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第459話「実は、竜を相手に試したい戦い方がたくさんある」

獣頭の巨人フォモールを一蹴。

密林へ戻ったリオネルは再び、フォルミーカ迷宮地下121階層の探索を始める。


ケルベロス、オルトロスの魔獣兄弟、ファイアドレイク、ジズを先行させ、

アスプ20体を伏せ勢とし、うっそうとした密林を歩きながら……

地図を確認しつつ、122階層への階段を探すのだ。


しかしこの地下121階層は、今までの迷宮とは様相が全く違う。


地図も目安にしかならない。


植物の繁茂で地図と風景が合致しない。


何故なら、生い茂った樹木が風景を変え、

階段や目印をさえぎり、隠してしまうのだ。


だったら、どうせ階段の位置は変わらないのだから、

転移魔法、飛翔魔法を使い、階段の最寄まで行き、ピンポイントで探せばいいだろ!

と突っ込みがありそうだ。


確かに、効率だけ考えれば、飛翔魔法で階段の位置まで赴き、探索すれば済む話。


しかし、先のゴーレム捕獲と同様、

『効率第一主義の魔法使い』ならば、こんなに手間のかかる事はしないよな。

「でも、まあ良いかあ」という主義のリオネル。


憧れ、ず~っと目指して来た、フォルミーカ迷宮の探索。

まだまだ時間はあるし、隅々まで歩き回りたいという気持ちだった。


さてさて!


獣頭の巨人フォモールを倒したリオネルだが、

121階層へ現れるメンツを考えると、

フォモールなど、まだまだ強敵の部類には入らない。


「いずれ遭遇するだろうけど、どうせなら、竜……ドラゴンと戦ってみたいな」


「ぽつり」とつぶやくリオネル。


言ってから……

自分で言ったセリフながら、信じられないとも思う。


冒険者になりたての頃は、怯えながらスライムと必死に戦っていたというのに。


……リオネルは、これまでに竜……ドラゴンと戦った事はある。


今では頼れる仲間となったファイアドレイクが、


火の最上級魔精霊、高貴なる火界王パイモン麾下の眷属として現れ、

「けしかけられた」時だ。


しかし、このイベントが、理由(わけ)ありと、すぐ見抜いたリオネルは、

本気で戦わなかった。


水界王アリトンから授かった、水属性の究極魔法『絶対零度』の効果を落としたマイナーバージョンを行使。


ファイアドレイクを弱らせ、仮死状態にし、傷つけず勝利したのである。


また……

地上で行った訓練の際、いずれ来るであろう竜との戦闘に備え、

ファイアドレイク、アリトンから授かったフロストドレイクに本体へ戻って貰い、

実戦さながらの『模擬戦闘』を行った。


結構危険な事もしたが、今後に向けて、良い経験になったと思う。


竜の攻撃パターン。

動きの見切り方などがリオネルの中に蓄積されたからだ。

これで、竜との戦いにはある程度慣れ、勝手が分からない事はなくなった。


でも実戦さながらのとはいえ、所詮は訓練。

リアルな戦いには遠く及ばない。


ちなみに訓練は、人里離れた原野で行い、索敵で無人を確認したので、

誰かに見られ、通報されるような事はなかったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


……引き続き、フォルミーカ迷宮地下121階層を探索するリオネル。


相変わらず、シーフ職スキルを駆使し、


『隠形』『忍び足』で、すっ、すっ、すっ、と空気の如く進む。


約10分ほど歩いただろうか。


遂に、願いが叶う時がやって来た。


リオネルの索敵……魔導光球、魔力感知ともに反応があったのだ。


『おお! 竜だ! それも複数か! やったぜ!』


思わず念話で叫ぶリオネル。


ほぼ同時にケルベロス、オルトロスの魔獣兄弟も告げて来る。


(あるじ)よ! 敵を発見! 竜どもの群れだ。ノーマルタイプの火竜が計3体! 主、指示を頼むぞ!』


『おう! 主! フォモール同様、ノーマルタイプのドラゴンが計3体くらいなら、俺達だけで始末出来るがどうする?』 


『!!!!!』


『!!!!!』


ファイアドレイク、ジズも思念伝達で、

これくらいなら俺達へ任せろ! と告げている。


周囲を見渡し、ぱぱぱぱぱぱぱ!と考えたリオネル。


仲間達へ作戦を告げる。


『基本は、先ほどと同じ作戦で行く。互いに炎攻撃をしたら、この周辺一帯が延焼する。ドラゴンの奴らを、今度は西方に見える峡谷っぽい原野へおびき出せるか?』


冷静沈着且つ的確なリオネルの指示と問いに対し、仲間達は、


『お安い御用だ!』


『ノープロブレム! ちょろいぜ!』


『!!!!!』


『!!!!!』


全員、問題なし!


と戻して来た。


アスプ達20体もフォローする!


と告げて来た。


頷いたリオネルは、次の指示を送る。


『よし! 奴らの炎には充分注意し、誘導してくれ』


と、リオネルは言い、更に


『実は、竜を相手に試したい戦い方がたくさんある。原野へおびき寄せたら、申し訳ないが、3体全てを俺が倒すぞ! 構わないか?』


対して仲間達は全員が、


『了解!』


と戻して来たのである。

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