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第583話「もう! いつまで跪いているの! さあ! 立って、立って! リオネル様を紹介するから!」

打合せを終えたリオネルは、武官へは、武術指導参加可能な者たちへの声がけを、

事務官へは商人の交渉、魔法鳩便の手配を指示。


指示を受けた武官、事務官は、仕事を遂行する為、急ぎ応接室を出てしまう。


リオネルも、ヒルデガルド、残った武官、事務官たちを連れ、

自分の部屋を出て、訓練場へ移動した。


まずは、戦利品の再展示を行う。


先ほど使った敷物は一旦訓練場の片隅に片づけてあったので、武官たちへお願いし、

再び同じように敷いて貰う事に。


準備が終わった後、おもむろに収納の腕輪から搬出。

敷物の上に、オークキング、オークの死骸、宝箱を置いた。


「これでよし、じゃあ宝箱を開けますよ」


リオネルが見る限り、オークどもの宝箱は、

通常の『物入れ』として使われていたようだ。


迷宮に置かれている宝箱とは違い、罠も仕掛けられていないし、

施錠さえされてはいないからだ。


ただ世の中に絶対はなく、100%安全とは限らない。

なので念の為、注意しながら慎重に、リオネルは宝箱を開ける事にした。


一番大きな、オークキングの部屋にあった宝箱から開ける。


リオネルが宝箱を開けるのを、ヒルデガルド以下アールヴたちは、

どんなものが入っているのかと、高まる期待を込めて、見つめていた。


ひどく熱い視線を感じ、リオネルは苦笑。


「あはは、あまり期待しすぎてはダメですよ。落胆も大きいですから」


そんな事を言いながら、ふたを「ぱかっ」と、開ければ……

オークキングの宝箱には雑多なものが、乱雑に詰め込まれている。


とりあえず、ひと安心……怨念が感じられない。

呪いのかかったものはなさそうだ。


リオネルは中の物をどんどん出して行く。


さすがに群れのボスであるオークキングの宝箱。

ガラクタに近い古びた骨とう品、さびついた武器防具、趣味の悪い雑貨品などがあったものの……金貨、銀貨、銅貨などの現金が結構ある。

それも現在は使われていない様々な時代のもの、更には正体不明な古びた石貨まで。


今使用出来る現金はそのまま回収。

それ以外のものは価値を鑑定して貰おうと決める。


そして大中小、いろいろな大きさの宝石。

ダイヤモンド、エメラルド、ルビー、真珠等々、種類は多い。

鉱石もたくさんある。

こちらも価値を鑑定した上で売却し、現金化である。


「皆さん、幸い呪いがかかったものはありませんし、金額的には、まあまあの収穫といったところです。現金、宝石、鉱石はそこそこの価値になりそうだし。事務官さんたち、検品して、リスト作りをして貰えますか」


「は、はい!」


事務官が返事をすれば、


「さてと、どんどん開けますね」


リオネルはそう言い、他の宝箱も次々に開けて行った。

同じように、中のものを取り出して並べて行く。


やがて、リオネルは全ての宝箱を開け、中身を出した。

オークキングの宝箱以外は、やはりというか、大したものは入っていない。


そのオークキングの宝箱の中身リストが出来上がり、リオネルへ差し出して来る。


ここでリオネルは、ヒルデガルドへ声をかける。


「ヒルデガルドさん」


「は、はい」


「現品とリストを付け合わせして、確認をお願いします」


「わ、分かりました」


ヒルデガルドと事務官で確認を始めてからまもなくして、

手配に当たった事務官が、訓練参加希望の武官たちとともに、

商人を3人ほど連れて来たのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


事務官に先導された商人たちは、訓練場へ入って来ると、

積み上げられたオークキング以下の死骸にびっくりした。


話は聞いていても、醜悪なオークどもの死骸を目の当たりにし、

大きなショックを受けたのである。


ヒルデガルドの姿を認めると、事務官を先頭にして、全員が速足で近寄って来た。


そして商人たちは、ヒルデガルドの前で、片膝ついて(ひざまず)き、


「麗しきソウェル、ヒルデガルド様! このたびのオーク討伐、誠におめでとうございます!」


リーダーらしき商人が、声を張り上げた。


対して、ヒルデガルドは笑顔である。


「うふふ、お疲れさま。忙しい中、わざわざ来てくれてありがとう。あいさつが済んだら、跪くのは終わり。立って楽にして」


「「「「え!!??」」」」


商人たちは、跪いたまま、驚き固まってしまった。


周囲の事務官、武官も同様である。


新たなソウェルとなったヒルデガルドは、先代の祖父イェレミアス以上に、

部下や下々の者たちと、けじめをつけるべく、一線を引いていた。


それゆえ、いつも無表情。

感情を全く表に表さない。


言葉遣い、態度などなど、礼に始まり、礼に終わる。

無駄口、冗談など、一切不要。


『厳粛』という文字がぴったり来るくらい、

ヒルデガルドの周囲の空気は、常にピリピリしていたのだから。


官邸出入りの商人へ、直接、しかもこのようにフレンドリーに話しかけるのは勿論、

加えて、いたわり、お礼を言ってくれるなど、全くもって信じられないのである。


「もう! いつまで跪いているの! さあ! 全員立って、立って! リオネル様を紹介するから!」


「「「は、はいっ」」」


ヒルデガルドに急かされ、商人たち3人は、立ち上がった。


そこへヒルデガルドが、がしっ!とリオネルの手を握り、引っ張ったから、

商人たちは更にびっくりしてしまった。


アールヴこそ最高、至高の種族で、唯一無二の存在。

誇り高いヒルデガルドが、ず~っと下に見る人間族の少年へ様付で礼を尽くし、

彼の手を、しっかりとつかんでいるのだから。


「いい? この方が、おじいさま……いえ、先代ソウェル、イェレミアス・エテラヴオリの推薦により、我がイエーラと契約した、ランクSの偉大な冒険者、リオネル・ロートレック様です」


「「「は、はい~っ!!」」」


「リオネル様はね、早速期待に応え、素晴らしい成果を上げられました。たった半日で、オーク2千体を討伐されましたから。ちなみに、私の目の前で、そのオークキングを、(こぶし)一発で倒したのですよ」


「「「えええ~~~っっっ!!??」」」


「という事で! この宝箱4つがオークどもが隠し持っていた戦利品! 貴方たちには、中身を出来るだけ高く、買い上げて貰うべく、ここへ来て貰ったってわけ! 宜しくね!」


ず~っと驚きっぱなしの商人たちへ、ヒルデガルドはそう言い、

にっこりと笑ったのである。

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