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第62話「きっと上手く行く!」

更にしばし、時間が経った。

……結局リオネルは、いぶし出された100を超える個体を、

攻撃魔法『風矢』で狙い撃ちする事が出来た。


洞窟からは、相変わらず魔導発煙筒の白煙が出ていたが……

いぶり出されるオークは見当たらなかった。


唐辛子などを魔法で精製した冒険者ギルド謹製、

『魔導発煙筒』の白煙はめちゃくちゃ強力だという。

ドラゴン級くらいの、よほどの相手でないと、耐え切る事は不可能であるという、

『うたい文句』だ。


リオネルの攻撃魔法『風矢』で、洞窟に潜んでいたオークの大半は倒されていたと見るのが妥当だろう。


改めて『オークどもを倒した事実』を認識して貰う為……

リオネルは、『見届け人』としてクレマンにも討伐したオークの数を数えて貰う事にした。


「1,2,3,4,5,……10,……20,……50、……90……100……」


……倒したオークの数を一緒に数えていると、リオネルはクレマンと心の距離が近くなるのを感じる。


当初は、丘からリオネルが単身降下しての白兵戦も想定していた。

だが状況を見た上で考え直し、結局、実施しない事に決めた。


現場では『臨機応変さ』も重要である。

一旦決めたことをやり通す一徹さは大切だが、時と場合による。


やはり、予定は未定なのだ。


ちなみに、予定を変更した理由は、遠距離攻撃のみで数が相当減らせるのがひとつ、

ふたつめは、リオネルが秘密基地を離脱し「場を外した」際、戦いに興奮した老体のクレマンが、丘から転落する等のリスクを危惧したからだ。


万が一、村長のクレマンが怪我でもしたら、村の士気が大幅にダウンする。

いくらオークを討伐しても、意味は半減すると、リオネルは考える。


同じくらい大事な意味もある……

それはエレーヌ、アンナと和解をする決意をしたクレマンを、無事にアルエット村へ送り届ける事だ。


クレマンと、エレーヌとアンナが「ぎくしゃく」しているのは、村民の誰もが周知している。

上手く和解したら、当事者3人だけでなく、アルエット村全体の雰囲気が良くなるのは間違いなかった。


ここで、リオネルは、ひと息付くことにする。

現在の状況をクレマンに説明しておくべきだろう。


「改めて洞窟の中を調べてみないと、オークの総数が不明なので、なんとも言えませんが、とりあえず一旦、様子見(ようすみ)の休憩です」


とリオネルは前置きし、


「村長もご覧の通りですが、今の攻撃でオークの群れに大きなダメージを与えた事は間違いありません。あとは洞窟内にリーダー役の上位種が居たら、そいつと残党を倒せば、一応めどがつきます」


「リーダー役の上位種ですか?」


「ええ、上位種とは変異種ともいい、オークどもの中で、突然生まれます。ノーマルタイプより遥かに強い個体です。オークソルジャー、オークオフィサー、オークカーネル、オークジェネラル、そして奴らの王と言われるオークキングです」


講座の教官、冒険者から聞き、図書館で勉強した知識に過ぎないが、

リオネルは一生懸命に説明する。


「おお、いろいろと居るのですね」


「ええ、今倒したノーマルタイプのオークより、心身とも遥かに強力です」


ただでさえ『レベル13』のリオネルより格上、『レベル15』のオークだが……

スキル補正15のお陰で戦う事が出来きて、勝利したとは絶対に言えない。


『レベル20』の、オークオフィサーとはスキル補正15の力で戦えるとしても……


もしも!

『レベル35』のオークカーネル、『レベル40』のオークジェネラル、

オークの中で最強と謳われる『レベル50』オークキングなど、

超が付く上位種が出現したら、リオネルは、冗談抜きで死をも覚悟しなければならない。


「俺ゴブリンとは上位種含め、いろいろな奴と戦いましたが、オークとはエレーヌさんとアンナちゃんを助けた時、初めて相対(あいたい)しました」


クレマンはそう聞いて驚いた。

思ってもみなかった。

リオネルは、オークと戦うのは初めてだったのだ。


それなのに……

愛娘と愛孫の絶体絶命の危機に、駆け付け、助けてくれた。

命は勿論、かすり傷も負わせずに。


そして、クレマンは改めて考えてみた。


冒険者ギルドより、オークの公式討伐依頼は受けているとはいえ……

わざわざオークの本拠『洞窟』まで足を運び……

アルエット村村民の為に、命を懸け、働いてくれている。

加えて、自分という『お荷物』を連れながら……


しかし自分は……

何という不遜(ふそん)な態度でリオネルへ接し、ぞんざいな扱いをしていたのだろう。

クレマンは心の底から申し訳ないと思い、深く深く後悔した。


と同時に、自然と感謝の気持ちが、言葉があふれ出す。

自分でも全く意外なくらいに!


「こんな奴らに襲われたら、エレーヌとアンナはひとたまりもなかったでしょう!!

ふたりが無残に殺されて、むさぼり喰われる光景など想像したくもありません!! よくぞ、よくぞ救ってくださった!! そしてワシという足手まといを連れながら、ここまで来て戦ってくださった!! リオネルさん!! 改めてお礼を言わせてください!! 本当に!! 本当に!! ありがとうございます!!!」


熱く熱く礼を言い、丁寧に頭を下げるクレマンを見て……

エレーヌとアンナ、ふたりとの和解はきっと上手く行く!


そうリオネルは、確信していたのである。

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