表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

357/760

第357話「そこの君!!! ちょ~っと待った!!!」

リオネルの修行に新たな項目が加わった。

鳥の王ジズ、ケルベロスの弟魔獣オルトロスが加わった新フォーメーションにおける訓練、演習である。


またリオネル自身も、転移魔法、飛翔魔法、夢魔法は勿論、

空気界王オリエンスから、風の上位攻撃魔法『竜巻』『大嵐』を。

また『聖なる風』を、自身のみでなく、他者への防御治癒の魔法として使う事。


そして地の最上級精霊ティエラから授かった『剣山破砕』と『大地の束縛』など、

もろもろの魔法修行が忙しい。


国境を越えた、隣国アクィラ王国の迷宮都市フォルミーカまでは、

ゆうに200km以上を残している。


もしも気がはやれば、転移、飛翔の魔法を行使し、

一気にフォルミーカまで! ……という可能性もゼロではなかった。


しかしもう完全になくなった。


修行のメニューが山積みだからである。

リオネルは、じっくり、ゆっくり行こうと決めたのだ。


そんなある日の事……

リオネルは、街道から少しそれた原野で、戦友達と訓練、演習を行った。


そして、訓練と演習が終了後……『お疲れ様』と(いた)わり、

異界と収納の腕輪へ戦友達を戻してから、転移魔法で、街道の近くに森へ跳んだ。


少し森を歩くと、大きな湖に出た。


本日も天気が良い。

リオネルの頭上には真っ青な大空が広がり、気分も同じく晴れる。


この湖は、広々として開放的、水の色が澄んだ青である。


水面を渡る風が、リオネルの鼻腔へ、芳しい香りを運んで来る。


見れば、湖の岸辺には、色とりどりの花が咲き乱れている。

その花から香って来るらしかった。


「ぶんぶん!」と音を立てて、花の周りを小さな蜂が忙しそうに飛び回っている。


穏やかな鳥の声もする。

岸辺から少し離れた場所に生えている木々には、小鳥が数羽止まっていた。

のんびりと、さえずっている。


しかし!

そんな美しい風景を台無しにする蛮行が、リオネルの目に飛び込んで来た。


何と何と!

湖畔の一画に、焚火の跡があり、ゴミが大量に捨てられていたのである。

多分キャンプをしたふらち者のしわざに違いなかった。


「なんてこった!!!」


リオネルは思わず大声を出した。

索敵……魔力感知による反応なし、肉眼による視認でも人影はなし。


唇をぎゅ!と噛み、収納の腕輪から大きな布製ズタ袋を取り出し、

リオネルはダッシュ。


キャンプ跡に取り付くと、積み上げられたゴミを、

ぽいぽいとズタ袋の中へ入れ始めた。


リオネルが掃除をする手際はとても良い。

あっという間にゴミが片付けられた。


辺りを見回したリオネルは散らばっているゴミも拾う。


更に焚火跡の燃えさしも、火が消えているのを確認した上で、

ズタ袋へ入れてしまったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


ゴミを片付けたリオネルは、キャンプの跡を丁寧に消して行く。


自然を楽しむのなら、最低限のマナーは守って欲しい。

そう切に願う。


やがて、キャンプ跡は完全に消えた。


ズタ袋の口をひもでしめ、収納の腕輪に放り込み……

ふ~と軽く息を吐いたリオネル。


ちらと湖を見れば、やはり広々として開放的、水の色が澄んだ青である。


本当に美しい湖だ。


心が洗われるようだ。


リオネルはゆっくりと深く湖へ一礼した。


(きびす)を返し、街道へ向かうべく、歩き出そうとする。


と、その時!


『そこの君!!! ちょ~っと待った!!!』


と制止の声がかかった。


リオネルの心に大きく大きく響いたのは、聞き覚えのない女子の声である。


しかも、うら若い女子の声だ。


リオネルは言葉を戻す。

当然、この女子が使う、心と心の会話、念話である。


『あの、お待ちしても宜しいのですが……ええっと……どちらさまでしょうか?』


『うふふふふ♡ 湖まで来たら分かるわよ』


『湖までっすか……分かりました』


心に響く声には殺気は勿論、悪意がない。


しかし無防備でのこのこ行くほど、リオネルは抜けてはいない。


魔法使いの呼吸法で体内魔力を上げ、シーフスキル『隠形』『忍び足』を使う。


そしていつでも転移魔法が発動可能なようにスタンバイしておく。


すっ、すっ、すっ、すっ、すっ、すっ、すっ、すっ、と歩いて行くと、


『うふふふふ♡ 用心深い少年、君に質問がありま~す』


再び謎めいた女子の声が響き、リオネルがいる岸辺のすぐ近くの、

湖面上の空間がいびつにゆがんだ。


その瞬間、何と!


リオネルの目の前の湖面の上には、

水色のヴェールをまとった美しい少女が、ふわふわと浮かんでいたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説書籍版既刊第1巻~8巻大好評発売中!

《ご注意!第8巻のみ電子書籍専売です》

(ホビージャパン様HJノベルス刊

宜しければ、第1巻から8巻の一気読みはいかがでしょうか。

HJノベルス様公式サイトでは試し読みが可能です。

お気軽にどうぞ!


◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス刊)

既刊第1巻~5巻大好評発売中!

コミックスの第1巻、第3巻、第4巻は重版しました!

皆様のおかげです。ありがとうございます。


またこちらの「Gファンタジー」様公式HP内にも特設サイトがあります。

コミカライズ版第1話の試し読みが出来ます。


WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版がご愛読可能です!

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、他作品のご紹介を。


新作を公開しました。!


⛤『異世界ゲーム転生! モブ転生した俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!』


そして下記の作品も宜しくお願い致します。


⛤『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』《連載再開!》


⛤『気が付いたら下僕!隙あらば支配!追放大歓迎!実は脱出!マウントポジション大好きな悪役令嬢よ、さようなら!の俺が幸せになるまでの大冒険物語!』《完結》


⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのある王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』《完結》


他の作品もありますので、何卒宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ