第352話「私も知ってる! 知ってる!」
『わおっ! そこまで見抜いてる? いろいろな思惑ありきって、更にさっすが、リオ!』
リオネルの指摘に対し、ティエラは、感嘆。
大きく頷いた。
そして、
『短期間のうちに、また成長したみたいね! 転移魔法も大幅に上達し、禁断の夢魔法まで習得したのかあ……素敵よ♡ リオ♡ 今度一緒に夢の中で遊びましょ♡』
と、にっこり笑った。
やはり、リオネルの行動はティエラにはお見通しらしい。
しかし、この場にワームまで伴い、わざわざ会いに来たとは考えにくい。
それゆえ、リオネルは言う。
『はい、元々ティエラ様は、何か別の御用事があり、ついでに俺……って感じですよね?』
『わお! 半分当たり! って感じ』
リオネルの言葉を聞き、ティエラは小さく驚き、ぽんと手を叩いた。
更にリオネルは尋ねる。
『ティエラ様、半分当たりですか?』
『うん! ピンポーン! のピンくらい。当たらずととも遠からず! って感じかな』
ティエラは、『惜しい』というように笑った。
『そうなんですか』
『うん! 大事な用事はあったけど、同じくらいリオに会いたかったからね』
『ありがとうございます! そうおっしゃって頂くと、素直に嬉しいです』
『リオの言う通り、そもそも、地の眷属の大事な儀式の為に、私は出張ったのよ』
『大事な用事は、地の眷属の大事な儀式ですか?』
『うん! 我が眷属たるワームのイメージチェンジのね!』
『ワームのイメージチェンジ? ですか』
地の眷属の大事な儀式が、ワームのイメージチェンジ?
どういう事だろう?
対して、ティエラは言う。
『そう! ワームってさ、みてくれは竜とか蛇っていうよりも、でっかいミミズみたいだし、人間を襲う魔獣として、ひどく怖れられ、嫌われているでしょ』
『ま、まあ。そんな感じですね』
『でもさ! 農民は良く知ってるけど、ミミズは益虫なんだよ』
『はい! 益虫って、知ってます。人間の生活に直接、間接に利益をもたらす昆虫ですよね。絹を作るカイコとか』
『ピンポーン! ええ、そうよ。ミミズもそう! 例外はあるけど、基本的には土地を豊かにしてくれるの』
『成る程』
『でさ! 大地の統括者たるお父様の地界王アマイモンと、娘の私ティエラは、植物の繁茂、結実も司っているでしょ?』
『はい! 繁茂は植物が生い茂り、結実は植物が実をつけるって事ですよね!』
『ピンポーン! その通り! でさ! この街道にワームが出たけれど、人間は襲わなかった。そして討伐隊が来たら、しれっと、フェードアウトして、神出鬼没に他のいろいろな場所に何度も現れる。そしてやっぱり人間は襲われない! そういう現象が起きた結果、この年が大が付く豊作ならば、ワームはどう思われるかな?』
ティエラは、ワームのイメージチェンジに対するメイキングストーリーを語り、
リオネルに尋ねて来た。
分かりやすい話である。
当然、リオネルは即座に答える。
『そりゃ! ワームは見てくれは怖ろしいですけど、人間には危害を加えない安全な魔物だし、縁起の良い大豊作の使者って事になりますよね』
『ピンポーン! ピンポーン! 素晴らしいわ! ご名答! それで! この街道をフォルミーカを目指すリオが通るのは決まっていたから! ワームを出没させたってわけ! それで来るのを待ってたの!』
『分かりました。話が見えました』
『それな! ね! あとさ、精霊に関しては私の言う通りになったでしょ?』
リオネルは、ティエラの言葉を思い出す。
「うふふ、でもやっぱり、リオへ地の加護は与える! ここで私が地の加護を与えれば、空気界王オリエンス様も、水界王アリトン様も、火界王パイモン様も黙っていない。続々と、リオへ自分の加護を与えに来るわ」
確かに、ティエラが告げた通りとなった。
先日、シルフのリーアが現れ、リオネルを誘ったからだ。
『はい、シルフが現れ、彼女の導きで、俺、空気界王オリエンス様にお会いしました』
『うふふふ♡ やっぱり他の属性の精霊がリオへアプローチして来たわよね。それでどう?』
ティエラの質問に対し、リオネルは言う。
『はい! 俺、空気界王オリエンス様から、お聞きしました。ティエラ様とは、いろいろとお話されているって』
リオネルが加護を受けた云々等、具体的な話をせず、
オリエンスとティエラが、やりとりをしているという件をふれば、
『あはは! いろいろとお話されているかあ!』
ティエラは「1本取られた!」というように苦笑した。
『はい、オリエンス様とティエラ様は、何か凄く仲が良いなあと思いました』
『わお! 全て、ばれて~らなのねっ♡ 私も知ってる! 知ってる! リオがさ、オリエンス様から風の加護を受けて、飛翔魔法を授けられ、すっごい従士のジズを貰い、シルフ達と舞い遊んだんだってねえ』
ティエラは言い、全く怒りもせずに、いたずらっぽく笑ったのである。
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