第490話「よし! とガッツポーズ! リオネルは更に自信を深めた」
リオネルは、131階層から135階層までのフロアをクリア。
レベルもふたつアップし、『38』としていた。
探索を終え、リオネルは、満足感でいっぱいである。
俺は順調に成長していると。
今の自分が、本来の自分のように感じる。
全く違う別人のようにも思えてしまう。
魔物との戦いを怖がり、臆していた少年はもう居ない。
ドラゴンにも、巨人にも立ち向かう戦士がここに居る。
感覚的なものだけでなく、数字も裏付けしていた。
現時点での身体能力のリミットを確認出来た事に加え、
いつもの通り、魔法、スキルの熟練度も上げ、結果レベルも『38』に。
各パラメータも大幅に増え、立てた目標のレベル『40』まで、
マジック2となった。
また、地下1階層から探索を開始し、発見した宝箱の数えきれないほどの中身は勿論、倒したドラゴンの死骸は80体を超え、『戦利品』も着実に増えていた。
とりあえず、『戦利品』は全て収納の腕輪へ搬入だけしてある。
宝箱の中身は、現金、武器防具、アミュレット、アクセサリー、魔法ポーション、
金塊、宝石、古銭などバラエティーに富んでいた。
価値はピンキリだろうが、後で検品し、じっくりと確かめるのが楽しみだ。
そして150階層までは、後『15』……
高難度の謎解きが待っている。
キャンプ地を確保し……キャンプを設営。
すぐに仲間達と自分用の、食事の支度を始める。
まもなく食事が出来上がり……
本日リオネルとともに探索した仲間達、
ケルベルスの弟魔獣オルトロス、
ミニマム竜に擬態したフロストドレイク、
魔獣アスプ20体は、食事を摂って貰った後、『交代』して休憩に入る。
弟と入れ替わった冥界の魔獣ケルベロス、火の精霊サラマンダーに擬態した火竜ファイアドレイク、1mの鷹に擬態した鳥の王ジズ、妖精ピクシーのジャン、
新規のコブラ蛇のような魔獣アスプ20体はウォーミングアップがてら、
周囲の偵察、警戒にあたる。
そんなローテーションも、リオネルがいちいち指示を出さずとも、
当然のごとく、自然なものとなっている。
仲間達の休憩、交代が円滑に行われ、適材適所のモットーが浸透。
各自が自分の持ち味を認識し、何が適しているのか、何をやるべきか、
役割を自覚していた。
それだけ『主』リオネルと仲間達の『絆』が深く、強固な証であろう。
……出撃してから30分ほど経過し、
ケルベロス、ファイアドレイク、ジャン、アスプ達が、巡回から、戻って来た。
リオネルは、用意していた食事を彼らへふるまい、
その後、明日の打合せをし、寝袋へ入り、就寝したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
翌朝もリオネルは早めに起床。
立てた今日の目標は、地下136階層へ降り、136階層を抜け、140階層クリアまで、
昨日と同じ、5階層クリアを目指す。
本日もリオネルは、限りなく人間離れした身体能力を活かし、
探索する事を決めていた。
「昨日発揮した身体能力がまぐれではないのか」確かめたかったのだ。
逆に、昨日の経験があるから、全てがスムーズである。
まずはジャンプ、幅跳び。
助走ありなしを織り交ぜ、5mから最大50mまで、
あらゆる地形でその跳躍力をいかんなく発揮した。
セットとなる落下も5mから100m。
100mの崖から、落ちた時はまずノーマルに、
また空中で回転しながら、軽業師のように、すたっと降り立つ訓練もした。
高所100mの落下では着地の際、足が少し、しびれたがどうという事はない。
当然、滑空も自由自在、空中をすいすい泳いだ。
動物から得た能力もガンガン使う。
今や、全てがその動物達に匹敵する能力か、軽く凌駕していた。
1kmを見通す『大鷲の視線』、
『狼』『犬』が持つ、けた外れの嗅覚、人間以上の聴覚。
わずかな光源で闇を見通す『猫』の夜目、『リス』並みの樹上での素早さ、
そして『馬』を遥かに超えた最大、時速150kmの走力。
『狼』に匹敵する約300kmを一度に走り抜くであろう持久力。
やはり!
昨日の能力発揮は『まぐれ』ではなかった。
よし!
とガッツポーズ!
リオネルは更に自信を深めた。
もしも転移魔法、飛翔魔法が使えない状況へ陥っても、
身体能力で、文句なくカバー出来そうであると。
地上へ戻ったら、上手く使い分けも出来そうだ。
この日もリオネルは絶好調。
当然というのか、仲間達とともに、
数多のドラゴン、竜族、そして巨人族を倒していた。
……そんなこんなで、時刻は午後5時となり、本日の探索は終了。
リオネルは、予定通り136階層から140階層までのフロアをクリア。
レベルもふたつアップし、『40』とし、あっさりとマジック2を消した!
立てたばかりの『当面の目標』を、『早くもクリア』していたのである。
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