表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

577/761

第577話「まさに圧巻。 まさに圧倒的。 無抵抗に近く、あっさりと討ち取られて行くオークども」

従士たちに守られた『陣』に控えるヒルデガルドの視線を背に受けつつ、

リオネルは、歩いた。


まっすぐに、オークどもが潜む『巣』洞窟へ進んで行く。


状況は変わらない。


上位種も居るオークどもは相変わらず、巣の奥へこもったままである。


動きは全くなかった。


イエーラ領内でやりたい放題、傍若無人に振舞っていたオークどもは、

生まれて初めて相まみえる強敵、魔獣ケルベロス、ジズ、アスプたち、

従士が発する波動――闘気に気圧されているようだ。


更にリオネルが、オルトロス、ゴーレムも連れて来たから、

完全にびびっている。


こういう時は、大人しくじっとしてやり過ごす……嵐が通り過ぎるのを待つ、

というのが、彼らの生活の知恵らしい。


洞窟前には、先ほどからケルベロス、アスプたち20体が控えていた。


リオネルは、ヒルデガルドへ伝えたように簡潔明瞭に作戦を説明する。


従士たちは、すぐに作戦を理解したようだ。


作戦が周知されたら、ためらう理由はない。


そしてリオネルは、これまで何回か試したやり方を実行する事にした。


それは魔導発煙筒の遠距離からのセッティングである。

転移魔法を使い、発煙装置を起動させた魔導発煙筒を送り込むのだ。


リオネルは、起動紐を引き、しゅ~っと、起動させた魔導発煙筒を次々に転移。


オークの巣へ、ガンガン放り込む。


転移距離に幅を持たせ、魔導発煙筒を都合10本ほどを放り込むと、


すぐに、

もくもくもくもくもく……


と巣――洞窟の出入り口から、魔力を帯びた白煙が噴き出て来た。


魔導発煙筒は問題なく起動したようだ。


ここでリオネルは抜かりなく、煙が奥へ行くよう、弱い風の魔法を行使。


ぴゆ~っと、一陣の風が洞窟へ吹き込んだ。


噴き出ていた魔法煙は、洞窟の最奥へ押し込められた。

洞窟中に充満したはずである。


「これで良し」


手はずは整った。


風向きを読んだ上で、リオネルは、魔法煙が流れて来ない位置へ、

従士たちと共に移動、待機した。


一旦最奥まで届いた魔法煙が、再び出入り口から、噴き出して来る。


もくもくもくもくもく……

もくもくもくもくもく……


もくもくもくもくもく……

もくもくもくもくもく……


魔法煙が噴き出す勢い、量も増して来ている。


よし、計算通り、魔法煙は、ヒルデガルドさんの居る陣へ流れていない。

陣へ流れ込んだら、催涙効果で涙ぼろぼろになってしまうから。


引き続き、索敵はMAXレベルで、張り巡らせてある。


オークどもの動きは、手に取るように分かる。


……後は、待つだけ。


索敵は、魔法煙の動きさえ、把握可能。


そして刺激的な魔法煙に気付いたオークどもは大騒ぎ。


燻され、涙まみれにされる魔法煙を避けようと避けようと、出入り口へ向かい殺到。


リオネルは、ヒルデガルドへ、そして従士たちへ全員へ、

念話を使い、現在の状況を伝えたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


リオネルの連絡が済んで、しばらくすると、


うぎゃああ!! ぐああっ!! あぐああっ!!

うぎゃああ!! ぐああっ!! あぐああっ!!

うぎゃああ!! ぐああっ!! あぐああっ!!


もうたまらん!という雰囲気で、目をこすり、涙をだらだら流しながら、

悲鳴をあげ、巣から燻し出されて来たのはオークども。


結構な数であり、うじゃ、うじゃ、うじゃという形容がぴったりだ。


『よし! かかれっ!』


というリオネルの合図とともに、咆哮したケルベロス、

異音を発したアスプ20体が襲いかかる。


がはああっっ!!!


しゃ~っ!!!

しゃ~っ!!!

しゃ~っ!!!


従士たちが戦闘へ入ったのを見届け、

リオネルはムラマサを、しゅらっ!と抜く。


見事な刃文が入った白銀の刃が陽光を受け、ぎらりと輝く。


異世界ヤマト皇国より、次元を超え、この世界へやって来た、

インテリジェンスソード、太刀のムラマサ。


黒いさやは1mほど。

刀身は多分、約60㎝強といったところ。

柄は皮を巻き、その皮は丁寧に磨かれており、丈夫な糸で、

しっかりと巻かれていた。


フォルミーカ迷宮で戦って以来なので、

ムラマサを抜くのは久しぶりだ。


『おお! ようやく抜いて頂けましたな、我が(あるじ)、サムライマスター、リオネル様!』


『ああ、いきなりだが、仕事だぞ、ムラマサ。アールヴ族と締結した契約の一環で、オークども2千体を倒す』


『おおっ、契約でござるか! かしこまった! たかがオークどもなど、いくら居ても、リオネル様なら倒すのはたやすい事』 


『ああ、スキル・オークハンターがあるから、オークとはアドバンテージを持って戦えると思う。だが、油断はしないよ』


『ふむ、良き事です。勝って兜の緒を締めよ、という事ですな』


『ああ! そろそろ、行くぞ!』


『御意!』


だん!とリオネルは、大地を蹴った。


既にケルベロス、アスプにより、オークどもは次々と倒され、

かつ眠らされている。


魔導発煙筒で大混乱になった事から、全くの無防備、隙だらけである。


ずばっ! どかっ! ばしゅっ! 

ずばっ! どかっ! ばしゅっ! 

ずばっ! どかっ! ばしゅっ! 


ずばっ! どかっ! ばしゅっ! 

ずばっ! どかっ! ばしゅっ! 

ずばっ! どかっ! ばしゅっ!


威圧、フリーズで相手の動きを止め、魔法剣を駆使、そして蹴り、拳を打ち込み、

更には至近距離からの風弾。


ワレバッドの冒険者ギルド総本部サブマスター、

剣聖ブレーズ・シャリエを見て学び、習得した剣技、

師モーリス直伝の破邪聖煌拳(はじゃせいこうけん)

そしてスキル、攻撃魔法を織り交ぜ戦う。


これぞ、リオネルの魔法剣士バトルスタイル。


まさに圧巻。

まさに圧倒的。


無抵抗に近く、あっさりと討ち取られて行くオークども。


……やがて、白煙をかきわけるように現れた超大柄なオーク、

上位種オークキングが現れた。


こいつが群れの親玉、リーダーに違いない。


体長は3m、筋骨隆々の肉体。

体重は300㎏を超えているだろう。


身長約1,8mのリオネルからすれば、見上げる形となる。


しかし、リオネルは全く臆さず、ふっと、笑い、ムラマサをぱちん!と納剣。


一方、オークキングは魔法煙で涙だらだらながら、配下どもが倒された事を認識、


ぐはあおおおおおおおおおおおっっっっ!!!!!!!!


猛り憤怒し、凄まじい咆哮を発した。


そして大きな拳を振るい、リオネルを殴殺しようとした。


しかし!!!


リオネルは、動きを楽々と読み切り、オークキングの腕を右手でがしっ!とつかみ、


ごうわっ!と、カウンターでオークキングのどてっ腹へ、左ストレートを打ち込む。


敵の肉体を裂かずに、硬化した魔力で内面を撃ち抜き、大ダメージを与える攻撃技、

『貫通撃!!』がさく裂。


どっごおおおおおおおおおおおんんんん!!!!!!!!!!


リオネルの拳を腹に深々と受けたオークキングは、あっさりと吹っ飛び、

ごろごろごろと転がった後、がは!と血を吐き、ぴくりとも動かなかったのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説書籍版既刊第1巻~8巻大好評発売中!

《紙版、電子版、ご注意!第8巻のみ電子書籍専売です》

(ホビージャパン様HJノベルス)

※第1巻から8巻の一気読みはいかがでしょうか。


◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

既刊第1巻~5巻大好評発売中!

《紙版、電子版》

何卒宜しくお願い致します。

コミックスの第1巻、第3巻、第4巻は重版しました!

皆様のおかげです。ありがとうございます。

今後とも宜しくお願い致します。


また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。


WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が購読可能です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、

⛤『冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!』《完結済み》


⛤『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』《連載再開!》

⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのあ

る王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』《完結》

⛤『異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!』《完結》

も何卒宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ