第514話「いつものペースで145階層を探索するリオネルだが、違和感を覚える」
引き続き地下144階層の探索を行うリオネル達。
いつものように、リオネルはシーフ職スキルを駆使し、
『隠形』『忍び足』で、すっ、すっ、すっ、と空気の如く進む。
もしも障害物があれば、転移、飛翔の失われた魔法、
ジャンプ、幅跳び、高所からの落下、木登りし樹上にての軽業など、
確信を得た超人的な身体能力を行使し、楽々と進んで行く。
索敵――魔力感知を最大範囲で張り巡らせ、外敵への警戒も怠らない。
飛竜ワイバーンを倒したリオネルだが、再び敵はガンガン襲って来る。
ドラゴン、ワイバーンと戦ったら、今度は、巨人族オンパレードという趣きだ。
しかし!
ここでもムラマサが、その威力を発揮する。
リオネルのひとつの推測。
話を聞き、鬼の特徴を照らし合わせれば……
この世界での巨人族は、異世界ヤマト皇国における『鬼』にあたる。
鬼ならば、ムラマサは得手としている。
巨人族に対し、結構な強さを発揮するのではないかと。
果たして……その推測は当たった。
『退魔刀』と並ぶもうひとつ、『鬼斬刀』という称号の通り、
オーガの最上位種オーガキング、妖精の成れの果てと言われるトロル、
獣頭の巨人フォモール、そして北の大巨人ヨートゥンの群れ全てを、
ムラマサは、あっさりと斬り捨て、屠ったのだ。
冒険者達には、死を招く脅威以外の何物でもない怖ろしい巨人族も、
ムラマサを携えた今のリオネルには全く歯が立たなかった。
なぜならリオネルの超人的な速度、底知れぬパワーを伴う身体能力に、
巨人族がついて来れないのに加え……
ありとあらゆる魔法力が付呪されたムラマサの切れ味が、
とんでもなく凄まじいかったからだ。
巨人族との戦いを終え、リオネルは実感する。
やはりムラマサは魔族は勿論、特に鬼……巨人族に対し、優位性を保持していると。
そんなこんなで、ドラゴン族、巨人族と、何度も戦いを重ね、
リオネルとムラマサの『息』はぴったり。
剣技を始め、属性魔法、破邪魔法を付呪した魔法剣も、
ガンガン熟練度を上げて行く。
敵を斬っては塵に、斬っては塵に、の繰り返し……
『うむっ! まさに向かうところ敵なし! いい気になりすぎるのは良くありませんし、油断大敵ですが、改めて認めましょう! 素晴らしいですぞリオネル様! 我が主! 偉大なるサムライマスターよ!』
強さを改めて実感したムラマサが、饒舌となり、リオネルを称えた瞬間。
リオネルの心の中で、あの独特のランクアップファンファーレが鳴り響き、
内なる声が淡々と告げて来る。
チャララララ、パッパー!!!
リオネル・ロートレックは、レベル『44』に到達しました。
チートスキル『エヴォリューシオ』の効果により、
身体能力、五感が全般的に大幅アップしました。
体内魔力が大幅に増量しました。
魔力回復力が大幅にアップしました。
魔法攻撃力が大幅にアップしました。
物理攻撃力が大幅にアップしました。
対魔法防御力が大幅にアップしました。
対物理防御力が大幅にアップしました。
チートスキル『エヴォリューシオ』の効果により、
剣技スキルの熟練度が大幅にアップしました。
属性魔法剣のスキル熟練度が大幅にアップしました。
対不死者魔法アンチアンデッドマジック剣技、
『破魂剣』の熟練度が大幅にアップしました。
内なる声を聞き終わり、リオネルは魔法剣士として、
バージョンアップしたのを実感しつつ、
『ムラマサ、お疲れ! ああ、確かに油断大敵だ。有頂天になり、脇を甘くしてはいけない。勝って兜の緒を締めよだな』
ムラマサを労り、柔らかく微笑んでいたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
……迷宮に入った時は、レベル24。
一気にレベル20も上乗せ。
『レベル44』となったリオネルは、
地下144階層の探索を終え、階段を降り、地下145階層へ……
この地下144階層において、ドラゴン族、巨人族との戦いを順調にこなし、
レベルアップはしたものの、大した発見はなかった。
ストーンサークルを備えた古代遺跡もいくつかあり、丹念に調べたが、
アールヴ族の魔法使い、イェレミアス・エテラヴオリが命じて行っている、
果実等の収穫作業のわずかな痕跡があったのみである。
地下145階層において、いつものペースでを探索するリオネルだが、違和感を覚える。
東方の遥か高い、フロアの天井近くに、巨大で真っ白な『雲』が浮いていたのだ。
『え? いや、あれってもしや雲? この地下迷宮に、地上世界の空に浮かぶ雲があるのか? ……それにしても、結構な魔力を感じるぞ……魔法雲か!?』
ここで、魔獣ケルベロスから報告が入って来る。
『主よ! 気がついたか? 東方に浮かぶあの雲は魔力を帯びた人為的な魔法雲だ。自然により生み出されたものではない』
リオネルが推測した通りの事をケルベロスは告げた。
更にケルベロスは言う。
『帯びた魔力に悪意を感じないから危険はないと思うが、確認の為、あの雲へ、ファイアドレイクとジズを突っ込ませるか?』
雲自体に危険はないというケルベロスの見立てにリオネルも同意だ。
しかし、ファイアドレイクとジズを突っ込ませるメリットを感じない。
リオネルは首を横へ振り、
『いや、その必要はないよ、ケルベロス。現状のまま、しばらくあの雲の様子を見よう』
と、穏やかに指示を出したのである。
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