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第582話「はい、効率的にやれば大丈夫です」

リオネルとヒルデガルドは、オーク討伐から戻ったばかりなのに、

午後も仕事をする事となった。


しかし、このままリオネルとつきっきりで仕事をすれば、

普段ヒルデガルドが行っているソウェルの通常業務が、滞ってしまう。


それゆえ、とりあえずの緊急措置として、

手慣れた前ソウェルの祖父イェレミアスが『代行』となって引き継ぎ、

孫娘の業務を、当面受け持つ事にもなった。


また今後、どのように仕事の段取りを組むのか、

ヒルデガルドはイェレミアスの了解を得て、

リオネルにある程度の権限を持たせ、彼の裁量に任せる事にもした。


「リオネルさま」


「はい」


「おじいさまにご了承を頂きました。私がフォローしますから、リオネルさまのご判断で、どんどん仕事を進めて構わないとの事です」


ヒルデガルドが告げると、リオネルは「助かります!」と笑顔。


早速リオネルの指示により、武官と事務官が、数人ずつ打合せに同席する事に。


官邸では最上の客間であるリオネルの部屋には、

20人くらいが入れる大応接室がある。

この大応接室で打合せを行うのだ。


リオネルは部屋の応接テーブル上へ、地図を広げた。

午前中に行ったオーク討伐地域の地図である。


地図を指でなぞりながら、リオネルは言う。


「ええっと、大体ここから、ここまで、長さ100㎞の岩石製防護壁を魔法で造りました」


リオネルの話を聞いても、武官、事務官は半信半疑な雰囲気。

(あるじ)ヒルデガルドから確認済みと言われているから、

さすがに表立って否定したり、首を傾げたりはしないが。


いくら魔法を行使したとはいえ、100㎞にも及ぶ巨大な防護壁が、

わずかな時間で造られたのが、まだ信じがたい様子だ。


しかし、リオネルは、怒ったりはせず、話を進める。


「岩石製防護壁沿いにある町村の首長以下、住民たちへ、オーク討伐完遂の報告と、いきなり出現した岩石製防護壁の事情説明を行います。住民たちへ現状を理解、把握して貰い……結果、オークが討伐され、治安が向上した事、今後の治安維持として、岩石製防護壁設置の意義が伝われば、ヒルデガルドさんの、ソウェルとしての信頼と求心力が高まりますから」


対して、ヒルデガルドは勿論大いに納得、武官、事務官とも賛成の意思を示す。


全員の賛成を受け、リオネルは更に言う。


「善は急げです。早速、明日にでも当該地域へ出向きましょう」


きっぱり言い切ったリオネルは、事務官へ向き直る。


「事務官さん、訪問を記載した手紙を持たせ、緊急の魔法鳩便を、すぐ対象の町村宛へ放って貰えますか。いきなり前触れなく俺たちが訪問すると、先方も驚きますから」


「は! かしこまりました! リオネル様! すぐ手配致します!」


事務官の返事を聞き、笑顔のリオネルは更に話を続ける。


「宜しくお願いします。そして明日は、俺とヒルデガルドさんだけではなく、現場検証を兼ね、貴方達、武官さん、事務官さんにも、若干名の同行をお願いします。ちなみに全員の移動は俺の転移魔法で行います。出発時間は支障がなければ、午前9時くらいにしましょうか。俺はもっと早い時間でも構いません」 


こちらも、おおむねOK。

仕事の段取りがひとつ決まった。


「さて、次の段取りです。確認したいのですが、都フェフの中央広場に、オークの死骸を置けますか? 都の人々へ見せ、オーク討伐の完遂報告をしたいのです」


これもまさに論より証拠。

オーク討伐、戦勝の証拠として、中央広場へ死骸を置き、

国民に披露するという趣旨である。


「分かりました。問題ないと思いますわ」


リオネルの意図を理解し、ヒルデガルドはOKすると、

すかさず武官へ警護担当の割り当てを命じた。

警護を置かず、そのままオークの死骸を放置すると、

万が一、いたずらされたりしたら、困るからだ。


更にリオネルは尋ねる。


「次です。いきなりで申し訳ありませんが、これからの時間、官邸の訓練場は使用可能ですか?」


リオネルの問いに対し、ある武官が、「本日なら、いつでも可能です」と答えると、


「では、再び訓練場で、戦利品のお披露目を行いつつ、宝箱の処理と、武官さんたちへの武術指導を3つまとめて行いましょう」


「「「え!? 3つまとめて!?」」」


そんなリオネルの段取りを聞き、ヒルデガルド以下は驚いた。


3つまとめて一緒に行うなど、本当に可能なのか?と。


「はい、効率的にやれば大丈夫です。オークキングの死骸――戦利品のお披露目は先ほどと同じですし。戦利品を置いたら、宝箱を出して開け、中身を出します。そして開けた宝箱の中身の検品とリスト作りを事務官さんへお願いします。武具防具、古道具等、買い取り可能な商人は官邸へ呼べますか?」


対して、事務官いはく、候補の商人は何人か居るので、

すぐあたり、確認するとの事。


リオネルは頷き言う。


「宜しくお願いします。呼んだ商人が来るまで、俺が武術指導を行います。商人を訓練場へ連れて来て頂いたら、指導をいったん中断し、俺とヒルデガルドさんで面接を行います。取引が可能なら、宝箱の中身はそのまま商人へ売却します。もし条件の折り合いがつかなければ、取引は中止。後日、俺が適当な人間族の町へ行き、宝箱の中身を現金化しつつ、ついでに買い物もして来ます」


ここまで言うと、リオネルは、軽く息を吐く。


「そして武術指導の内容ですが……本日は基本的なトレーニング等々をした上で、まず剣技の基礎を、時間が余れば更に格闘術を教授します。ちなみに剣技の訓練には、これを使います」


ぱっと現れた……リオネルが収納の腕輪から、ひとつ取り出したのは、

切っ先と刃を潰した練習用の雷撃剣である。


イエーラ行きへ備え、フォルミーカの冒険者ギルドで大量購入したもので、

何と! 1,000振りを所有していた。


「そして明日以降は、随時、攻防の魔法も指導します」


食事の間中、ず~っと仕事の段取りを考えていたに違いない。


リオネルは、すらすらすらっ、と、よどみなくスケジュール調整をしたのである。

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