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第686話「ごら! アリスティド! 作動したら面倒だから、罠の解除中は邪魔しないよう、静かに、大人しくするのよ」

『お~い! リオネル! 今、マンティコアども5体を倒した! 宝箱も出現したぞ!』


と、アリスティドから念話連絡が入ったので、リオネル、ティエラ、

そしてイェレミアスは、現場へ向かった。


念の為、索敵を張り巡らせながら、現場へ到着すると、

事切れ、倒れ伏したマンティコアども5体の傍らに、

勝利の凱歌を上げるアリスティドが「どんなもんだい!」

と腕組みをし、得意満面で立っていた。


リオネルが行使した特異スキル『シャットダウン』を、

アリスティドは、いたく気に入ったようだ。


『おい! リオネル!』


『はい、アリスティド様』


『お前が使ったスキル……『シャットダウン』とか言ったな』


『ええ、そうです』


リオネルが肯定すると、笑顔のアリスティドは、うんうんと頷き、


『うむ! 『シャットダウン』か……徐々に行動不能になるとは、結構使えるスキルだな! 完全に無抵抗状態の魔物に対し無双するよりは断然気分が良い! 我も習得したいくらいだ!』


ときっぱり言い切った。


先ほどとは、がらりと違う物言い。


ティエラの影響だなと思いつつ、話を合わせようとリオネルも微笑む。


『はあ、ありがとうございます。そこまでお褒めに預かり、光栄です』


そんなアリスティドへ、ティエラが呼びかける。


『お~い、アリスティド』


対して、あわあわと大慌で姿勢を正し、直立不動で応えるアリスティド。


『は、はいっ! ティエラ様!』


『あんたの機嫌がすこぶる良いところで、もっと楽しい事してみない?』


『え!? えええ!? も、もっと! た、楽しい事でございますかっ!?』


『うん! リオと腕比べするのよ!』


『は!? リ、リオネルと、腕比べ……ですか?』


『いえ~す! 腕比べ! シンプルな勝負よ!』


『シンプルな勝負……ですか?』


『そうよ! リオとアリスティドが、次に遭遇する魔物をそれぞれ単独で、魔法、スキルなしで倒しっこしてみて頂戴! どちらが優れているのか、私とイェレミアスで判定してあげる!』


『な、何と!?』


『もう! わざとらしく何を驚いてるのよ。正直に本音を言いなさい』


『ほ、本音でございますか? え、ええっと……』


『こら! アリスティド! あんたはリオの力を認めつつも、素直に従わないじゃない。結構な不満があるんでしょ?』


『な、な、何をおっしゃいます、ふ、不満などは……』


『ダウト!』


ティエラの一喝に、アリスティドは更に驚く。


『うお!』


『ごら! アリスティド! 師匠である私に下手な嘘をつくんじゃないの! 猪突猛進、シンプルなあんたの心の内なんか、バレバレでお見通しなのよ!』


『も、申し訳ございません!』


『良い? リオとガチで勝負して、彼の実力を認めなさい! 自分が造った国から、こんな底知れない大器が出たって素直に喜びなさい! そしてソヴァール王国開祖の英霊として快くサポートしてあげなさいっ!』


『わ、わっかりましたあ!!』


どうやら……話はまとまったらしい。


この現場を処理する頃合いだろう。

公開念話でリオネルは声を張り上げる。


『では、現場を処理します。倒したマンティコア5体は葬送魔法を使い塵にし、宝箱は罠解除の上、開錠、開放します』


万が一の場合がある。

悪霊ではないが、霊体であるアリスティドに葬送魔法の影響があってはならない。


リオネルはアリスティドへ少し離れるように告げてから、葬送魔法を行使。

マンティコア5体を塵にすると、宝箱の罠をスムーズに解除。


罠解除の宝箱を速攻で開錠し、開放の上、宝箱の中身をあっさりゲット、

収納の腕輪へ搬入したのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


マンティコア5体が落とした宝箱の中身は、

柄が宝石、緻密な細工で飾られた古代の剣、

かぎ爪のついた手甲鉤てっこうかぎ

銀製の指輪、水晶のついたアミュレットを始めとしたいくつかの魔法装身具、

毒、麻痺の効果がある攻撃用魔法ポーションなどである。


とんでもないお宝!とは言えないが、価値としてはまあまあだろう。


それらを見て、イェレミアスは目を輝かせ子供のように喜んだ。


大喜びするイェレミアスの様子を見て、リオネルは『ある事』を想像したが、

とりあえずは黙っておく事に。


……と、そんなこんなで、リオネル一行は先へ進む。

リオネルの索敵は張り巡らせたままなので、既に次の『敵』も捕捉している。


『次の敵は、400m先のミノタウロス2体です』


パワーオンリーなミノタウロス……

魔物の『倒しっこ』には、最適の相手である。


『アリスティド様』


『お、おう! 何だ、リオネル』


『はい、先攻、後攻、どちらか、お好きな方をお選びください』


『う、うむ! 先手必勝! 当然、先攻めだ!』


『了解です』


そんなこんなで、後100mというところで、ミノタウロスどもも、

リオネル達の接近にようやく気付いた。


ぶもももも~!!と咆哮。

2体とも、手に持つ大斧をぶんぶん振り回しながら、真正面から突っ込んで来る。


『ふっ! 1,000年経っても変わらぬな、力任せの単細胞めが!』


力任せの単細胞……ティエラに言わせれば、目糞鼻糞を笑うセリフだが、

鼻で笑ったアリスティドは、だん!と迷宮の床を蹴り、ダッシュ!


あっという間に、前方のミノタウロスへ迫る。


たったひとり、単身で向かって来る人間にミノタウロスは戸惑う。


そんな一瞬のスキをアリスティドは見逃さない。


どん!と踏み込み、相手の腹へ拳へ体重を乗せた渾身の一撃!


どぐわっ!!


肉を打つ重い音がして、がは!と血を吐き、ミノタウロスが崩れ落ち、息絶える。


拳一発で瞬殺! さすがソヴァール王国建国の英雄、開祖アリスティドだ。


仲間を倒され、もう1体のミノタウロスが、ぶもももも~!!と怒りの咆哮。


今度はリオネルの番!と示すよう、だだっと、後退するアリスティド。


『よし! リオネル! 残りの1体は任せたぞ!』


『はいっ!』


歯切れの良い返事とともに、リオネルも、だん!と迷宮の床を蹴り、猛ダッシュ!

どひゅん!と風を切り裂き、残りのミノタウロスへ肉薄。


振り下ろす大斧をかいくぐり、返す刀のように鋭い腕の振りで、

ごん!と脳天ど真ん中の急所に拳を打ち込むと、

ミノタウロスは悲鳴も上げず、崩れ落ち、息絶えた。


同時に、何者かにより討伐のご褒美が贈られるが如く、

何もない空間からぽん!と宝箱が現れた。


と、そこへティエラとイェレミアスが移動。


ふたりが声を張り上げる。


『リオネル優勢だけど、おまけで引き分けね!』

『うむ、リオネル様の方が優勢だと思いますが、ほぼ引き分けですな!』


対してリオネルは、


『そうですか』


と納得したが……アリスティドは不満顔。


『むうう、リオネルが優勢とか、おまけで引き分けとか、ほぼ引き分けとか、判定が不公平でしょう! 到底納得が行きませぬ!』


と、ぶーたれた。


すると、ティエラとイェレミアスがすぐ反応、


『判定を補足すると! 移動速度、身のこなし、急所への円滑かつ的確な攻撃でリオが優勢なのよ!』


『ティエラ様に同意ですぞ!』


と返した。


『……………………』


判定の補足を聞き、無言のアリスティドだが、


『アリスティド様、この勝負は引き分けという事で、次に持ち越しです。とりあえずは現場を処理します』


淡々と冷静に告げるリオネルの言葉を聞き、クールダウンして行く。


『う、うむう……わ、分かった!』


『ありがとうございます。では作業へ入ります』


まずは先ほど同様、葬送魔法でミノタウロス2体を塵に、

次は宝箱の処理だ。


ここでティエラの教育的指導。


『ごら! アリスティド! 作動したら面倒だから、罠の解除中は邪魔しないよう、静かに、大人しくするのよ』


『はっ、はい! リオネルの邪魔をせず、静かに、大人しくします!』


……そんな中、リオネルは集中して作業を続ける。


宝箱の罠は、致死率の高いヤバい毒霧が噴き出すものであったが、

万が一発動しても、究極の防御魔法破邪霊鎧、

特性などに守られたリオネル達に、毒は一切効かず無害だ。


しかしリオネルは決して油断せず、

慎重、丁寧かつスムーズに罠の解除を進めて行く。


すぐに罠が解除されると、更には難解な仕組みの鍵を開錠。

用心しながら蓋を開放し、先ほど同様、無事中身をゲットした。


魔法、スキル、魔道具を完璧に使いこなし、専任のシーフ職顔負けの鮮やかな手際。


見事!というしかないリオネルの作業を、

他の3人は「大したものだ」という感嘆の眼差しで見つめていたのである。

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