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第588話「ありがとうございます! ありがとうございます!」

翌朝9時、リオネルとヒルデガルドは、武官、事務官を10名ずつ引き連れ、

とある村の近くへ転移した。


午前中、リオネルとヒルデガルドが転移した地点、

オークが跋扈していた領域(エリア)から、ほんの数キロばかり離れた村である。


いまだに慣れない転移魔法の反動で、

少々気分が悪くなった武官、事務官達であったが、

リオネルの回復魔法ですぐコンディションが復調。


ここでリオネルは、魔獣兄弟ケルベロス、オルトロスを召喚。

前後の守りを固めさせ、全員で歩き、村へ訪問する事に。


魔法鳩便の手紙が届いていたので、

村長に助役、村民30名ほどが、村の正門前で待っていた。


巨大な灰色狼に擬態した先頭のケルベロス、最後方のオルトロスを見て臆するが、

ここで武官たちの長、従士長が前に出る。


「おはよう! 村長! 事前に連絡した通り、ソウェル、ヒルデガルド様をお連れしたぞ!」


ここでヒルデガルドが、ささっと更に前に出て、にっこりと笑顔。


彼女は以前、オーク討伐において、武官に同行した際、

この村の先代村長には会った事はある。


だが、他の業務もあり多忙な為、その後は討伐を武官達へ任せていた事もあって、

しばしの間、この地域へ訪れてはおらず、現在の村長には初めて会う。


「うふふ、おはよう! 初めまして村長! ヒルデガルドです! 出迎えご苦労様!」


「は、ははっ! お、お初にお目にかかります! お、おはようございますっ! ソ、ソウェル、ヒルデガルド様っ!!」


初めてヒルデガルドに会う村長の言葉は嚙みまくりで上ずり、

腰は思い切り引けていた。

ただでさえ、ヒルデガルドの面前で緊張しているのは勿論、

巨大な灰色狼に擬態したケルベロス、オルトロスの魔獣兄弟にも臆しているらしい。


「さ、昨日! お、お手紙を拝見し、ご、ご訪問の趣旨は理解しておりますっ! お、お美しいご尊顔を拝見し! こ、光栄でございますっ! よ、ようこそっ! わ、わが村へ! い、いらっしゃいましたああ!!」


村長の物言いを聞き、ヒルデガルドは苦笑。

しかし、以前のヒルデガルドのようにいらついて怒ったりはしない。


「もう! そんなに緊張かつ心配しないで大丈夫よ。この狼2体はね、ここにいらっしゃる、リオネル・ロートレック様の召喚した忠実な従士です」


「え!? しょ、召喚した、ちゅ、忠実な従士いい!?」


「ええ、普通の灰色狼ではなく、正体は擬態した魔物なの」


「あ、わわわ……ま、魔物なんですかああ!?」


「だからあ~。魔物でも大丈夫なんだって! ちなみに、昨日、私もず~っと一緒だったけど何も害はないわよ。今回のオーク討伐にも参加して大活躍してくれたの」


「だ、大活躍ですか!」


「ええ、それより、もうそろそろ、貴方の村へ案内して貰えるかしら」


「は、はい~っ! 失礼いたしましたあ!」


……という会話が交わされた後、村長は一行を村内へ招き入れたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


これから、いくつもの町村を回らねばならない。


時間は限られており、歓迎式等余分なイベントは不要だと手紙にて伝えてある。


村長、助役、村民たちは戸惑っていたが、昨日の打合せ通り、

ヒルデガルドは、粛々と仕事を進めた。


かと言って、あまり無機質かつ事務的になってもいけない。


何せ、訪問の趣旨は、めでたいオーク討伐の戦勝報告なのだから。


そしてオークどもを含めた魔物の害を防ぐ岩石製防護壁の説明とお披露目である。


まず村の広場にて、論より証拠、

リオネルが収納の腕輪から出したオークどもの死骸を披露。

村民たちが大いに驚く中、念の為、オークの死骸に、

武官ひとりと魔獣兄弟を見張りにつけ……


一行は村長宅へ移動、改めて人間族のリオネルを紹介した後、

今回のオーク討伐の報告を行う。


聞けば、村長は、オークが占領していた土地には近寄っていないので、

何が起こったのか、知らなかったという。

ただ、岩石製防護壁が生成、造られる際の轟音は聞こえ、地響きは感じたらしい。


なので、報告後、村長たちへ更に質疑応答を行い、

不明点を失くし、村の現状も確認。

これまたリオネルが収納の腕輪から出した、

食料や生活用品等、救援物資も贈った。

村長たちが大いに喜び、感謝したのは言うまでもない。


これらの会話、やり取りは全て事務官が記録に残した。


ひと通り、話が済んだ後、見張りの武官、魔獣兄弟と合流。

オークの死骸も回収。

村長、助役、村民数人とともに、村外へ。


ここでリオネルが、転移魔法を発動。


全員で、岩石製防護壁の近くへ。

転移魔法初体験の村長、助役、村民達は、あわわわわと戸惑う。

一瞬にして、遠く離れた場所まで移動したから無理もなかった。


そして、これだけでは終わらない。


数日前は、ここにこんなものは影も形もなかったのに!

夢か、幻かとまたも戸惑う村長、助役、村民達。


また同行の武官、事務官も話だけは聞いていたが、

実際に岩石製防護壁を見るのは初めて。


まさに論より証拠。


「…………………………………………」


そびえ立つ、長さ100㎞、高さ20m、厚さ10m……

大河に備えられた巨大な護岸堤防のような威容を目の当たりにして、

既に見たリオネルとヒルデガルドのふたり以外、大いに驚き、言葉はなく、呆然。

全員、目は真ん丸、口はポカンである。


リオネルが目配せし、笑顔のヒルデガルドが頷き、説明する。


「このたびリオネル・ロートレック様により、長年跋扈していたオークどもは討伐され、またリオネル様がお造りになったこの岩石製防護壁は、越境し、イエーラへ侵入して害を為すオークを含めた魔物どもの脅威を大きく軽減すると思います。これからは国境沿いに暮らす皆が安心して過ごせる事が叶うでしょう。とはいえ、100%安全とはいえません。油断だけは禁物ですよ」


ヒルデガルドの言葉を聞き、村長、助役、村民達は、


「「「ありがとうございます! ありがとうございます!」」」


全員が深々と頭を下げ、感謝の意を示したのである。

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