表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

546/761

第546話「私の推すリオネル・ロートレック君をよろしく頼むとな」

エミリアが大絶叫するのも無理はない。


彼女が所属登録証をかざし、魔導精算機に示された討伐データの内容は凄まじく、

それに伴う討伐報奨金の額は『とんでもない数字』だったからだ。


一方のリオネルはいとえば、飄々としていた。


昔と違い、かさばる現金の支払いではなく、所属登録証へ記録し、入金。

そのままプールしておけるから、ありがたいと、のんびり考えていた。


「どうでしょう? エミリアさん」


リオネルがしれっと尋ねると、エミリアの顔色はショックで完全に変わっていた。


討伐の実績も素晴らしいものだが、問題は支払う討伐報奨金である。


「ど、ど、どうでしょう?じゃないですよ、リオネル様っ!!! それなりにって、なんですかっ!!!」


「ええっと……」


「た、確か!! リ、リオネル様が迷宮へ入る前はレベルが24!! それが今や倍以上の50じゃないですかっ!」


「レベル50……はあ、まあ、そうみたいですね」


「そうみたいですねじゃ、ありません!! そ、そして!! こ、この物凄い金額!! さ、さすがにわ、私だけでは!! しょ、処理しきれません!! 上司の承認が必要です!!」


「そうですか。まあ、魔物の討伐数は、確かに多いかもしれませんね。迷宮へ入ってから、地道にコツコツ倒しましたから」


「な、何、言ってるんですか!! ぜんぜんっ!! 地道にコツコツじゃあ、ありませんっ!! 急いで直属の上司を!! い、いえ! ギルドマスターを呼んで来ますねっ!! ちょっと待っててくださいっ!!」


大きく噛みながら、エミリアはそう言うと、バタバタと慌ただしく、

特別応接室を出て行ってしまった。


おおごとになりそうかな?

……仕方ないと思いながら、リオネルは待つ事にした。


この間に、妖精ピクシーのジャンを腕輪から出しておく。

地上への移動中、もしもはぐれたらとか、危険に巻き込まれないよう、

腕輪の中に待機して貰っていたのだ。


当然、常人にはジャンの姿が見えないような仕様であり、会話は念話である。


『ふ~。リオネル様、やっとおいらを外へ出してくれたね!』


『ああ、これからはジャンにもガンガン働いて貰うよ』


『うん! おいらに任せといて! で、これから、どうするの?』


『ああ、皆へ事前に伝えていた通りさ。フォルミーカへ3日間滞在し、用事を済ませてから、その後はイェレミアスさんとともにアールヴ族の国イエーラへ行く。イエーラの都フェフ正門前でティエラ様と待ち合わせだよ』


『その後は、現ソウェルのヒルデガルド・エテラヴオリに会うんだよね?』


『ああ、イェレミアスとさんと一緒に、ヒルデガルドさんに会う。いくらイェレミアスさんが一緒だといっても、いきなり訪問は、よろしくないから、イェレミアスさんから魔法鳩便を出して貰い、事前にスケジュール調整を行って貰うよ』


『了解! な~んかさ、おいら、ここまでの話を聞く限り、ヒルデガルドは高飛車なわがまま娘っていうイメージしか湧かないわ』


『う~ん、どうだろう? まあとりあえず、彼女に会ってみてから考えるよ』


そんな会話をしているうち、まだ興奮状態のエミリアに連れられ……


彼女の直属の上司のサブマスターが、

そしてフォルミーカ支部のギルドマスター、アウグスト・ブラードと、

秘書のイクセル・ベックが現れたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


途中から来た一行は、リオネルとあいさつを交わした。


そして、再度の討伐内容の確認を求めたのは、

エミリアの上司にあたるサブマスターである。


「エミリア、もう1度 、リオネルさんの討伐内容の確認をしてみたまえ。私とギルドマスターも確認をさせて貰う」


「はっ、はい! かしこまりました! サブマスター!」


直属の上司から命じられ、エミリアは慌てて、所属登録証を魔導精算機にかざした。


ぴぴぴぴ!

と音がし、魔導精算機の水晶部分に、

改めてリオネルの討伐データが浮かび上がった。


文字、数字が混在した討伐データをまじまじと見て、


「ああ!」


「おお!」


「ま、まさか!」

「これは!」


エミリア、上司のサブマスター、秘書のイクセル、

そしてギルドマスターのアウグストは、驚きの声を発した。


その驚きの度合いがやや抑えめなのは、

前もって、エミリアから報告が伝わっているからだろう。


またエミリアの報告内容が正しいのも間違いはないようだ。

やはり、そうなのかという納得の感情も、こもっていた。


「………………………………」

「………………………………」

「………………………………」


しばし、沈黙が部屋に満ちた。


最初に口を開いたのは、フォルミーカ支部の長たるギルドマスターのアウグストだ。


「リオネル君」


「はい」


「エミリアから報告を聞いた……さすがに最下層地下150階まで行くと、出現する魔物も凄まじいな」


「はい、まあ」


「迷宮では最強のドラゴン、巨人族を数多倒し、ゴーレム、オーガ、オーク、不死者(アンデッド)などなど、迷宮中の魔物を何でもござれだ。それも、各々がとんでもない討伐数だね、本当に素晴らしいよ」


「恐れ入ります。ギルドマスターにお褒め頂き、光栄です」


「うむ、依頼が完遂出来なかったのは残念だが、今回の討伐報奨金総額は金貨1,300万枚(13億円)を楽々と超える。早速、所属登録証へ振込手続きをしておくが、余裕で一生遊んで暮らせる金額だ」


リオネルは笑顔で頷く。

金貨1,300万枚(13億円)と聞いて、素直に嬉しい。


だが、ティエラの強権発動により、イェレミアスからゲットした契約金、

金貨1億枚(1兆円)には遠く及ばない。


なので、リオネルは冷静でいられた。


「ありがとうございます。とても嬉しいです」


「うむ、そして、これから報告、申請をした後に、ワレバットから総ギルドマスターのご返事を頂き、正式決定するのだが……ここまで勇者級の実績を残せば、リオネル君、君はランクSとなるのが確定だろう」


ランクアップを告げるアウグストの言葉を聞き、さすがにリオネルは驚く。


「え? 俺が? 依頼を完遂していないのに、ランクS……ですか?」


「ああ、この実績を見たら、反対する者などは皆無だろう。文句なしにランクSさ。この所属登録証に内蔵された討伐確認装置は嘘をつかないからな。ただただ、事実のみを示している」


「ただただ、事実のみ……」


「うむ、改めて納得したよ、リオネル・ロートレック君、君の底知れない実力にね」


「ありがとうございます」


「それに、ワレバッドの総ギルドマスター、ソヴァール王国貴族でもある、ローランド・コルドウェル伯爵からもご指示を頂いているからな」


「え? ローランド様から?」


「ああ、リオネル君が迷宮へ出発してからすぐ、魔法鳩便で私宛にご連絡を頂いた。アウグスト・ブラード君、私の推すリオネル・ロートレック君をよろしく頼むとな。実績を上げたら、すぐ私へ連絡をくれ。ランクアップを考える。わざわざ、そうおっしゃって来たのだよ」


慇懃無礼かつ、冷徹な態度を変えなかったアウグストが、丁寧な対応をするのは、

今回の討伐内容だけが原因ではなかった。


あのローランドから、書状を受け取り、

しっかりと上司命令も受けていたからである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説書籍版既刊第1巻~8巻大好評発売中!

《紙版、電子版、ご注意!第8巻のみ電子書籍専売です》

(ホビージャパン様HJノベルス)

※第1巻から8巻の一気読みはいかがでしょうか。


◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

既刊第1巻~5巻大好評発売中!

《紙版、電子版》

何卒宜しくお願い致します。

コミックスの第1巻、第3巻、第4巻は重版しました!

皆様のおかげです。ありがとうございます。

今後とも宜しくお願い致します。


また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。


WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が好評連載中です。

毎週月曜日更新予定です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、連載中である

⛤『冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!』


⛤『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』《連載再開!》

⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのあ

る王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』《完結》

⛤『異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!』《完結》

も何卒宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ