むぞ!』


と最後には念を押して来た。


『はい!』


ときっぱり返事をするリオネル。


そしてアマイモンはイェレミアスへ向き直り、


『おう! イェレミアス!』


『は、はい! 何でしょうか、アマイモン様』


『ソウェルの地位を譲ったお前の孫娘も、ウチのティーと同じだろう?』


と水を向けて来る。


『は、はい! ティエラ様と同じと申し上げるのは誠に恐縮ですが、ヒルデガルドはリオネル様と邂逅し、一緒に仕事をするようになってから、まるで生まれ変わったように活き活きとしております!』


『うむうむ! そうだろう、そうだろう!』


『そして、謙虚な態度で全ての物事へ真剣かつ前向きに取り組み、日々成長しております!』


『はははは、やっぱりティーと同じだ! そしてアリスティド!』


『は! はいっ! 何でしょうか、アマイモン様!』


『おう! お前が住んでいた迷宮の底で、リオネルへ全属性魔法使用者(オールラウンダー)(ことわり)を説き、転移魔法の手解きをしたのも大きいぜ! さすが我が弟子、感謝する!』


『と、とんでもない! 我ごときに勿体ないお言葉を!』


師アマイモンから礼を告げられ、大いに感激するアリスティド。


更にアマイモンは言う。


『ティーが言っていた通り、アリスティド。英霊のお前はいずれ昇華して、上級聖霊になるべき存在なんだからよ。リオネルをあらゆる面で助け充分に徳を積み、上級聖霊に相応(ふさ)しい実力をしっかりとつけるんだぜ』


『は、はいっ!! 重々!! 肝に銘じますっ!!』


アマイモンから『将来』の指針を受け、立ち上がったアリスティドは、

『直立不動』で応えたのである。

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