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第515話「魔法の黒雲は消えて行き……辺りはまた温かな光に満ちる」

アクィラ王国フォルミーカ迷宮の深層地下145階層において、

地上世界と同じような白い雲が天井付近に浮かんでいるのを発見したリオネル。


しかし、やはり普通の雲ではなく、濃い魔力を帯びた不可思議な魔法雲であった。


火竜ファイアドレイクと鳥の王ジズを突っ込ませ、『力づくでの確認』を提案したケルベロスであったが……リオネルは保留。


ケルベロス達仲間全員と、しばらく様子を見守る事としたのである。


かといって、敵はスルーしたり、待ってはくれない。


ドラゴンどもや、巨人族の襲撃に備え、戦闘態勢を取らせたまま……

リオネルは仲間達へ待機を命じた。


当然ながら、リオネル自身も、敵の接近を捕捉する為、

索敵――魔力感知は広大に、最大限レベルで張り巡らせてある。


そんなこんなで……

30分ほど、リオネル達は待った。


すると、やはりというか、雲に変化が生じた。


リオネルと仲間達が見守る中……


真っ白だった雲は徐々に水分を含み、暗い色を帯び……

辺りは暗くなって、地上の雨雲同様黒雲となり、ぽつぽつと水滴を落とし始めたのである。


『おお、やはりか!』


事前に噂話を聞いたり、書物、冒険者ギルド等の資料を読み、知識はあったとはいえ……


石造りの人為的な120階層までの迷宮を探索した後、

121階層へ足を踏み入れ驚いた。


天井まで100m以上もある巨大洞窟のような広い空間が広がっている。


その天井から、日光のような高魔力の暖かな明るい光がふりそそぎ、

さわやかな風が吹き込む。


地上は大木が「うっそう」と生い茂った深い密林が殆ど。


ところどころ、川に沼があり、峡谷のような岩場や荒涼な原野、砂漠も混在して見える。


複雑で不可思議な地下庭園という趣きである。


話や持っていた知識のイメージよりも遥かに 、地上の風景に近い。


この風景を目の当たりにし、その後、ドラゴン、巨人どもを倒しつつ、探索をし、

キャンプ地で休憩をしつつ、リオネルは考え、推測した。


この深き地下迷宮において、生物が生きて行く為には、様々な条件が合致しなければならない。


つまり、魔法を始め、不可思議な力と技術で、この地下庭園は運営されていると。


人為的な魔法雲により雨を降らせ、

同じく人為的な魔法光により、数多の植物と生物をはぐくむ。


その推測を、人為的に『雨』を降らすこの魔法雲を見て、実感した。


迷宮らしからぬ地下121階層から150階層の庭園の秘密が少しずつ見えて来たと。


この秘密の鍵は、人間族未踏の領域、地下151階層以降にあると考える。


そして、高性能のゴーレムを使役するアールヴ族の魔法使い、イェレミアス・エテラヴオリは、この迷宮の秘密を知りうる存在かとも思う……


しかし、リオネルの心のうちにあったのは、単なる驚きと推測だけではない。


天候を操り、地形を創造し、生物を繫栄させる……

偉大なる創世神や天の使徒、高貴なる4界王が持ちうる未知なる魔法の偉大な力。


その「偉大なる力を探求し、その秘密に迫ってみたい」という、

熱い願望も、リオネルの心の内には、ふつふつと湧きおこっていたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


雨雲となった魔法雲から降る雨粒はどんどん激しくなり、豪雨となっていった。


魔法雲は更にいくつも増え、あちこちで雨を降らせている。


これまでの探索において、リオネルが『雨』を経験した事はなかった。


どうやら、久々の雨らしい……


水がなくては、生物は生きていけない……


植物、動物ともども、全てが喜びの波動を発していた。


人間の言葉を発しない魔族と意思疎通をし、4大精霊の加護を受け、

リオネルは植物、動物の思念も感じる事が出来るようになっていたのだ。


ここでふと思いつき、念の為にと、リオネルは収納の腕輪からいくつか樽を出し、『雨水』を貯めておく。


リオネルが見るところ、雨は局地的に降っているようだ。


身体を濡らさないようにと、仲間と共に、巧みに雨雲を避けたリオネル。


やがて……雨は降りやんだ。


魔法の黒雲は消えて行き……暗くなった辺りはまた温かな光に満ちる。


この光も、地上の太陽光に匹敵する不可思議な魔法光なのだ。


さてさて!


雨は様々。

うつうつとした雨もあれば、気分転換になる雨もある。


今回の雨は後者のようだ。


降雨を見届けたリオネルと仲間達は、

雨水をいっぱいに貯めた樽にしっかりとふたをし、

再び収納の腕輪へ搬入、出発する事にした。


リオネルは念話で、仲間達へ指示を出す。


『ようし! 雨もやんだな。145階層の探索を再開するぞ。さあ、出発だ!』


対してケルベロス達仲間も、


『うむ! (あるじ)よ! 出かけるとしよう!』


『リオネル様! 150階まではもう少しだよ!』


『!!!!!!!!』

『!!!!!!!!』


元気な声で応え、再び飛び、歩み始めたのである。

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