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第510話「ふむ……成る程、それでこの広い場所を選んだのか。納得した」

『この地下143階層の探索を終了していないが、ほぼ予定をクリアした。今日は探索終了だな』


リオネルはそう言うと、柔らかく微笑んだ。


しかし、自我、意思、知性を持つ刀剣インテリジェンスソードのムラマサは、

大いに不満そうである。


『リオネル様! いや、マスター。午後5時など、時間は全然早いし、第一明るい。夜まで、まだまだ戦えますぞ!』


(あるじ)と認めたリオネルと邂逅し、張り切り、戦う気満々なムラマサ。


正体不明な魔法の光りらしき?ものこそあるが、

太陽の光が射さない、この地下迷宮に昼夜の区別はない。


そう、リオネルがしっかりと教えたのに、ムラマサはすっかりと忘れていた。


『ははは、ムラマサ。今日は終了だよ』


『む!』


『お前のやる気をそぐようで申し訳ないが、レベルアップして、きりもいいし、大体この時間で終わらせる事を決めているんだ』


『うむむむ……』


『さっきお前にも告げておいたが、見つけておいたキャンプ地へ行くぞ』


『……………』


『キャンプ地では、休みがてら、改めて仲間達と触れ合い、コミュニケーションを取ってくれるか』


『わ、分かりました……』


ということで、オルトロス以下、仲間達へも念話で指示した上、リオネルとムラマサは、事前に見つけておいたキャンプ地へ。


そのキャンプ地は、いつもリオネルがキャンプを張るよりも、

だいぶ開けた場所である。


周囲は深い密林だが、ここは何かの原因か、木々はほとんどなく、

小さな草原のようになっていた。


ムラマサは、自分の気持ちに生じた懸念を伝える。


『マスター、申し上げますぞ。ここは地形は勿論、遮蔽物(しゃへいぶつ)など、身を隠す場所が殆どない。とても開けっ広げな場所だと思います。敵襲に対し、あまりにも無防備ではないでしょうか?』


ムラマサは博識で聡明なインテリジェンスソードである。

リオネルへ、この場所の危うさを進言したのだ。


そんなムラマサの心遣いがリオネルには嬉しい。


『ああ、ムラマサ。お前の言う通りさ。この場所は本来、キャンプ地に適した場所ではない』


『むむむ、であれば! 何故この場所を選んだのですか?』 


『……いや、いろいろ考えるところがあってさ』


『む! いろいろ……考えるところ?』


『ああ、いろいろな。さっきは、仲間達に対し、ムラマサは中途半端なあいさつになっただろう?』


『まあ、確かにそうですが……』


『今、このタイミング、この場所がちょうど良いと思ったんだ』


『そ、それはどういう?』


『現在、この地下143階層フロアにおいて、俺の索敵には、人間族の気配を全く感じない。俺達が何をしても地上の人間界に漏れる可能性は限りなく少ないと思う』


『………………………………』


『だから、今後の事もあり、休憩組も含めて、お前にちゃんと紹介しておこうと思ったんだ』


『………………………………』


『さすがに全員を紹介は無理だけどな。魔獣アスプは、200体も居るし、おいおいと順番にだ』


『………………………………』


『ゴーレムもたくさん居るけど、自我がないし、お前を敵対しない味方だとしか識別しない。俺の魔力波動で動くからな、だからサンプルで数体出すよ』


『………………………………』


新たな主リオネルは、戦いにあけくれ、強くなる事を目指すだけではない。


新加入のムラマサにコミュニケーションを取らせようとしていたのだ。


しっかりと仲間の事、先の事を考えている。


但し……どうして、このような開放的な場所を選んだのか、

ムラマサには疑問だったのだが……


穏やかに微笑むリオネルに対し、ムラマサは言葉が出ず、無言だったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


……いつもならば、探索を終了後、休憩組と交代し、周囲の巡回を行うのであるが、


今日はそのままケルベルスの弟魔獣オルトロス、ミニマム竜に擬態したフロストドレイク、魔獣アスプ20体が行っていた。


リオネルが、キャンプの支度をし、食事を作っている途中で、

オルトロス達が戻って来た。


報告は代表して、オルトロスが行う。


(あるじ)! 俺達がドラゴンも巨人も威嚇して遠くへ追い払って来た。アールヴが操る例のゴーレムも居ないのは勿論だが、人間族も影も形もねえぞ』


『ありがとう、オルトロス! 皆、お疲れ様! これで大丈夫だな……それと皆に頼みがある』


リオネルの言葉にまず反応したのもオルトロスである。


『おう! 何だ? 主よ!』


『ああ、お前に報告して貰った通り、現在ここらには俺達しかいない。お前とフロストドレイクは、ずっと擬態じゃ、窮屈だろ?』


『おお、分かってるじゃないか!』


『だろ? だからさ、新たな仲間になったムラマサに、お前達本来の姿を見せてやってくれないか』


『ふむ……成る程、それでこの広い場所を選んだのか。納得した。ま、アスプはそのままだな』


オルトロスが言い、他の仲間へ呼びかける。


『おい! フロストドレイク! 我が主が! 俺とお前の擬態を解けとよ!』


まず、オルトロスがぶるぶるっと身体を震わせた。


次にオルトロスの言葉を聞いた、フロストドレイクも身体を震わせた。


すると!


『うわあああああっっっ!!!???』


擬態を解いたオルトロス、フロストドレイクを目の当たりにして!

驚愕したムラマサは大声をあげてしまった。


何故なら!!

ムラマサの目の前には……

体長10mをゆうに超えた漆黒の巨体にふたつの首を持ち、

たてがみの全てと尾が蛇という、たくましい魔獣オルトロスが……


そして真上には、体長30m以上ある巨竜フロストドレイクが、

ゆうゆうと宙を舞っていたのである。

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