表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

612/761

第612話「わお! おじいさまのおっしゃる通りでしたわ! すっごく美味しいっ!」

リオネルの料理に必要な食材を、そしてランチ用の弁当、サラダ、フルーツ、

飲料などを購入し、3人は総合食料品店を後にした。


そのまま宿泊しているスイートルームへ戻る。


戻ったリオネルは、部屋に備え付けの魔導通信機でギルド総本部秘書課へ連絡。

エステルの同行が本日の夜まで、帰宅は馬車を手配するので直帰になる事を、

秘書課の上司へ、伝え、了解を貰った。

エステル本人にも変わり、彼女自身の口からも、

本日はヒルデガルド、リオネルと夕食も共に摂り、そのまま直帰だと、伝えて貰う。


またリオネルは、エステル帰宅の為に、馬車の予約も取った。

午後9時に、ホテル駐車場へ来て貰う事とする。


てきぱきと、手はずを整えるリオネルと、

それを頼もしそうに見つめるヒルデガルド。


そんなこんなで、準備が整い、リオネルが言う。


「さあて! じゃあランチにしますか。買って来た弁当もろもろを、全員でテーブルへ並べましょう」


「はあい! リオネル様!」

「わっかりましたあ!」


リオネルの指示により、購入した弁当、もろもろがテーブルへ並べられた。


出来合い料理の合わせ技なのだが、弁当や料理の見栄えが良く、クオリティが高い。

加えて、食べるのがスイートルームなので、

リッチなランチパーティーに見えなくもない。


「お疲れ様でしたの乾杯をして、ランチにしましょう、乾杯!」


「「乾杯!」」


そこから3人は楽しくランチ。

とは言っても、昨夜の女子会と同じ。


食べながらヒルデガルドとエステルが話し、リオネルは聞き役だ。

究極のアールヴ族お嬢様とバリバリの人間族秘書キャリアウーマンの会話。


「エステルさんは、お料理はされるのですか?」


「ええまあ、きままなひとりぐらしですから、好きなものを好きな時に作って食べます……でもたまにですね。料理はそう得意でもないですし」


「え? ひとりぐらしって、エステルさんのご家族は?」


「はい、私はひとりっ子で故郷の田舎に両親が居ます。年末年始だけは帰郷しますね」


「じゃあ、お住まいには使用人の方とか、警護の方は居ないのでしょうか?」 


「あはは、ぜんぜんっ、居ません。私のお給料じゃあ、使用人や警護人なんか雇えませんよ」


「うっわ……たったひとりで暮らすなんて、私には想像も出来ませんわ」


官邸暮らしのヒルデガルドは事務官、武官、

そして世話をする使用人に囲まれ生活していた。

たったひとりで居るのはプライベートルームくらいだ。


ヒルデガルドの話を聞き、エステルは言う。


「いえいえ~、慣れたら、(かえ)って気楽で良いですよ。病気になった時は、さすがに不安になりますが」


「えええ? 病気になった時、ひとりで、どうされるのですか?」


「はい、薬飲んで、魔導ポーション使って、治るまで、ベッドへ潜り込んで寝てます。本当にヤバイと思ったら同性の友人にSOSして、看病して貰います」


「はあ~、ひとりぼっちで病気になって寝込む……そんな事になったら、凄く不安でたまりません。やっぱり私、ひとりぐらしは到底無理ですわ」


ヒルデガルドの大きなため息とともに、女子会?は終了。

デザートを食べ、お茶をしながら、話題は料理に移る。


「リオネル様」


「はい、何でしょう、ヒルデガルドさん」


「今日、リオネル様が作るお料理、私とエステルさんはどうお手伝いすれば宜しいのでしょうか?」


「はい、今回に関しては俺が単独でちゃっ、ちゃっとやります。手伝って欲しい時にふたりへ声をかけますよ」


……という事で、リオネルの調理は開始されたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


まずは食材の下ごしらえ。


野菜の水洗いから始まり、

肉の脂身取り、すじ切り、スライス、

魚のうろこ取り、内臓抜き、三枚おろし、

野菜の皮むき、薄切り、みじん切り、などをひと通り行う。


手慣れた包丁さばきを見て、感嘆&興味津々なヒルデガルドとエステル。


「おふたりとも、まずは野菜の水洗いからやってみますか?」


「はい!」

「はい!」


さすがにエステルは経験があるみたいだが、

野菜の水洗いでさえ、ヒルデガルドには初体験であった。


「ご存じかもしれませんが、果菜類は、流水でしっかりと、葉物野菜はたっぷりの水を使い、根菜類は土をしっかり落とすなどを心がけて水洗いしてください」


ふたりに対し、リオネルが曖昧な言い方をしたのは、

調理が全く未経験なヒルデガルドへの配慮である。


「ええっと、リオネル様、こう……でしょうか」


生まれて初めて野菜を洗うせいか、ヒルデガルドはさするように、

おずおずと野菜を洗っていた。


「ヒルデガルドさんは、もう少し力を入れて洗っても構いませんよ」


「はっ、はい!」


一方、エステルは手慣れた感じで野菜を洗っている。


「エステルさんは、大丈夫そうですね」


「は~い! 大丈夫で~す!」


ざ~、じゃぶじゃぶ、ざ~、じゃぶじゃぶ……

ざ~、じゃぶじゃぶ、ざ~、じゃぶじゃぶ……


そんなこんなで、野菜の水洗いが終了。


続いてリオネルは、包丁の使い方に注意をして貰いながら、

野菜の皮むき、薄切り、みじん切り、を教えた。


経験者のエステルは、普通に包丁が使えたが、

刃物という事もあり、ヒルデガルドはおっかなびっくり。


しかし、リオネルは敢えて注意をしなかった。

ぞんざいに作業してけがをするよりも、慎重に作業する事を優先したのだ。


野菜で経験を積み、ヒルデガルドは肉、魚の下ごしらえにも挑戦。


肉は加工済みの肉塊であったから、抵抗なく処理出来たのだが、

魚は少しだけ躊躇した。

生まれて初めて間近で見る、生でそのままの魚に臆したのである。


だがヒルデガルドは、リオネルにフォローして貰いながら何とか処理。


エステルも、同じくリオネルにフォローして貰いながら、

「今までで一番、上手に出来ました!」と笑顔。


「下ごしらえが全て終わりましたから、調理に入ります」


「はい!」

「はい!」


「下ごしらえ同様に、一連の作業は基本的に俺がやります。手伝いの必要がある時、おふたりには随時指示を入れます」


「「了解で~す!」」


っという事で、


じゃじゃじゃっ! じゃじゃじゃっ!


じゅ~ううう! じゅ~ううう!


じゅわわわぁ! じゅわわわぁ!


調理の合間にリオネルの指示が飛び、ヒルデガルドとエステルがフォロー。

ふたりはリオネルの手際の良さを見て、

「わあ!!」「凄い!!」と、大いに驚きながらもしっかりフォロー。


今回のメニュー数は結構なもの。

故国ソヴァール王国、フォルミーカの山猫亭で習ったアクィラ王国の料理に、

リオネルが見よう見まねで作ったアールヴ族の料理もある。


時間は……あっという間に過ぎ、遂に料理は出来上がった。


大きなテーブルの上に並べられた数多の料理は圧巻!のひと言。


量を食べたランチも既に完全消化。

空腹感が半端ない。


「さあ! 出来立ての温かいうちに食べましょう!」


リオネルの言葉を聞き、我慢に我慢を重ねていたヒルデガルドは、


「いただきます!」


と叫びながら、ぱくっ!とひと口。


もぐもぐもぐと咀嚼(そしゃく)すると、


「わお! おじいさまのおっしゃる通りでしたわ! すっごく美味しいっ!」


更に大きな声で叫んだのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説書籍版既刊第1巻~8巻大好評発売中!

《紙版、電子版、ご注意!第8巻のみ電子書籍専売です》

(ホビージャパン様HJノベルス)

※第1巻から8巻の一気読みはいかがでしょうか。


◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

既刊第1巻~5巻大好評発売中!

《紙版、電子版》

何卒宜しくお願い致します。

コミックスの第1巻、第3巻、第4巻は重版しました!

皆様のおかげです。ありがとうございます。

今後とも宜しくお願い致します。


また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。


WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が購読可能です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、

⛤『冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!』《完結済み》


⛤『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』《連載再開!》

⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのあ

る王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』《完結》

⛤『異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!』《完結》

も何卒宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ