第487話「まだまだ時間はある。 もうひと頑張りするか!」
レベルを『33』とし、各種パラメータも順調にアップ。
そして、ギフトスキル『ドラゴンスレイヤー』の能力も上がり、
……満足の出来る結果を出したリオネル。
いつものように、キャンプ地に最適な空き地を見つけ、設営をした後……
食事、メンバーチェンジ、明日の簡単な打合せを行い、就寝。
翌朝早めに起床。
今日の目標は地下126階層へ降り、126階層、127階層を抜け、
128階クリアまでを目指す。
……最低でも3フロアクリアを目指す。
そう決めて、支度をし、朝食を摂り、リオネルは出発した。
交代したメンバーは、
火の精霊サラマンダーに擬態した火竜ファイアドレイク、
1mの鷹に擬態した鳥の王ジズ、
更に交代を断った、やる気満々、妖精ピクシーのジャンが空中から探索。
地上は、冥界の魔獣ケルベロス。
そして昨日とは入れ替わったコブラ蛇のような魔獣アスプ20体がカバーする。
さあ! やるぞ!
目指せ! レベル『40』!
昨日レベル『33』となったリオネルは、この迷宮クリアまでに、
レベル『40』到達を目指す事にしたのだ。
ドラゴン、竜族及び巨人族は経験値が高い。
順調に行けば、問題ないはずだ。
気合を入れ直したリオネルは、軽快に進んで行く。
121階層からほぼ同じ地形である。
油断は決してしないが、勝手知ったる場所という感覚でガンガン進んで行く。
改めて考える事がある。
迷宮の中に、このような地形が生まれ、存在する理由は分からない。
自然の一部なのか、人為的なものが加わっているのかも全く不明。
しかし、水がたっぷりあり、食用の実がなる植物が生い茂り、同じく食用となる動物が存在する。
……こういった状況から、アールヴの魔法使いイェレミアスが、
「どのように暮らしているのか?」とリオネルは、想像したのだ。
地上と同じようなこの自然環境があれば、この121階層から149階層間で、
探索するイェレミアスが、修行も兼ね、食材及び資材を確保しているかもしれない。
その際、リオネル以上に地形と敵を知り尽くしたイェレミアスは、
習得した高位魔法とスキルを駆使、人間に近いゴーレムも、
手助けをする忠実な配下として使い、自身を鍛えた上、楽々と確保しているだろう。
食材、資材を確保しないだけで、今のリオネルと同じである。
そう考えると、イェレミアスの魔力残滓が各フロアにあった事も辻褄が合う。
それゆえ「地上じゃないと手に入らないモノ」を除けば、
普通に生活していけるのではないかともリオネルは、考える。
かつてその「地上じゃないと手に入らないモノ」を、
フォルミーカ地下街の片隅ににある古い造りの地味な魔道具店 クピディタース。
店長で、元冒険者の魔法使いボトヴィッド・エウレニウスが届けていたのだ。
ボトヴィッドの代わりを誰かが引き継いだのか、
それともイェレミアスが自分で作り出しているのかも不明だ。
それとも、「なければないで構わない」と開き直り、達観しているのか……
まあ、イェレミアスに会えて、話が出来ればはっきりする事だ。
リオネルは、そう思いながら、探索を続けたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
リオネルは、いつものようにシーフ職スキルを駆使し、
『隠形』『忍び足』で、すっ、すっ、すっ、と空気の如く進む。
索敵――魔力感知を最大範囲で張り巡らせ、外敵への警戒も怠らない。
地下149階層まで、出現する全ての魔物と対戦し、屠ったリオネル。
相手を知り尽くした上、索敵、視認など敵の捕捉も万全。
単独で戦ったり、仲間と連携して戦ったり、または仲間に全て任せたり、
自由自在に戦う。
また地形も完全に手の内に入れ、いくつか瘴気に満ちた地も魔法で浄化。
更に探索のペースを上げて行く。
地下126階層をクリア、127階層へ、更に127階層をクリア。
本日目標の地下128階層へ……
地下128階層の探索が終わりに近づいた時には、
当然というか、ドラゴン――竜族及び巨人族を数多倒していた。
ここまでで、リオネルのレベルも順調過ぎるほどアップ。
『33』から、『34』そして『35』と一気にふたつもアップしたのだ。
各種パラメータも順調に上がった。
そして収穫物として、ノーマルタイプのドラゴンの死骸も50体近くを確保。
リオネルが、一生遊んで暮らせるくらいの財産といっても、過言ではない。
だが、収納の腕輪はまだまだまだ……余裕がある。
時刻は午後2時。
まだまだ時間はある。
もうひと頑張りするか!
一応仲間達にも確認しようか。
対して、探索継続に全く問題ないと答えは返って来て……
リオネルは精力的に動き、129階層へ降りる。
順調に129階層もクリアし、130階層へ到達。
更にレベルを『36』とし、何と何と! 130階層の探索も終わらせたのである。
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