第44話「超悪い顔再び!」
リオネルが強盗どもを気絶させて2時間後……
ひげづらのリーダー以下3人の中年強盗男どもは、目を覚ました。
というか覚まさせられた。
特異スキル再起動こと『リブート』レベル補正プラス15の効果である。
目を覚ました強盗どもの様子を見て、リオネルは満足そうに頷く。
「お~! 成る程! やっぱ! 人間にもバッチリ効くなあ!」
「うお!?」
「な、何だ!?」
「ど、どうしたあ!?」
驚いて、「がばっ!」と半身を起こした強盗ども。
どうやらリオネルの風弾を喰らって気絶した時から、記憶が途切れているようだ。
強盗どもがきょろきょろすれば、先ほどまでと違う原野である。
当然、周囲に人家など見えない。
「て、て、てめえ! こ、ここはどこだあ!!」
ひげ面の中年強盗リーダーが、リオネルへ向かい怒鳴ったが……
「ははは、俺も良く知らねぇ」
「な、何だとぉ!」
「まあ、大体分かる。さっきの空き地から少し離れた場所だよ。実験用の魔物を探すのに手間取ったんだ」
そう、リオネルの言葉通りである。
だが「少し離れた」というのは強盗の常識とはニュアンスが違う。
完全な能力習得ではないが……
狼の走行速度と持久力を備えたリオネルは、強盗どもを収納の腕輪に入れた上で、約20kmにわたって移動。
『実験用の魔物』を探していたのである。
そしてその実験は……既に終わっていた。
「お前らに、練習中の超必殺技を試してみたくてな」
強盗どもへ、リオネルが習得したスキルの全てを明かす必要はない。
敢えて『必殺技』だと曖昧に告げたのである。
「な、何だとぉぉ!? 練習中の超必殺技あ!?」
「ああ、3人がかりで俺を殺そうとしたんだ、余罪もたっぷりあるだろうし、それくらい許されるよな?」
「こ、このガキぃぃ!!」
「一応言っておこう。お前らに使う前に、ゴブリンにいろいろ試してみたんだ。よ~く効いた。そして死ななかったよ」
「はああ!? ゴ、ゴブリンがあ!? し、し、死ななかったあ!? な、な、な、何じゃあ、そ、そ、そりゃあ!?」
「あ、兄貴! このガキ、何かやばそうですぜ! や、やられる前に殺っちまいましょう!」
「そうですよぉ!」
「お、おう! だなっ!」
強盗どもは、リオネルに魔法で『瞬殺』された事などすっかり忘れていた。
慌てて起き上がり、リオネルに向かって襲い掛かろうとする。
「あはは」
リオネルは笑い、新たに習得したばかりの特異スキル、
『フリーズハイ』レベル補正プラス15を発動した。
まだ格上の敵へ対応出来る効果は確認していないが、スペックは大幅にパワーアップしていた。
有効時間は5分、射程は500mへ延長、連射はまたも5回になった事を、
ゴブリンを使っての実験で、既に確かめてある。
ちなみにリロードインターバルは、1秒を切る、つまりほぼ不要であった。
「ぐああ! か、身体が! し、締めつけられるぅぅ!」
「あうううう! う、う、動かねぇよぉぉ!」
「くおお! い、い、いってぇぇ! ロープでぎっちり縛られたみたいだあ!」
強盗どもは大きな悲鳴をあげ、金縛り状態となった。
「おおおお、俺より格上にバッチリ効くじゃないか! 実験は大成功だあ!」
「!!!???」
「!!!???」
「!!!???」
激痛にうめく強盗どもへ、リオネルが発した言葉の意味は理解出来ないだろう。
否、スキルを使った事さえ分かってはいない。
元々、フリーズ自体がレアなスキルなのだから。
強盗どもは、自分と同じレベル13以上なのは間違いない。
それゆえ、自分のレベルより下の者にしか効かない『フリーズハイ』は通用しなかった。
しかし、たった今発動した『フリーズハイ』レベル補正プラス15は効果を発揮した。
つまり補正前でレベル12以下の相手に有効なら……
15プラス補正され、レベル27以下の相手に対し、『フリーズハイ』が効果を発揮出来る。
そうリオネルは推測した。
そして、ゴブリンどもへの実験で判明、確認した事。
これまた新たに習得した特異スキル『シャットダウン』レベル補正プラス15だが、
効果はリオネルが懸念した死亡、魂の消滅ほど凶悪なスキルではなかった。
文字通り、「行動の終了」つまり対象者が意識を失った上、自由を奪われる。
その後、解除的な対応をしなければ動けない、『半永久的な行動不能』となるのだ。
射程は300m。
但し、完全に行動不能となるまでにしばらく――1分弱時間がかかる。
連発が無制限、リロードインターバルは1秒を切り、ほぼ不要であった。
こちらも新たに習得した特異スキル『フォースドターミネィション』レベル補正プラス15は……
『シャットダウン』レベル補正プラス15の上位スキルの『強制終了』である。
時間を置かず、対象者が即座に行動不能となる強力な効果がある。
射程は300m。
但し、強力な分連発は不可で、リロードインターバルも15分を要した。
最後にこれまた新たに習得した特異スキル『リブート』レベル補正プラス15だが、『フリーズ』『シャットダウン』『フォースドターミネィション』で行動不能となった対象者の縛りを解除、徐々に行動再開させるという効能を持っていた。
射程は300m。
連発は無制限で、リロードインターバルも1秒を切り、ほぼ不要であった。
そして今の実験で判明した。
特異スキル『リブート』レベル補正プラス15は普通の気絶状態解除にも効果があると。
だが、リオネルはまだまだ実験を続ける欲求が止まらない。
否、習得したスキルを実用化する為? 人間への実験を行わねばならない。
「いひひひひひ! 痛いか~い? でも、まだまだだよぉ! こんなの全然、準備運動レベルだって!」
「いひひひひひって! うっわ! ちょ、超悪い顔しやがってえ! て、てめえ! じゅ、じゅ、準備運動レベルって、な、な、なんだよぉ!?」
「うふふふふ、俺の超が付く必殺技をね、魔物の実験は終わったからさあ……いよいよ人間に試すんですよ。つ・ま・りぃ、人体実験の本番開始なんですう!」
リオネルがニヤリと不気味に笑うと、自由を奪われた強盗どもは悲鳴をあげる。
「ひ、ひ、ひえ~!! な、何だかわけが分からんがあ、じ、人体実験なんか、やめてくれぇ!!」
「た、頼むぅ!! た、助けてぇ!!」
「あわわわわわわわわわ!!」
「いひひひひぃ! うきうきが止まらないっす! 万が一、死んだらゴメンって事で! 俺が成長する為のエサになってねえ~!」
2時間前に笑ったのとまったく同じ……
否、リオネルはもっと思い切り『超悪い顔』をした。
マッドサイエンティスト、否!
ウルトラマッド錬金術師の如く、再び「ニヤリ」と笑ったのである。
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