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第489話「リオネルの身体能力は、まだまだ向上するのだ。 限界が……底が全く見えない」

……気合を入れ直したリオネルは、軽快に進んで行く。


今日の探索は地下131階層からの開始である。


121階層から、130階層まで、仲間、及び敵、動物以外の視線がない事もあり、

リオネルは思う存分、失われた古代魔法『転移』『飛翔』を使いまくり、

全てのエリアを走破して来た。


しかし、1日に最大5つもの、円滑な領域クリアが可能であったのは、

失われた古代魔法行使のせいだけではない。


リオネルの身体能力が向上し、限りなく人間離れしていた為である。


何せ、魔法の力を借りるとはいえ、一撃でドラゴンを殴殺するのだ。

とんでもない化け物レベルと言っても過言ではない。


元々、運動神経や身体の鍛錬が『いまいち』どころか、『いまに』のリオネル。

魔法学校の同級生からは、『ひ弱な坊ちゃん』と、陰口を叩かれていた。


だが、超レアチートスキル『見よう見まね』で習得した、数多の動物能力が、

リオネルの身体能力を著しく強力にするきっかけとなった。


転移魔法、飛翔魔法の習得以前、

『見よう見まね』で各種動物の能力を得たリオネルは、単独旅の際は、

馬や馬車をあまり使わず、身体能力の鍛錬を心掛け、徒歩及び駆け足で移動した。


敵と戦う為の武技、格闘の地道な訓練も数多く加わり、

結果、リオネルの身体能力は、ビルドアップし、

とんでもない化け物レベルとなっていたのだ。


考えた末、新にリオネルが立てた課題とは、改めて身体能力の限界を見極める事。


この自然のフィールドを存分に使おうと決めたのである。


それゆえ、身体能力のみで、クリアが不可能な場合のみ、

転移、飛翔を使うという縛りをつけた。


とはいっても敵襲はあるので、索敵、視認は欠かさない。


さあて!

スタート!


草原で助走し、ジャ~ンプ。


ウサギの持つ跳躍能力で垂直に飛び上がる能力も、

度重なるレベルアップで著しく向上。助走なしで、軽々と20mジャ~ンプ。

助走したら、何と! 何と! 何と! 

約50mの高さまで飛び上がる事が出来たのだ。


ちなみに幅跳びも50m越えをクリア。


ただ50mの高さまで飛び上がり、びっくりしたリオネルは、

さすがにけがを怖れ、落下の際、飛翔魔法を使い、ゆっくりと降り立った。


その後、既に試していた20mの高さからの降下を試し、30m、40mを楽々クリア。

更に50m、60m、70m、80mまでも問題なくクリアしたのである。


これなら、100mの高所から飛び降りても大丈夫。

「足が少ししびれるくらいだろ」と、平気の平左。


また滑空も上手く行き、空中をすいすい泳いだ。


大きな街や城館の堀や壁も、リオネルの前では全く役に立たない。


これでは、東方の冒険者職『忍者』も裸足で逃げ出すだろう。


この身体能力は、地上その他で、飛翔、転移の魔法を秘する際は大いに役立つと、

リオネルは大満足であった。


当然ながら、魔法やスキル同様、

基本的には目立たぬように、身体能力も使うつもりではある。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


引き続き、リオネルは身体能力の極限を試して行く。


『大鷲の視線』は、遮蔽物さえなければ、約1km先まで見通し、

対象をしっかりと捉える。


『狼』『犬』が持つけた外れの嗅覚は香り、臭いをかぎわけ、

聴覚も人間の何倍もある。

これらは任意で使えるのがありがたい。

必要がない時は、人間レベルモードに戻す事が出来る。


『猫』の夜目はわずかな照度さえあれば夜間も見通せた。


樹上での素早さ、身のこなしもリス並みである。


そして、野生的な危機回避能力を有しているのも確認が出来た。


最後は何といっても走力だろう。


先ほど助走した時に自覚はしたが、改めて草原で走ってみる。


イノシシの突進力もあり、あっという間に、走り抜けてしまったが、

時速150kmを楽々と超えていた。


しかし、地下階層には数kmにわたる長い一本道がない。


だから、高速での持久力は残念ながら試せなかった。


しかし時速60km平均で、あらゆる地形を5時間以上走っても全然疲れない。


狼以上の持久力習得は確実であろう。


更に驚愕すべきなのは、リオネルはまだまだ余裕、

自身にはっきりとした伸びしろを感じていた事。


リオネルの身体能力は、まだまだ向上するのだ。

限界が……底が全く見えない。


身体能力の限界を試しながら……

当然というのか、リオネルは仲間達とともに、

数多のドラゴン、竜族、そして巨人族を倒していた。


そんなこんなで、時刻は午後5時となり、本日の探索は終了。


リオネルは、131階層から135階層までのフロアをクリア。

レベルもふたつアップし、『38』としていたのである。

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